米国で建設中のボーグル3号機、初装荷燃料を発注
米国のジョージア・パワー社は7月30日、同国で約30年ぶりの新設計画として進めているA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各110万kWのPWR)(=写真)建設プロジェクトで、3号機の初装荷燃料を発注したと発表した。価格は明らかにしていないが、2020年夏にも建設サイトに搬入と見られている。 3、4号機は2013年3月と11月にそれぞれ本格着工。ほぼ同時期に着工したV.C.サマー2、3号機(各110万kWのPWR)と同じく、米国初のウェスチングハウス(WH)社製AP1000となっている。設計初号機の建設にともなう様々な問題や、2017年3月にWH社が米連邦倒産法に基づく再生手続を申請したこともあり、両炉の完成日程は当初計画から約4年先送りされ、現在はそれぞれ2021年11月と2022年11月となっている。
なお、WH社の倒産申請を受けて、V.C.サマー2、3号機は2017年7月に建設中止が決定した一方、中国で2009年から2010年にかけて着工した4基のWH社製AP1000(三門1、2号機、海陽1、2号機)はすべて、世界初のAP1000として、2018年9月から今年1月までの期間に営業運転を開始している。
ジョージア・パワー社の発表によると、3号機用の初装荷燃料は合計157体で、一体の高さは4mほど。運転開始後は、燃料交換のための停止毎に約3分の1ずつ取り替える。
3号機の建設サイトでは今年3月、格納容器上部にドーム屋根が据え付けられており、これをもって同炉の大型機器やモジュールはすべて設置が完了。記念式には米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官やジョージア州のB.ケンプ知事、S.パーデュー農務長官、ジョージア州公益事業委員会の委員5名らが招かれており、ペリー長官はその際、ボーグル・プロジェクトに対するジョージア・パワー社分への追加融資保証額として、約16億7,000万ドルが最終決定したことを明らかにした。
ジョージア・パワー社はまた、3台の低圧タービン・ローターと発電機ローターを3号機のタービン建屋内に据え付け完了した。タービン・ローターはそれぞれ重さが約200トンで、毎分1,800回転する設計。高圧タービン・ローターも、今後数週間以内に設置する予定である。
同社は今後も、常時8,000名ほどの作業員体制で建設工事を進めていくが、3、4号機の完成後も正社員として約800名を雇用する。このため同社は、このプロジェクトはジョージア州内でも最も多くの雇用機会を提供していると強調した。
(参照資料:ジョージア・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月31日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)