仏安全局、130万kW級原子炉8基で非常用発電機の不具合をINES「レベル2」に判定

2020年2月10日

パンリー発電所の非常用発電機©Edf-Marc-Caraveo

 仏原子力安全規制当局(ASN)は2月6日、国内で稼働する8基の130万kW級PWRで、地震発生時に非常用ディーゼル発電機(=真)を動かす機器の一部に不具合があると報告された件について、国際原子力機関(IAEA)の国際原子力事象評価尺度(INES)で下から3番目の「レベル2:異常事象」に判定したと発表した。
 この事象は、仏国内すべての原子炉を所有・運転するフランス電力(EDF)が1月31日にASNに伝えたもので、外部からの電力供給途絶につながるような地震が発生した際、機器の耐震面の脆弱性により所内に電力を供給する非常用発電機の稼働を保証できないという内容。これらの不具合は昨年2月の点検時にASNが確認しており、具体的には(1)弾性パイプを接続する金具の接続不良、(2)パイプとその支持構造の一部における腐食、(3)電源盤の一部の接続不具合、――の3タイプだとしている。

 ASNによると、この事象が周辺住民や環境に影響を及ぼすことはないが、1つの原子炉で地震発生時に非常用発電機が2つとも機能不全に陥った場合、影響が出る可能性が懸念される。このため、INESの「レベル0:安全性に影響を与えない」から福島第一原子力発電所事故の「レベル7:深刻な事故」まで、8段階評価のうち「2」に判定したと説明。対象となる原子炉としては、フラマンビル1、2号機、パリュエル1、3、4号機、ベルビル1号機、ノジャン・シュール・セーヌ1号機、およびパンリー2号機の8基を挙げた。
 ASNはまた、不具合がそれほど深刻ではなく、2つの発電機が同時に機能しなくなる心配がない別の8基の130万kW級PWRについては「レベル1:運転制限範囲からの逸脱」に指定。これらは、パリュエル2号機、サンタルバン・サンモーリス2号機、ベルビル2号機、カットノン1、3号機、パンリー1号機、ショーB2号機、シボー1号機となっている。
 これらの不具合はすべて、原子炉関係のものはEDFが修理するほか、弾性パイプ接続金具の不適切な組立に関しては、次回の定検時までモニタリングを強化した上で取替を実施する。なお、フラマンビル2号機は現在定検に入っていることから、すでに修理作業を実施中だとしている。

 (参照資料:ASN(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)