スロバキアで建設中のモホフチェ3号機、燃料装荷前の最終試験段階に

2019年4月18日

©SE社

 スロバキア政府が34%出資する同国最大の電力会社、スロバキア電力(SE)社は4月15日、建設中のモホフチェ原子力発電所(=写真)3号機(PWR、47.1万kW)が、燃料装荷前の試験の最終段階に入ったと発表した。今年の夏頃に、燃料を初装荷する技術的準備が整うとしている。

 同発電所では1987年に3、4号機が本格着工したものの、格納容器がないタイプの第2世代ロシア型PWR(V-213)設計であったことから、安全性の改良とそれにともなう資金の調達問題で、両炉の建設工事は1992年から約16年間中断した。2008年11月に工事が再開した際、主要機器はスコダ社が供給する一方、計測制御(I&C)系については仏アレバ社(当時)と独シーメンス社、タービン発電機のエンジニアリングやプロジェクト管理に関しては、イタリア電力公社(ENEL)が担当することとなった。

 3号機では昨年8月に、圧力容器や原子炉系統の配管、バルブ等で常温耐圧試験が終わり、12月からは1次系の高温耐圧試験が始まった。このほど、1次系の気密性確認など同試験におけるすべての作業に加えて、1次系と2次系機器の機能試験なども完了したことから、SE社は起動前の最終段階として大規模な点検を実施するとした。あらゆる重要機器やシステムについて、規定通りに運転前試験を行う考えである。
 SE社の説明によると、規制当局が許認可を発給する前に、公衆衛生院など複数の政府機関が意見を提示することになっており、それにより正確な起動日が確定する。このプロセスには時間がかかるほか、予想される隣国オーストリアの反原子力団体「グローバル2000」の妨害活動が、特に大きく影響する見通し。燃料装荷で技術的な準備が整ってから実際の装荷に至るまで、約8か月を費やす可能性があるとしている。

 なお、このような作業等の遅れにより、当初54億ユーロ(約6,800億円)と見積もられていた2基分の完成総工費は、5%分に相当する2億7,000万ユーロ(約340億円)の超過が予想されている。これについては、スロバキア・パワー・ホールディング社など、SE社の主要株主が全面的に手当てするとしている。

 (参照資料:SE社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)