米X-エナジー社、小型HTR用燃料製造工場の予備設計を開始

2018年12月4日

©X-エナジー社

 米国で小型のペブルベッド高温ガス炉(HTR)「Xe-100」(熱出力20万kW、電気出力7.5万kW)を開発中のX-エナジー社は11月29日、専用の先進的燃料製造加工工場の予備設計を共同で進めるため、濃縮ウラン企業のセントラス・エナジー社(旧USEC)と新たなサービス契約を締結したと発表した。
 これは今年3月に両社が結んだ燃料製造工場の概念設計支援サービス契約に基づいており、セントラス社は「Xe-100」に装荷される3重被覆層・燃料粒子「TRISO」の製造加工工場について、予備設計に必要な技術的知見と資源を提供。X-エナジー社のTRISO燃料技術開発計画の準備作業に協力して、コスト面で効率性が高く、高度に自動化した燃料製造ラインを設計するとともに、将来的には商業用燃料製造施設の建設に必要な資金調達方策を探るとしている。

 X-エナジー社の説明によると、「Xe-100」は工期が短く、組立作業も工場内で実施可能というモジュール式のHTR。物理的にメルトダウン発生の恐れがない設計であり、冷却材喪失時にも運転員の介入なしで安全性が保たれるとしている。ウラン酸化物を黒鉛やセラミックスで被覆するTRISO燃料の技術は米エネルギー省(DOE)が開発したもので、DOEは2016年1月、官民折半による新型原子炉概念の開発支援対象として「Xe-100」を選定。X-エナジー社は2017年3月、「Xe-100」の概念設計を正式に開始したことを明らかにした。

 両社の今回の合意では、詳細な臨界安全性の分析やインフラの設計に加えて、原子炉蒸気供給系以外の系統の支援システム、施設の許認可申請にともなう初期作業などが協力項目として盛り込まれた。セントラス社はまた、今年3月の合意内容に沿って、テネシー州オークリッジにある技術製造センターを燃料製造加工工場の設計支援活動用に提供する方針。同センターで両社の従業員は、協力してプロジェクトに当たることになる。
 両社はともに、先進的なTRISO燃料は「Xe-100」のみならず、世界中で開発されているその他の新型原子炉技術に対しても、魅力的かつ競争力のあるソリューションを提供できると確信。両社の協力はすでに燃料製造加工工場の概念設計作成で成功を収めており、今回の合意に基づき予備設計と最終設計も完成させる方針で、同工場の操業開始は2025年を目指すとしている。

 なお、発電のほか地域熱供給や脱塩にも利用できる「Xe-100」については、ヨルダンが2017年11月に国内での建設に関心を表明した。同国は100万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基、首都アンマンの東部70kmの地点で建設するため実行可能性調査を実施中だが、「Xe-100」についても同国の原子力委員会は、可能性の検討に向けた了解覚書をX-エナジー社と締結している。

  (参照資料:X-エナジー社とセントラス社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)