米デューク・エナジー社が11基の既存炉で2回目の運転期間延長へ
米国の南、北カロライナの両州で6サイト・11基(合計出力約1,123万kW)の原子炉を所有・運転するデューク・エナジー社は9月19日、これらの原子炉で2回目の運転認可更新申請を行い、運転開始当初からの運転期間をそれぞれ80年に延長する方針を発表した。
これらの原子力発電所(ブランズウィック1、2号機、カトーバ1、2号機、シアロンハリス1号機、ウィリアム・B.マクガイヤー1、2号機、オコニー1~3号機、H.B.ロビンソン2号機)は、出来る限り低炭素な電力の供給という同社の目的の遂行上、重要な役割を担っており、2018年にこれらが発電した720億kWh以上の電力により、合計約5,400万トンのCO2排出が抑制されたと同社は指摘。これは1千万台以上の乗用車の排出量に相当するとした。
同社は2005年以降、同社の発電設備が排出するCO2をすでに30%削減。2030年までに少なくとも50%削減するとともに、2050年には実質ゼロにするという意欲的な目標を掲げている。この目標の達成に不可欠な11基のうち、同社は差し当たりオコニー原子力発電所の3基について、2021年にも2回目の運転認可更新申請書を米原子力規制委員会(NRC)に提出する考えである。
NRCは新規に運転開始する原子炉に対して40年間の運転を許可するが、デューク・エナジー社によるとこれは経済的配慮に基づくもので、技術的な制限ではない。一度に延長可能な運転期間が20年であるため、2回目の運転認可更新プロセスではさらに追加の20年間に原子炉が安全に稼働できるかについて、NRCは包括的な分析評価を実施。まず、申請書の受け入れ審査を行い、その後18か月間かけて申請書そのものを審査することになる。
オコニー原子力発電所など、同社所有の発電所の中でも比較的古いものは、現行の運転認可が2030年代初頭に満了する。これらの発電所では長期にわたって、厳格な予防措置的メンテナンス・プログラムや技術面のアップグレード、投資等が行われており、堅実な運転実績を残すことに大きく貢献。2018年にこれらの発電所では、20年連続で90%以上の設備利用率をマークしたと同社は強調している。
米国では近年、巨額の初期投資を必要とする大型原子力発電所の新規建設計画が一段落し、既存の商業炉で事業者が運転期間を延長する動きが顕著になっている。NRCはすでに、稼働中の商業炉97基のうち、94基(※このうち5基は早期閉鎖済み)に対して1回目の運転認可更新を承認。2回目の更新申請を受理したものとしては、ピーチボトム2、3号機、ターキーポイント3、4号機、およびサリー1、2号機があり、審査を実施中である。
(参照資料:デューク・エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)