フィンランドの最終処分場建設計画、地上の使用済燃料封入施設に着工
世界初の使用済燃料最終処分場をフィンランドのユーラヨキで建設しているポシバ社は6月25日、地上設備となる「使用済燃料封入プラント」の建設に着手すると発表した。これに伴い、処分場建設サイトの地下450m地点にある岩盤地質や水文学特性の研究調査施設「ONKALO」で掘削した区画にも、最終処分の開始に必要なシステム等を設置する計画。プロジェクトの成功には、安全な最終処分コンセプトの開発で十分な経験を持つ専門家や、プロジェクト管理面等でもプロの人材が必要であることから、同社はこれらの作業についても近い将来、契約を結ぶ予定である。また、現在のスケジュールで、同社は2023年頃に処分場の操業開始を見込んでいるが、これには別途、操業許可の取得プロセスが必要になるとしている。
フィンランドでは、CO2を出さない原子力発電所で発電する前提条件として、発電所の利用期間全体にわたる管理義務が設けられている。このため、国内でロビーサとオルキルオト、2つの原子力発電所をそれぞれ操業するフォータム社とティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は、使用済燃料最終処分の実施主体となるポシバ社を共同で設立した。
同社は2000年に、オルキルオト原子力発電所の近郊エリアを処分場の建設サイトに選定。同じ年に政府が最終処分プロジェクトを「原則決定(DIP)」したのに続き、議会も2001年に同DIPを承認した。ポシバ社は2012年12月、地下約400~450m地点に深地層処分場を建設する許可申請書を政府に提出しており、2015年11月に同許可を取得。翌2016年11月から、総工費約5億ユーロ(約609億円)の建設工事を開始した。
同処分場は、地上の使用済燃料封入プラントと3種類の地下設備で構成される。封入プラントでは、輸送キャスクを受け入れた後、使用済燃料を最終処分用キャニスターに入れ替えるが、この作業は燃料取り扱いセル内で厳密に行われる。また、処分用キャニスターの内部には、使用済燃料集合体とともにアルゴン・ガスが充填され、蓋の部分を電子ビームで溶接。溶接部の密閉性は、X線や超音波などの非破壊検査で点検することになる。
ポシバ社によれば、同プラントは燃料の封入途中で何らかの事象が発生した場合でも、環境中に危険な量の放射性物質が放出されないよう設計されており、点検をパスしたキャニスターは、リフトかアクセス・トンネル経由で深地下の処分施設まで運ばれると説明している。
(参照資料:ポシバ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)