ロシアのコラ2号機、運転期間を合計60年まで延長する工事終え 再稼働

2019年11月26日

©ロスエネルゴアトム社

 ロシアの民生用原子力発電公社であるロスエネルゴアトム社は11月21日、北極圏のムルマンスク地方で電力需要の約6割を賄うコラ原子力発電所(44万kWのロシア型PWR×4基)(=写真)で2号機の運転期間が15年延長され、2034年まで稼働が可能になったと発表した。
 1974年に送電開始した同炉は、すでに2004年に初回の運転期間延長として15年間が認められており、今回の延長により同炉のトータルの運転期間は60年に延長。今月20日付で国内送電網に再接続されている。

 第3世代+(プラス)より前の世代のロシア型PWR(VVER)の公式運転期間は最大30年だが、同国では連邦政府の原子力発電所開発プログラムや、ロスエネルゴアトム社の運転期間延長プログラム等に基づき、運転開始後30年が経過しつつある原子炉から適宜、10~25年ほど期間の延長対策が進められている。
 これまでに、レニングラード原子力発電所(Ⅰ期工事)の4基(各100万kWのRBMK)それぞれについて、運転開始後30年目に15年間の運転期間延長が承認され、1号機は送電開始後45年目の2018年末に永久閉鎖、2~4号機は2020年~2026年頃まで運転の継続が可能になった。ノボボロネジやクルスクの両発電所でも、経年化したものから順に15年ずつ運転期間が延長されているほか、バラコボ発電所(100万kWのVVER×4基)では今の所1~3号機まで、追加で約30年ずつ延長が認められた模様。それぞれの合計運転期間は約60年となった。さらに、カリーニン発電所(100万kWのVVER×4基)でも今月23日から、1号機の運転期間を2044年まで60年間に拡大する大規模な設備の最新補強作業が始まっている。

 コラ発電所については、1973年に送電開始した1号機の運転期間が2003年に15年間延長された。2018年に2回目の運転期間延長措置が取られたため、現在の運転認可の有効期限は2033年である。
 2号機については、設備の最新補強作業が279日間にわたって行われ、すべての診断・制御システムの更新とデジタル機器や新たなハードウェアとソフトウェアの設置、受動的安全システムの導入など、すべての作業が完了したのは今年10月下旬のこと。同炉は同月26日に試運転を開始し様々な試験を実施していたが、規制当局の連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)は今月13日、同炉を一旦停止した上で、最新補強作業の品質と原子炉設備の安全運転を最終確認する手続きを指示していた。

 (参照資料:ロスエネルゴアトム社(ロシア語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)