加SNC-ラバリン社、中国が建設予定の第3世代・重水炉で準備作業契約 受注
カナダのSNC-ラバリン社は12月2日、中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核能電力股分有限公司(CNNP)が2021年頃に中国国内で着工予定の新型重水炉(AHWR)2基について、プロジェクトの準備作業契約をSNC社の完全子会社であるCANDUエナジー社が受注したと発表した。同契約の下、主に建設プロジェクトに備えた計画の立案と許認可手続に関わる作業を実施する。
中国では現在、CNNCがカナダ原子力公社(AECL)から導入したカナダ型加圧重水炉(CANDU)が2基(各72.8万kW)、秦山原子力発電所Ⅲ期工事として稼働中で、SNC社はAHWRがCANDU炉設計に基づいて開発されている点を指摘。AHWRは第3世代の70万kW級重水炉(HWR)であり、様々な革新的技術を採用したことで、この世代の設計に要求される事項や最新の国際的な安全基準に適合している。その中でも、新たに動的と静的両方の改良型安全系が装備されたほか、メンテナンス経費や資本コストが削減された標準設計になるとした。
同社のこの説明は、2016年9月に同社とCNNC、および製造集団である上海電気が「新型燃料CANDU炉(AFCR)」を共同で開発、販売、建設するため、合弁事業体の創設で原則合意した際の、AFCRの説明と同一である。同社と中国側パートナーは、すでに2011年からAFCRの開発を開始し、AFCRの最初の2基は中国で建設するとしていたことから、今回のAHWR計画はこの協力の成果と見られている。
SNC社は2011年にAECLのCANDU炉事業を買収していたため、AHWRプロジェクトではその設計と解析、建設、起動、運転に適用される規制面と安全面の要件に沿って、許認可手続の概要説明文書を作成する。具体的には安全設計ガイドや、安全性に関わる設計変更部分の評価書などを準備する。
一方のCNNPはこれまで、中国で稼働する原子力発電所の多くで建設と運転を担当しており、秦山発電所Ⅲ期工事については株式の過半数を保有している。また、上海核工程研究設計院(SNERDI)がAHWRプロジェクトの一般設計を担当する組織として参加。今回の契約に関しても、SNERDI はSNC社がCNNPに代わって提出する文書の受け入れと審査を担当するなど、技術管理者の役目を果たすとしている。
(参照資料:SNC-ラバリン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月3日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)