廃炉・バックエンドをテーマに日台が専門家会合
原産協会は台湾の関係者と共同で7月24日、台北市内で「日台原子力専門家会合」を開催した。3回目となる同会合では、ともに廃炉に対する社会的関心が高まっていることから、前回(2017年7月に東京で開催)に引き続き「廃炉およびバックエンド」がテーマとなった。台湾側の主催者は、中華核能学会放射性廃棄物管理学術委員会他。冒頭挨拶に立った黄慶村・同委員長は、国内でバックエンド問題に対して不安の声が寄せられている一方で、具体的な対策を打ち出せておらず、台湾としては「待ったなしの状況」になっていると指摘。その一方で「世界では既に多くの先行事例があり、ノウハウを共有することで解決が見出せる」と同会合の意義を述べた。
続いて挨拶に立った原産協会の高橋明男理事長は、原子力発電事業は建設・運転・廃炉というフェーズを経ていく事業であり、廃炉が円滑に実施されることでライフサイクルが完結すると強調。適切なバックエンド対策を進めることで、日台双方の社会に貢献することができるとし、ディスカッションが実りあるものとなるよう期待を寄せた。
その後、日本台湾交流協会台北事務所・星野光明首席副代表、台湾電力・蔡富豊副社長の挨拶に続き、プレナリーセッションが開催された。日本側からは電気事業連合会・渥美法雄原子力部長が日本の現状について基調講演。再稼働へ向けた各プラントの状況や、廃炉計画について説明。廃炉の実際の事例としてJPDRや東海発電所、浜岡1・2号機を紹介したほか、廃棄物処分の現状について、使用済み燃料の中間貯蔵施設や高レベル放射性廃棄物の地層処分計画などの概要を説明した。
台湾側からは台湾電力の劉興漢バックエンド部長が、台湾の現状を説明した。台湾では脱原子力政策により、2025年までに全ての原子力発電プラントが閉鎖される。台湾の国内法では、廃炉計画認可後は廃炉作業を即時開始することが定められており、認可後25年以内に更地に戻すこととされている。既に金山発電所(BWR-4×2基)では昨年廃炉計画が認可されたほか、国聖発電所(BWR-6×2基)も廃炉計画を提出しており、馬鞍山発電所(PWR×2基)では提出の準備を進めている状況。
ここにおいて、廃棄物の保管先が喫緊の問題となっており、低レベル廃棄物については最終処分場建設に向け、サイト選定の手続きが準備されているが、手続きを進めるには地元自治体による住民投票が不可欠となっている。一方、地元自治体はこれに反対するため、住民投票の実施を拒否しており、事実上凍結状態にある。
この他、使用済み燃料の乾式貯蔵施設についても、地元自治体の理解が得られず運用が進んでいないことなどが説明された。
会合はこの後、廃炉/使用済み燃料の乾式貯蔵/低レベル廃棄物の各論に分かれ、専門的な討論を実施した。