ウクライナ:放射性廃棄物管理、汚染区域の除染等の契約をドイツ企業4社連合に発注
ウクライナではチェルノブイリ事故で飛散した放射性物質の処理やすべての放射性廃棄物の取り扱い、および原子力発電所の管理をチェルノブイリ立入禁止区域管理庁所属の国立企業「ラドン社」が担当しているが、このほど同社の管理施設における放射性廃棄物の管理インフラ改善と汚染区域の除染復旧作業、および原子力発電所の安全な廃止措置で、ドイツの専門企業4社によるコンソーシアムが最大150万ユーロの契約(約1億8,500万円)を獲得したことが明らかになった。同企業連合に所属するDMT社が3月1日付けで公表したもので、EUが資金援助する「原子力安全協力機関(INSC)」の枠組で行われる対ウクライナの安全改善支援プロジェクト(U4.01/12BCD)という位置付け。INSCは第三国における核物質の効果的な保障措置や高いレベルの原子力安全と放射線防護推進を目的としており、EUの加盟候補国と近隣諸国が主な対象となっている。最初の契約期間は2年間で、2月1日から2日にかけて首都キエフで関係者による第1回会合が開催された。
同プロジェクトの作業はB、C、Dの3分野に分かれており、B分野は原子力発電所の運転とは無関係の放射線事象について、ラドン社による緊急時対応システムの構築を支援する内容。ここでは、放射線事故時の国家緊急時対応システムの改善で具体的な勧告を行うほか、必要機器の購入に関する入札文書を作成する。C分野では、ラドン社の管理施設における環境放射線の自動モニタリング統合システムを開発。同システムの設計だけでなく、製造、納入、据え付け、試験、起動に関する技術的な仕様も特定するとした。D分野はチェルノブイリ事故にともなう放射性廃棄物の貯蔵所、および立入禁止区域外地域の復旧が主な作業で、50もの貯蔵所ではまず安全性に関するランキング評価を実施。評価方法も勧告するほか、安全解析文書や貯蔵パイロット施設など復旧プロジェクトに盛り込む概念を特定する。また、貯蔵所から廃棄物を回収する機器や、汚染設備の分類、調整、輸送、除染に必要な機器の供給で入札文書などを作成することになる。