米ニュースケール社、SMRへの次世代燃料活用でエンフィッション社と覚書
米オレゴン州を本拠地とするニュースケール・パワー社は5月15日、同社製の小型モジュール炉(SMR)に、ライトブリッジ社とフラマトム社の合弁事業体、エンフィッション社が開発中の次世代原子燃料を装荷する可能性を探るため、エンフィッション社と了解覚書を締結したと発表した。
ニュースケール社が開発したPWRタイプの一体型SMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」(電気出力6万kW)は現在、米原子力規制委員会(NRC)がSMRとしては唯一、設計認証(DC)審査を実施中。2020年9月に同審査が完了すれば、米国初のSMRとして市場に投入できる見通しで、同社はエンフィッション社の「ライトブリッジ燃料」を装荷することにより、NPMの炉心設計や性能、均等化発電原価(LCOE)にも、さらなる改善が期待されるとしている。
NPM初号機として最初の12モジュールを建設する計画は、すでにエネルギー省傘下のアイダホ国立研究所敷地内で進行中である。同計画では、ユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)がモジュールの所有者となるほか、ワシントン州の電気事業者、エナジー・ノースウェスト社が運転を担当。2026年の商業運転開始が見込まれている。
今回の発表によると、エンフィッション社が商業化を目指すライトブリッジ燃料の金属製燃料棒技術は、既存炉や新型原子炉のいずれにおいても、安全性と経済性の大幅な向上が期待されるという。両社は今後、エンフィッション社が特許を保有する同技術をNPM設計に一層適合させるため、共同で研究・試験プログラムを開発する。同社の先進的燃料棒技術はNPMの炉心性能を向上させるのみならず、炉心の設計寿命を延長し、燃料交換時の停止期間を削減することも可能である。
ニュースケール社とフラマトム社はすでに2015年12月、従来型のセラミック製ウラン酸化物燃料技術に基づき、SMR用の燃料集合体を製造する協定を締結していた。同協定には、DC審査の申請で必要になる試験・分析の実施も協力項目に含まれていたが、今回、ライトブリッジ燃料の使用オプションがこれに加わったことから、将来的に原子炉設計の要求に応じて、柔軟性の高い燃料タイプを供給できるとしている。
(参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)