中国CGN:2017年に海上浮揚式原子力発電所の実証プロジェクトを開始へ

2016年1月15日

ACPR50Sを搭載した海上浮揚式原子力発電所の模型©CGN

ACPR50Sを搭載した海上浮揚式原子力発電所の模型©CGN

 中国広核集団有限公司(CGN)は1月12日、熱出力20万kWの海上浮揚式原子力発電所「ACPR50S」の開発計画が、革新的エネルギー技術に関する第13次5か年計画の一部として国家発展改革委員会(NDRC)の承認を受けたと発表した。CGNは現在、ACPR50S実証炉の予備設計を実施しているところ。NDRCの承認により、2017年にも実証炉プロジェクトの建設工事を開始し、2020年に発電を始める見通しだとしている。

 中国では陸上と海上の両方について、利用可能な小型炉の開発を進めており、100万kW級原子炉の開発を補完するという位置づけ。CGNは陸上用として、フランスの技術をベースに開発したACPR設計の小型版である熱出力45万kWの「ACPR100」設計を開発中で、これは大型工業基地や遠隔地域の山間部などへの電力供給に適しているとの認識だ。海上用は熱電併給と海水脱塩にも利用可能だとしており、主に離島や沿岸地域、南沙諸島や西砂諸島などの石油・ガス採掘構造物に使われることになる。CGNと並ぶ中国の大規模原子力企業である中国核工業集団公司(CNNC)も、同様に海上浮揚式原子力発電所の開発を実施しており、2015年10月に傘下の核動力研究設計院(NPIC)が英国のロイド船級協会と設計開発における協力の枠組協定を締結している。

 世界的に見ると、海上浮揚式原子力発電所の開発ではロシアの計画が他を大きくリード。電気出力3.5万kWの小型原子炉「KLT-40S」を2基搭載した「アカデミック・ロモノソフ号」の進水式が、2010年6月にサンクトペテルブルクのバルチック造船所で行われた。その後は試運転が続けられており、2016年9月に発注者のロスエネルゴアトム社に引き渡され、2017年に極東地域に曳航される予定と伝えられている。ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社によると、中ロ両国は2014年6月に低・中レベル出力の海上浮揚式原子力発電所の建設で協力するための覚書に調印しており、この分野におけるロシアの知見と経験が中国に提供されると見られている。