ロシアで第3世代+設計を採用したクルスクII-2号機が本格着工

2019年4月17日

©ロスエネルゴアトム社

 ロシアの民生用原子力発電会社のロスエネルゴアトム社は4月15日、モスクワの南約500kmに位置するクルスク原子力発電所で、II期工事2号機(PWR、125.5万kW)が予定より約2週間前倒しで本格着工したと発表した(=真)。
 第3世代+(プラス)の最新設計「VVER-TOI」を採用した建設プロジェクトで、2018年4月に同型の1号機が着工したのに続き、2号機の原子炉建屋基盤部分に合計16,700立方メートルの高性能コンクリートを打設する。今年中に27の関連施設でコンクリート打設を終える計画で、営業運転の開始は2024年8月を予定している。

 「VVER-TOI」設計は、第3世代+の120万kW級ロシア型PWR(VVER)設計「AES-2006」をベースに、技術面と経済面でパラメーターを最適化したもの。ロスエネルゴアトム社によると、第2/第3世代の「VVER-1000」と比較して出力が25%アップしたほか、炉心機器の設計寿命が2倍に延長された。また、高度の自動化により、必要なスタッフ数は30~40%の削減が可能。運転期間も60年に設定されている。
  同設計ではまた、国際原子力機関(IAEA)の最新安全基準に準拠する、最高水準の安全システムが配備される予定。具体例として、炉心に装備するコア・キャッチャーや、大気の自然循環を利用して炉心を冷却する受動式残留熱除去装置を挙げた。さらに、これまでの120万kW級シリーズはマグニチュード(M)7の地震に耐えられる設計であるのに対し、「VVER-TOI」はM8~9となっていて、安全対策と操作性が格段に改良されている点を強調した。

 クルスクII期工事では最終的に4基の原子炉建設が計画されており、1970年代後半から1980年代前半にかけて運転開始した同発電所Ⅰ期工事(出力100万kWの1~4号機)を徐々にリプレースしていく。1、2号機は「VVER-TOI」設計のパイロット・ユニットという位置付けで、ロスエネルゴアトム社は、単機の出力としてはロシア国内で稼働する原子炉の中でも最大になるとしている。

 (参照資料:ロスエネルゴアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)