カナダのダーリントン発電所改修計画、2号機に燃料チャンネル設置

2019年4月23日

ダーリントン2号機の燃料チャンネル©OPG社

 カナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は4月15日、大掛かりな改修プロジェクトが2016年に始まったダーリントン原子力発電所(93.4万kWのカナダ型加圧重水炉×4基)の2号機で、燃料チャンネルの再設置が完了したと発表した。
 2020年初頭に全作業を終え、同年2月までにフルパワーで商業運転を再開することになっている。1990年10月に営業運転を開始した同炉は、新しい機器でさらに30年間、運転を継続する。また、2号機が復帰するのに合わせて、OPG社は3号機の改修工事を始める計画。2026年までに4基すべてで改修工事を完了し、それぞれ運転期間の30年延長を実現するとしている。

 カナダでは5~9年前までダーリントン発電所で2基、ブルース発電所で4基増設する計画が進められていたが、これらは現在すべて中止。2つの新規立地点における新設計画も停止され、両発電所では運転期間の延長計画と大規模な改修プロジェクトが進行中である。
 ダーリントン発電所は1990年代初頭以降、オンタリオ州における電力需要量の約20%を供給。その運転期間を2055年まで延長することにより、オンタリオ州では年間200万台の自動車を排除したのと同等の温室効果ガスの削減効果があるとOPG社は指摘。加えて、州経済にも長期的にかなりの効果があり、シンクタンクの「カンファレンス・ボード・オブ・カナダ」の独自調査によれば、30年間の運転期間延長で約3,000人分の雇用維持も含め、合計899億カナダドル(約7兆5,300億円)の経済的利益が同州にもたらされるとしている。

 総予算が約128億カナダドル(約1兆700億円)という同改修プロジェクトでは、4基のうち最初に営業運転を開始した2号機の作業が2016年10月に開始。続いて3号機、1号機、4号機の順に改修工事が行われると見られる。
 2号機の分解作業が昨年春に成功裏に完了したことから、この春にはカランドリア管や燃料チャンネル、フィーダー管の再設置も含めた、一連の複雑な組立作業が進展中。燃料チャンネルの設置は、綿密な計画立案と調整を必要とする非常に難度の高い作業で、OPG社は480本の圧力管と960もの管端接続金具、および数千単位の機器付属品を正確に取り付けるなど、文字通り炉心を再構築する作業になったと説明した。
 同炉ではフィーダー管の取り付け作業も続けられており、次のステップとしてはこの秋にも燃料を再装荷する。各システムを復旧させて、来年初頭の送電網再接続に備えるとしている。

 (参照資料:OPG社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)