英国政府、高レベル廃棄物最終処分場プログラムの進捗状況を報告
英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は6月27日、政府が進めている高レベル放射性廃棄物の深地層最終処分場(GDF)建設プログラムについて、背景と進展状況を説明する8回目の年次報告書を公表し、2014年の「深地層処分の実施に関する白書」で設定された初期活動が完了したことを明らかにした。
GDFの建設に適したサイトを特定するため、BEISは関連自治体との連携プロセスについて提案する政策文書案と、イングランド地方における深地層処分のインフラ設備に関する国家政策声明書(NPS)の案文を2018年1月に公開協議に付した。その結果を受けて、BEISは同年12月に同政策文書の最終版を公表し、地元の合意ベースでサイトを特定するという、新たな選定プロセスの開始を表明した。NPS案については同年夏に、議会の上下両院と関係委員会による精査が完了したことから、まもなく改定版が議会審議にかけられることになる。
このようなNPS関係の動きは、国家的な土地利用計画における初期活動が完了したことを意味するとBEISは指摘。地層処分の実施に関する包括的な政策文書についても、処分の実施主体である放射性廃棄物管理(RWM)会社がGDFに適したサイトの選定で、イングランド地方の地元当局やコミュニティとどのように関わっていくか、などに関する政策が盛り込まれたとしている。
英国では、高レベル廃棄物を適切な岩盤層の深さ200m~1,000m地点に、人工的な多重バリアを備えた設備で隔離処分することが2006年に決定された。高レベル廃棄物の深地層処分については、最も安全かつ長期的な解決策であると国際的に認知されており、カナダやフィンランド、フランス、スイス、スウェーデン、米国などでも同様の計画を進めている。
英国における深地層処分プログラムの進展に関する年次報告書は、上院・科学技術特別委員会が2010年3月に提示した勧告を受けて、政府が同年の11月、議会に対して取りまとめることを約束。2017年4月から2019年4月までを対象とする今回の報告書は8回目のもので、政府による取りまとめはこれで終了し、今後はRWM社が一層具体的な分野の活動について、進捗状況を適時取りまとめることになる。
2014年の白書には深地層処分の実施に向けた初期活動として、(1)土地利用計画プロセスの策定、(2)地元コミュニティとの協力準備、(3)国家的な地質学スクリーニング(NGS)――などを設定。サイト選定に向けた政策枠組については、参加コミュニティが選定プロセスの初期段階から投資の恩恵に浴することや、プロセスの途中でいつでも離脱が可能であること、RWM社から建設合意を求められる前にGDFの受け入れ意思を表明しなければならないこと――などが明記されていた。
なお、ウェールズ地方においても、同様の選定プロセスが2019年1月から開始されている。
(参照資料:BEISの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月2日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)