米国のTMI1号機、9月末までの永久閉鎖が確定
米国最大の原子力発電事業者のエクセロン社は5月7日、ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所(=写真)1号機(PWR、89万kW)について、9月末までに永久閉鎖する方針が確定したと発表した。 10月以降も運転を継続する場合、交換用の燃料を6月1日までに購入する必要がある一方、ペンシルベニア州議会では上下両院ともに原子力発電所への支援措置を盛り込んだ法案審議が進んでおらず、5月の会期は数日を残すばかり。2017年5月に公表した計画どおり、2034年まで運転継続が許されている同炉を早期に閉鎖する考えを固めたもの。
この決定について、米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長は同日、「すべてのクリーン・エネルギー源について、州政府と連邦政府がともに、その価値を高く評価する政策や市場解決策を推し進めてこそ、国家的な利益につながる」との見解を表明している。
エクセロン社は2年前、市場における電力卸売価格の長期的な低下や再生可能エネルギー源に対する州政府の優遇政策等により、TMI1号機の収益が過去5年にわたって低迷していると発表。CO2を排出せず、地元経済にも貢献する原子力発電の利点に対し、州政府や連邦政府が相応の補償を与える政策を取らない限り、2019年9月末頃に永久閉鎖することになるとした。また、同州を管轄する地域送電機関(RTO)のオペレーターである「PJMインターコネクション」が、2020年~2021年の設備容量を確保するために実施したオークションでも、同発電所が勝ち残れなかった事実を明らかにしていた。
同社はすでに4月5日、1号機を9月に永久閉鎖した場合の詳細計画として「閉鎖後廃止措置活動報告書(PSDAR)」を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。3種類の廃止措置オプションのうち、汚染構造物を一定期間、安全に貯蔵する「SAFSTOR」を選択。取り出した使用済燃料は暫定的に貯蔵プールに保管し、2022年末までに乾式貯蔵施設に移すとしたほか、2074年に冷却塔の解体を開始するなど、大型機器や構造物の具体的な廃止措置プランを明記した。また、2017年に675名だった発電所従業員も3段階で削減していき、2022年には常勤スタッフ50名にするとしている。
同州ではこのほか、エクセロン社が所有する商業炉も含めて、5サイト・8基の原子力発電所が稼働中。このうち、ビーバーバレー原子力発電所(90万kW級PWR×2基)を操業するファーストエナジー・ソリューションズ社は昨年3月、財政事情により、これら2基を2021年までに早期閉鎖する方針を発表した。このためエクセロン社は、「1日24時間稼働し続けて、毎年数100万トンのCO2排出抑制に貢献している州内の原子炉を、ペンシルベニア州民全員の将来的なクリーン・エネルギーとして確保するため、今後も議会その他のステークホルダーと支援策の法制化を働きかけていく」としている。
(参照資料:エクセロン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)