世界で2基目のEPR、中国の台山2号機が営業運転開始
中国広核集団有限公司(CGN)の子会社で、フランス電力(EDF)が30%出資する台山原子力発電合弁会社(TNPJVC)は9月8日、世界で2基目のフラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)の台山原子力発電所2号機(PWR、175万kW)が、7日に営業運転開始条件の1つであるフル出力で168時間の連続実証運転を完了したと発表した(=写真)。世界初のEPRとして昨年12月に営業運転を開始した同1号機に次ぐもので、台山2号機は中国で47基目の商業炉となった。台山サイトのI期工事にあたるこれら2基は、年間240億kWhの無炭素電力を生み出すことから、TNPJVCは年間803万トンの標準炭の消費が抑えられるとともに、削減されるCO2排出量は2,109万トンに達すると予測している。また、第3世代原子力発電所の貴重な建設経験は、英国のヒンクリーポイントC発電所(HPC)計画など、後続のEPR建設プロジェクトに提供し、中仏両国の協力による第三国での建設市場開拓に活かしたいとしている。
発表によると、1980年代に始まった中仏両国の原子力発電協力は、長年にわたって良好な結果をもたらしている。CGNは仏国からM310型PWRの技術と管理経験を学び、主要機器を英仏両国から購入し、1994年に中国初の100万kW級商業用原子力発電所、大亜湾1、2号機を完成させた。
90年代になるとCGNは仏国との協力関係を一層強化し、嶺澳原子力発電所I期工事(各99万kWのM310型PWR)の2基を建設。大亜湾発電所で1%以下だった機器の国産化率は30%に拡大している。また、CGNとEDFは2007年に、新たに台山発電所の2基の建設で協力することを決定。1、2号機をそれぞれ、2009年と2010年に本格着工した。
これに続いて、CGNは2015年10月、EDFエナジー社が英国で進めているHPC発電所建設計画に33.5%出資し、後続のサイズウェルC発電所建設計画にも20%出資することで同社と合意。さらに、ブラッドウェルB発電所建設計画では、中国が輸出を主目的とする第3世代設計として独自開発した100万kW級PWR設計「華龍一号」が採用されることになった。これらの合意により、中仏の原子力協力は第三国における協力も含めて、新たなモードに入ったとTNPJVCは指摘している。
(参照資料:TNPJVC、EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)