ロシアが中国の高速実験炉と実証炉に燃料供給
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社傘下の原子燃料製造企業であるTVEL社は7月9日、中国北京の原子能科学研究院(CIAE)で2011年7月に送電開始した高速実験炉「CEFR」(グロス出力2.5万kW)に、交換用の燃料集合体1バッチ分を供給したと発表した。
同社はまた、2017年12月から福建省霞浦で建設されている高速実証炉「CFR-600」(グロス出力60万kW)にも燃料を供給することになっており、今年1月にはそのための契約を中国核工業集団公司(CNNC)の1部門であるCNLY社と締結。これらの高速炉用燃料はともに、モスクワ地方にあるエレクトロスタリ機械建設工場で製造された、あるいは製造予定だとしている。
CEFR用の燃料集合体は、TVEL社がCIAE、およびCNNC直属の国際貿易会社の中国原子能工業有限公司(CNEIC)と結んだ契約に基づいて供給された。TVEL社の発表によると、ロシアからの燃料供給は高速炉技術開発に関する中ロ協力全体のなかで不可欠の部分。ロスアトム社が直接、設計に関わったCEFRプロジェクトに続き、中国国産炉となるCFR-600計画についても、両国が協力関係にある点を強調した。
ロシアはこれまでに、江蘇省の田湾原子力発電所で100万kW級ロシア型PWR(VVER-1000)の1~4号機を建設。中国企業が現在建設中の5、6号機では、CNNCが開発した第3世代のPWR設計「ACP1000」が採用されたものの、7、8号機については第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER-1200)を採用することが決まっている。ロシアはまた、遼寧省の徐大堡原子力発電所3、4号機として、同様の120万kW級VVERを建設するため、今年6月に中国と一括請負契約を締結した。
TVEL社は中国との協力関係について、戦略的かつ圧倒的な規模を持つものだと説明している。同社はすでに、田湾発電所で稼働する4基のVVER-1000に燃料を供給しているほか、CNNC傘下の企業が四川省宜賓市で操業中の軽水炉用燃料成形加工工場に、VVER-1000燃料の成形加工技術をライセンス許可に基づいて移転。同工場にはまた、ロシア製の燃料取り扱い機器等も提供している。
これらに加えて同社は現在、ロスアトム社が中国で建設予定のVVER-1200への燃料供給についても交渉中である。
(参照資料:TVEL社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)