米NJ州、商業炉3基に「ゼロ排出認証(ZEC)」の適用を決定

2019年4月19日

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 米ニュージャージー(NJ)州の公益事業委員会(NJBPU)は4月18日、州内のホープクリーク原子力発電所(129.6万kWのBWR)とセーレム原子力発電所(117万kWのPWR×2基)の3基を温存するため、無炭素電源維持の目的で2018年に設置した「ゼロ排出認証(ZEC)」プログラムを適用すると発表した。
 このプログラムは、イリノイ州とニューヨーク州で2016年に採択されたものと同様の内容で、地球温暖化防止の緊急性に鑑み、CO2を排出しない原子力発電所の早期閉鎖が環境に及ぼす影響を考慮。ZECを通じて、両発電所には配電電力に応じた追加料金が支払われ、少なくとも3年間は運転継続が可能になる。両発電所は現在、同州のエネルギー・ミックスの中で約32%のエネルギーを供給しており、クリーン・エネルギーの供給シェアは90%に達している。
 NJBPUによると、NJ州民に電力供給している既存の原子力発電所が突然閉鎖された場合、その分の電力需要は天然ガスや石炭で賄われ、様々な汚染物質が大気中に大量に放出される。これにより、公衆衛生と環境への悪影響が懸念されるうえ、送電網が不安定な状態になるほか、地元の雇用も失われて州経済が影響を受ける可能性があるとしている。

 ホープクリーク原子力発電所はパブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)が所有・運転する一方、隣接区域に立地するセーレム原子力発電所は、PSEGとエクセロン社が協同で保有している。温室効果ガスを排出しないエネルギー・インフラへの投資促進目的で、ZECを盛り込んだ法案が2018年5月に制定された後、PSEGは同年11月、両発電所へのZEC適用をNJBPUに申請。NJBPUスタッフは両発電所を「適格」と見なしたのにともない、公開ヒアリングや州民からのコメント募集を実施した。

 ZECプログラムの適用が決まったことから、両発電所は今後、1kWhあたり0.004ドルのクレジットを電力小売り料金の中から受け取ることになる。今回のNJBPUによる承認を受けて、同クレジットに対する支払金の徴収が直ちに開始される方針で、今後3年間に 各プラントにはそれぞれ、年間約1億ドルが支払われる見通し。必要額より多く徴収された場合、超過資金は消費者に返還される。
 また、3年が終了する頃、NJBPUはプログラムを再評価する予定。州政府や連邦政府を通じて電気事業者がその他の助成金を受け取っていれば、ZECとの調整が必要になるとしている。

 (参照資料:NJBPUの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)