米オハイオ州議会で原子力発電所の支援法案が下院を通過
米オハイオ州は州内に早期閉鎖予定の原子力発電所を2つ擁しているが、CO2を排出しないこれら発電所の救済を目的とした法案が、5月29日に同州の議会下院で53対43の賛成多数で可決され通過した。 この下院6号法案は「オハイオ州におけるクリーン大気プログラムの策定法案」と呼称されており、クリーンなエネルギー源と認定された電源に対して、発電量1MWh毎に一定の行使価格を設定した「クリーン大気クレジット」を付与するという内容。州内で低炭素な電源を維持・開発することを目的としており、今年4月に同州の下院議員11名が超党派で議会に提出していた。
今後は上院での審議に回される予定だが、州内の石油・天然ガス企業は「これらの原子力発電所は高収益を上げており、財政的救済を必要としない」と反発。この法案により、州内の天然ガス等の発電企業および消費者が不利益を被るとして、上院に法案の却下を働きかけるとしている。
同州では、ファーストエナジー・ソリューションズ(FES)社がデービスベッセ原子力発電所(90万kW級PWR)(=写真)とペリー原子力発電所(130万kW級BWR)を運転中。財政的な事情により、これら2基とペンシルベニア州にあるビーバーバレー原子力発電所の2基(各90万kW級PWR)を、2020年から2021年にかけて早期閉鎖する計画を2018年3月に公表した。
具体的な理由としては、北米最大の地域送電機関(RTO)の「PJM」が同社の顧客エリアで電力システムと卸電力市場を運営しており、その容量オークションで良い結果が得られないことや、電力卸売り価格の長期的な低迷、電力需要の将来的な伸び悩みなどを提示。原子力発電所が直面する市場問題は、自らの力では制御不能であるため、原子力発電所が担う「無炭素で信頼性の高い電力の供給」という役割を両州の議員に認めさせ、政策的解決の道を模索する考えである。
(参照資料:オハイオ州議会の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月28日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)