トルコのアックユ2号機、今年の晩夏か初秋頃に本格着工へ

2019年6月11日

 6月8日付けのロシア国営タス通信によると、トルコ初となるアックユ原子力発電所の建設プロジェクトを請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は6月7日、今年の晩夏か初秋頃にアックユ2号機の原子炉系統部分で最初のコンクリート打設を実施できる見通しであることを明らかにした。
 同発電所では、第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)を合計4基建設予定で、昨年4月に1号機が本格着工した。これに続く2号機を首尾良く着工した後は、同社は3号機の建設許可を2020年第1四半期に取得する計画。その頃までには4号機についても、建設許可の申請に必要な文書を同国の規制当局であるトルコ原子力庁(TAEK)に提出するとしている。

 今回のコメントは、ロシア最大規模の「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)」が6日から8日まで同市で開催された際、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁が記者団に伝えたもの。それによると、原子炉系統の安全性に関わる部分を除き、2号機の準備作業など一般的工事がすべて可能となる部分的建設許可が昨年12月に発給されており、同社は今月から7月にかけて、TAEKが2号機の全面的な建設許可について最終的な判断を下すのを待っている。
 同総裁はまた、ロスアトム社がすでに、3号機の建設許可申請に必要な文書一式をTAEKに提出した事実に言及。同発電所では一年おきに各ユニットを着工する計画であるため、これに合わせてユニット間の作業間隔が少しでも狭まるよう試みているとした。
 トルコ側としては、1号機の運転開始を2023年までに何としても実現させたいと希望。また、同プロジェクトが原子力では世界初の「BOO(建設・所有・運転)方式」で建設されていることもあり、ユニット間の間隔削減は同社にとって非常に重要と認識している点を強調した。

 地中海沿岸のアックユ発電所建設プロジェクトについては、トルコとロシアの両国政府が2010年5月に2国間の建設・運転協力合意文書に調印した。ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が原子炉を完成させた後は、ロシアの100%出資により2010年12月に設立された事業会社のアックユ原子力発電会社が同発電所を保有する予定。ロシア側が負担する200億ドルという建設費を回収するため、トルコ企業と電力供給契約を結ぶほか、その他の国の企業も出資者として募集し、ロシアの所有権を51%まで下げていくとしている。

 (参照資料:タス通信社(ロシア語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)