米規制委、ターキーポイント3、4号機で2回目の運転期間延長を承認、全米初の80年運転へ

2019年12月6日

©FPL社

 米原子力規制委員会(NRC)は12月5日、フロリダ・パワー&ライト(FPL)社がフロリダ州で操業するターキーポイント原子力発電所3、4号機(各76万kWのPWR)(=写真)に対して、2回目の運転期間延長を承認したと発表した。
 両炉は、1972年と1973年にそれぞれ営業運転を開始。当初の認可運転期間である40年に加えて、すでに2002年に追加で20年間の運転継続を承認されている。今回さらに、20年が追加されたことから、それぞれの合計運転期間は全米で初めて80年に延長され、3号機は2052年7月まで、4号機は2053年4月まで操業することが可能になった。
 現地の報道によると、FPL社のスポークスマンが今回の判断について、「クリーンで信頼性が高く、価格も適正な原子力発電をフロリダ州で継続していく大きな節目になった」と評価。これら2基の運転継続に向けて多額の資本を機器の改修に投下したこと、確かな安全運転実績をこれまでに2基で積み重ねてきたと強調した。

 FPL社が両炉について、2回目の運転期間延長を申請したのは2018年1月のことである。NRCは同年5月に申請書を受理しており、NRCの担当部門は今年7月に安全性評価報告書の最終版(FSER)を発行したほか、10月には環境影響評価について補足文書の最終版(FEIS)を発行。これらの中で、両炉の運転期間をさらに20年延長したとしても、安全面や環境影響面の問題はないと結論付けている。
 また、NRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)と原子力安全許認可会議(ASLB)も、同申請の安全性に関わる部分を審査した。ACRSは同申請について、「一般国民の健康や安全を過度のリスクにさらすことなく、両炉は追加の期間も運転し得る」と勧告、ASLBは複数の国際環境保護団体が共同で申し立てていた同申請への異議を退けた。

 米国の商業炉における運転開始当初の認可運転期間は40年だが、これは技術的な制限ではなく、経済性と独占禁止の観点からのもの。40年あれば原子力発電所は通常、電気料金によって費用の回収が完了するため、減価償却の観点から議会がこの期限を定めた。それ以降は20年間ずつ、追加の運転期間について、NRCに申請することになっている。
 NRCはこれまでに、約100基の商業炉のうち91基(うち5基は早期閉鎖済み)に対して初回の運転期間延長を承認しており、運転を開始して以降60年間の運転継続が一般的。2回目の運転期間延長に関しては、FPL社のほかにエクセロン社がピーチボトム2、3号機で、ドミニオン社がサリー1、2号機で申請を行っており、NRCはそれぞれについて2018年7月と10月から審査を実施中である。
 ドミニオン社はまた、ノースアナ1、2号機についても2回目の申請意思をNRCに連絡済みで、実際の申請は2020年10月から12月の間に予定されている。このほか、南北カロライナの両州で6サイト・11基の商業炉を運転するデューク・エナジー社が今年9月、これらの原子炉で2回目の運転期間延長を申請する方針を表明している。

 (参照資料:米規制委の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)