トルコで建設中のアックユ1号機向けに原子炉容器の最終溶接作業が完了 

2020年2月17日

©AEM社

 トルコ初となるアックユ原子力発電所(120万kWのロシア型PWR×4基)の建設プロジェクトで、4基分すべての機器とタービン系の製造を担当するロシアのアトムエネルゴマシ(AEM)社は2月12日、同社のボルゴドンスク支部(AEMテクノロジー社)が1号機の原子炉容器(RV)となる上下2つの容器胴(=写真)で最終溶接作業を完了したと発表した。
 この建設プロジェクトは2010年5月にトルコとロシアが結んだ政府間協力協定(IGA)に基づいて進められており、2018年4月に地中海沿岸のメルシン地区で着工した1号機の運転開始は2023年に予定されている。2019年7月に同炉用の最初の大型機器としてコア・キャッチャーが建設サイトに到着したほか、同年12月には、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社がトルコで設置したプロジェクト企業が、同発電所をトルコの送電グリッドと接続するための契約を国営送電会社(TEIAS)と締結している。

 発表によると、10日間にわたったこの作業では、溶接部を150度C~300度Cに加熱した上で最終的な溶接作業を実施した。これに続いて、円筒型になった重さ約320トンのRVをクレーンで高炉の中に入れ、機械的強度を得るための熱処理を2日間行うほか、専門家がX線検査も含めて、幅広い分野の点検を実施するとしている。
 RVではまた、炉心内のモニタリング・センサーから出力するケーブルや制御棒駆動機構を上蓋の上部に設置する。また、容器胴の上半分には、冷却材を供給・排出するノズルや緊急時に回路が減圧された際に冷却材を注入するノズルも取り付けるため、上蓋と容器胴の接続部分はスタッド(植え込み)ボルトで固定する予定。RVの製造作業と並行して、AEM社は炉内構造物やRV上蓋なども製造中だとしている。

 (参照資料:AEM社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)