英国で中国製「華龍一号」設計の事前設計認証審査が最終段階へ

2020年2月14日

©CGN

 英国の原子力規制庁(ONR)は2月13日、中国製の第3世代原子炉設計「華龍一号」の英国版(UK HPR1000)(=断面模型図)で実施中の包括的設計審査(GDA)で第3ステップが完了し、最終段階の第4ステップに進展することになったと発表した。
 GDAは英国で初めて建設される原子炉設計に対して行われる事前設計認証審査で、100万kW級の「UK HPR1000」設計についてはEDFエナジー社による複数の新規原子炉建設プロジェクトに協力する中国広核集団有限公司(CGN)が中心的役割を担い、エセックス州のブラッドウェルB原子力発電所として2基建設する予定である。
 同設計のGDAは2017年1月に開始され、その第3ステップでは19の技術分野と分野横断的課題に関する詳細な評価作業が行われた。その結果、ONRは「次の段階に進むのに十分な情報が、審査活動の管理会社としてCGNらが設置したジェネラル・ニュークリア・システム(GNS)社から得られており、これまでところ同設計への設計容認確認書(DAC)発給を阻むような安全・セキュリティ上の根本的欠陥は見受けられない」と結論付けた。
 最終的に同設計にDACが発給されるのは、2021年後半頃になると見られている。

 同審査では、ONRが対象設計の安全・セキュリティ面について英国の厳しい基準が満たされているか、約5年をかけて評価するほか、環境庁(EA)が環境保護と放射性廃棄物管理の側面について評価作業を実施。現在サマセット州のヒンクリーポイントC原子力発電所として建設中の「欧州加圧水型炉(EPR)」設計については、ONRとEAが2012年12月にそれぞれ、初のDACと設計容認声明書(SoDA)の発給を決定した。
 また、東芝がNuGen社を通じてカンブリア州のムーアサイドで建設を計画していたウェスチングハウス(WH)社製「AP1000」設計に対しては、WH社が米国で破産申請を行った2017年3月29日の翌日にONRらがDACとSoDaを発給。同年12月には、日立製作所がホライズン社を通じてウェールズ地方アングルシー島で建設予定だった日立GE社製の「英国版ABWR」設計にも、これらを発給済みとなっている。
 
 「UK HPR1000」の今後のGDAに関してONRは、「これまでの作業は順調に進展中だが、GNS社の出資企業であるCGNとその子会社およびEDFエナジーの親会社には未だ成すべき作業が山積しており、ステップ4でも引き続き同設計の安全・セキュリティ面を厳しく評価していく」としている。

 (参照資料:ONRGNS社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)