中国でロシア製の田湾4号機が送電開始
中国・江蘇省の田湾原子力発電所(=写真)ではロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社がロシア型PWR(VVER)を建設中だが、同社は10月27日、1~3号機と同じく100万kW級VVERの4号機が初めて中国の送電網に接続されたと発表した。中国では今年に入ってから、世界初となるウェスチングハウス社製AP1000の三門1号機と海陽1号機を含む合計4基の商業炉が営業運転を開始しており、原子力発電設備容量は41基、4,030万kWに到達。これに続いて、世界初のフラマトム社製欧州加圧水型炉(EPR)となる台山1号機や今回の田湾4号機など、さらに合計4基、531万kW分が送電を開始したことから、原子力設備で米国、仏国に次ぐ世界第3位という地位は一層盤石なものになっている。
2013年9月に本格着工した田湾4号機は現在、中国の規制当局が発給した許可に従い、出力25%で稼働中。電力供給システム等の電気的試験やタービンの始動を経て初併入したもので、ロスアトム社は原子炉システムのすべてが設計モードで順調に稼働している点を強調した。今後は、出力レベルを50%、75%、100%に上げながら、動的試験を実施する計画。定格出力による連続運転の実証試験では、運転を100時間継続することになると説明している。
田湾発電所の所有者である中国核工業集団公司(CNNC)は今年6月、同発電所の7、8号機となる2基、および遼寧省沿岸に位置する新規サイトの徐大堡でも二期工事として、第3世代+(プラス)の最新120万kW級VVERを2基建設することでロスアトム社と合意した。2015年と2016年に着工した田湾5、6号機では、CNNCが仏国の技術をベースに開発した第3世代のPWR設計「ACP1000」が採用されたものの、ロスアトム社のリハチョフ総裁は、同発電所は中ロ両国の協力による発電所プロジェクトとしては最大級になると指摘。両国の専門家が生み出す相乗効果により、開発は成功裏に進展中だとした。田湾4号機の送電開始はそのことを明白に示しており、両国間のさらなる協力は田湾における次の段階の建設工事のみならず、徐大堡の新設計画についても効率的かつ有益なものになるはずだと強調している。
(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)