カナダの深地層処分場、サイト選定プロセスで2本目の試験坑 掘削が完了

2019年10月29日

試掘坑の掘削現場©NWMO

 カナダで使用済燃料の処分事業を担当する核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は10月15日、深地層処分場の建設サイト選定のため、オンタリオ州イグナス地域で進めていた2本目の試験坑のボーリング作業が9月中旬に完了したと発表した。
 同処分場の受け入れ自治体については、NWMOが2010年から選定手続を開始。イグナス地域は、オンタリオ州とサスカチュワン州で関心表明していた22地点のうちの1つである。選定プロセスの第3段階において、第1フェーズの予備評価の結果から同地域を含む9地点が2015年に第2フェーズに選ばれ、地質調査や制限付きボーリング調査が実施されることになったが、その後の調査で候補地点はオンタリオ州内の5地点に絞られた。NWMOは同地域でボーリング作業を継続し、最終的に施設の受け入れに協力的な1地点を2023年までに選定することになる。

 残っている5地点は、イグナス地域のほかにヒューロン=キンロス、サウスブルース、ホーンペイン、およびマニトウェッジの各地域。イグナス地域での試験坑掘削は2017年11月から始まっており、NWMOは掘削済みの2本で現場試験を行うほか、掘削時に掘り出した円柱形の地質サンプルや採取水等の分析・調査を国内外の研究所で進めていく。
 現場試験には約8週間を要するのに加えて、その後に研究所で実施する分析作業については数か月かかる見通し。しかし、このような作業を通じて地球科学や地力学、石油物理学に関する様々なパラメーターが得られ、地層に対する統合的理解が深まるとした。
 NWMOはまた、1本目と2本目の試験坑から2.5km離れた地点で、すでに3本目のボーリング作業を開始。さらに4本目~6本目に関しても、今月から掘削準備を始めている。地層科学に関する情報やデータ、知見を収集して、使用済燃料の長期的な安全管理のためにカナダが策定した計画を前進させたいとしている。

 (参照資料:NWMOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月28日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)