IAEAが中国最古の秦山1号機で運転期間延長に向けたレビュー 実施

2019年5月20日

 国際原子力機関(IAEA)は5月16日、中国で最も古い商業炉の秦山I原子力発電所(PWR、31万kW)について、運転期間の延長に向けた安全性のレビューを10日付けで完了したと発表した。
 中国核工業集団公司(CNNC)傘下で同発電所の運転を担当する中国核電運行管理(CNNO)から要請を受け、2017年6月に派遣した「長期運転の安全的側面(SALTO)」レビューのフォローアップとして、改めてミッションを派遣したもの。前回の勧告や提案に対応して、既存の運転プログラムと機器の経年変化管理プログラム間の調整が改善されたことなどを評価している。

 秦山I発電所は中国初の商業炉として、1991年に送電を開始した。現在、30年とされている運転認可が2021年に満了するのに先立ち、20年間の運転継続を計画中。原子力規制当局である国家核安全局(NNSA)への延長申請書は、2016年に提出済みとなっている。

 同発電所では2015年10月にIAEAが「事前SALTO」チームを派遣しており、これに続く2017年6月の「SALTO」ミッションで、実質的な「長期運転(LTO)」レビューが安全確保のための戦略や主要要素について行われた。
 今回のフォローアップ・レビュー・チームは、アルゼンチン、オランダ、スウェーデン、米国およびIAEAの専門家5名で構成されており、今月7日から作業を開始した。同発電所で関係プログラム間の調整が行われた事実に加え、電気機器や計測制御(I&C)系機器に対して、経年変化管理プログラムが実施された点に注目。知識や権限の管理プロセスについても改善が行われたと判断した。
 その一方で同チームは、定期安全レビューを完了して環境面の認定プログラムを実施する際、一層の作業が必要だと指摘している。発電所の管理者側はこれに対して、残りの課題に継続して取り組むとともに、長期的な安全運転が可能となるよう準備を怠らないとの決意を表明した。
 ミッションの終了時、レビュー・チームから手渡される暫定報告書に対して、管理者側とNNSAは事実関係をコメントする機会を与えられており、最終報告書は3か月以内にNNSAらと中国政府に提出されることになっている。

 (参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)