UAEのバラカ1号機、WANOが起動前審査で準備の完了を確認
アラブ首長国連邦(UAE)で原子力発電導入事業を担当する首長国原子力会社(ENEC)および同社の子会社で発電所の運転管理を担当するNAWAHエナジー社は1月28日、初号機となるバラカ原子力発電所1号機で起動の準備が整っていることを世界原子力発電事業者協会(WANO)が確認したと発表した。これは、WANOの原子力国際専門家チームが同炉の起動前準備状況について広範に評価した結果に基づいている。今後すべての起動要件が遵守されていることを連邦原子力規制庁(FANR)が確認し、NAWAHエナジー社に運転認可を発給し次第、今年の第1四半期にも同社は1号機に燃料を装荷し、出力上昇試験に向けた起動シークエンスを開始するとしている。
同発電所建設サイトでは2012年7月以降、韓国製の第3世代140万kW級PWR「APR1400」×4基が順次着工しており、2018年3月には1号機の竣工式が執り行われた。現在、2号機の建設進捗率は95%以上、3号機が91%以上、4号機は83%以上で、発電所全体の進捗率は93%に達しているが、運転員の訓練とFANRからの承認取得に時間を要するため、ENECらは1号機の燃料装荷日程を延期して国内外の複数の規制機関等による評価審査を実施していた。
発表によると、昨年11月に1号機で実施されたWANOアトランタ・センターの「起動前審査(PSUR)」は、産業界の国際基準に沿った評価審査であると世界的に認識されており、ENEC社とNAWAH社はともにWANOの会員組織となっている。WANOの専門家チームは1号機の安全な起動と運転、すなわち運転員の能力や運転管理、作業管理、緊急時対応に至るまで、多数の機能について審査を実施した上で今回の最終結果をUAE側に伝えたもの。
原子力関係機関とのこのような国際協力は、UAEが2008年の政策「原子力平和利用開発の可能性と評価」の中心項目となっている。この政策でUAEは、原子力発電所の操業に透明性を持たせるとともに最高レベルの安全・セキュリティを追求する主要な手段として、WANOやその会員と互いの評価結果や経験を共有し、フィードバックするとの目標を設定していた。
ENECのM.アル・ハマディCEOは、「今回の結果から安全・セキュリティ等の追求に向けた決意が我々のプラントで全面的に実行されていることが国際的に認知された」と強調。今後60年間にわたって、クリーンで安全、信頼性の高い電力をUAEの成長のために供給できるよう、NAWAHエナジー社を支援するとした。
NAWAHエナジー社のM.レデマンCEOも「パートナーらと緊密な連携を続け、運転認可の取得準備が整っていることをアピールしていきたい」と述べた。
(参照資料:ENECの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月28日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)