英政府、最終処分場建設プログラムで「国家政策声明書」を発行

2019年10月18日

 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は10月17日、高レベル放射性廃棄物等の深地層処分インフラ設置に向けたプロセスで、プロジェクトの実施に必要な開発同意書(DCO)の発給審査の基礎となる「国家政策声明書(NPS)」を発行したと発表した。
 イングランド地方における同インフラ設備(深地層処分場と深地層調査用ボーリング孔)の開発については、BEISが2018年1月から4月にかけてNPSの案文を、建設サイトの選定プロセス提案文書とともに公開協議に付した。得られたコメントを勘案したNPS案文は、同年の夏に議会の上下両院、および関係委員会による精査が完了、今年7月からは改定版が再び議会審議にかけられていた。

 BEISのN.ザハウィ・ビジネス産業担当相はNPSの発行について、「議会審議プロセスの最終ステップであり、高レベル廃棄物の管理で英国が解決策を見出す重要な節目になる」と指摘。そのような廃棄物を安全・確実に管理するインフラの「必要性」がNPSでは明確に説明されており、計画審査庁が深地層処分インフラの開発でDCOの発給判断を下す際、適切かつ有効な枠組を提供することになるとした。
 また、今回のNPSでは2008年の計画法に従い、同NPSが持続可能な開発に貢献するとともに、気候変動の影響緩和と適応、景観等への配慮がなされていることなどを保証する「持続可能性評価(AoS)」の結果と、サイト選定で考慮すべき点などを考慮する「生息環境規制評価(HRA)」の結果が含められた。ザハウィ・ビジネス産業担当相はこれら2点についても最終版を発行し、BEISのウェブサイト上に掲載したことを明らかにした。

 今回のNPSによると、高レベル廃棄物を深地層処分場で長期的に管理することは、技術的、倫理的および法的側面からも必要なものであり、最良の処分方法であるという点では国際的に圧倒的合意が得られている。その他の処分方法についても検討が行われたが、いくつかの側面で適切でないことが判明。仮に、高レベル廃棄物のいくつかのカテゴリーで他の管理オプションを進めた場合でも、現実的な将来シナリオにおいてはやはり、深地層処分場が必要になるとしている。

 (参照資料:BEISによる議会声明発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月17日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)