フラマトム社、米社と開発中の次世代燃料用に米エネ省の支援バウチャー入手
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ライトブリッジ社のPWR用フルサイズ・モックアップ燃料集合体©ライトブリッジ社
特殊な組成の金属燃料である同燃料は、既存炉や将来型原子炉のいずれにおいても、出力増強や安全性と経済性の向上が期待できると言われており、米ニュースケール・パワー社が開発した小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」に装荷される可能性がある。エンフィッション社とニュースケール社は5月中旬、この燃料技術をNPMに一層適合させることを目的とした了解覚書を締結。NPMは現在、米国初のSMR設計として米原子力規制委員会(NRC)の設計認証(DC)審査にかけられており、2020年9月に完了する見通しである。
今回のバウチャーで、フラマトム社はDOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)と協力を実施する方針。それらの協力項目は、米国内で先進的燃料製品の商業化を早急に進める許認可上の重要ステップであり、NRCへの提出文書においても要求されるとしている。
DOEのバウチャーは、先進的原子力技術の商業化支援イニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」を通じて発給されている。フラマトム社がGAINのバウチャーを利用するのは今回で3件目だが、ライトブリッジ燃料の設計支援用としては最初のもの。
同社はこのバウチャーを活用して、ウラニウム-ジルコニウム金属燃料独特の現象に対応するとともに、燃料物質開発におけるINLの経験や知見・業績を活用していく。具体的には、今後1年以上にわたってINLとの協力により、同燃料概念について「故障モードの影響解析(FMEA)」を実施し、「同定した物理現象の重要度ランキング表(PIRT)」を作成。これらの作業に対してDOEは、47万7,000ドル相当の資金提供をINLに行うとしている。
(参照資料:フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)