ポーランドの原子力導入計画、米国との協力を確認
米エネルギー省(DOE)は2月26日、ポーランド政府の代表とエネルギーに関する第三回目の戦略的対話をワシントンで開催した。同省のD.ブルイエット長官はこのなかで、ポーランドのエネルギー供給保証強化に向けた協力方策として、クリーンで信頼性が高く、送電網の一時的な機能不全からの回復力(レジリエンス)も高い原子力発電所をポーランドで建設することに、米国の原子力産業界が引き続き関心を抱いていると表明した。この認識はポーランド代表側も確認・共有しており、この対話に出席したポーランドのP.ナイムスキ戦略エネルギー・インフラ特任長官は自身のホームページで、「ポーランドとしてはCO2を排出しない原子力は国内のエネルギー供給ミックスにおける重要要素になると考えている」と説明。これは地球温暖化防止のための欧州連合(EU)目標とも合致していると述べた。同特任長官はまた、リンク付けした現地報道記事の中で「わが国との長期的な協力を望む数社の潜在的パートナーが米国におり、我々は原子力発電所の建設で現実的な解決策に近づきつつある」と指摘。大型原子力発電所の導入を目指して早ければ数か月以内、遅くとも一年ほどで建設パートナーを選定すると伝えている。
ポーランドでは石炭や褐炭といった化石燃料資源が豊富である。しかし、EUが2020年までのエネルギー政策目標の中でCO2排出量を2005年比で14%削減などを設定したため、ロシアからの石油と天然ガスの輸入量削減とエネルギー源の多様化を推進中。チェルノブイリ原子力発電所事故により、一度は頓挫した原子力発電の導入計画も進めている。
ナイムスキ戦略エネルギー・インフラ特任長官によると、ポーランドの現在の原子力導入プログラムでは、2040年から2045年頃に出力100万kW以上の大型炉を少なくとも6基、合計設備容量で900万kW分を約20年間に3段階に分けて建設する計画。これらの原子炉によって安全かつ安定的なエネルギーを20数%程度、60年にわたって確保する方針であり、いずれ同プログラムのパートナー企業を正式に招聘すると述べた。
両国のエネルギーに関する戦略的対話は、2018年9月に米国のD.トランプ大統領とポーランドのA.ドゥダ大統領が定期的に開催することで合意した。これを受けてDOEのR.ペリー長官(当時)は同年11月、ポーランドのK.トゥホジェフスキ・エネルギー相と会談し、この対話構想の下で民生用原子力協力に向けた作業グループの設置を決めるなど、先進的原子力技術を含めた両国間のエネルギー供給保証協力の強化で共同宣言に署名。その後、2019年中にすでに二回、戦略的対話を実施している。
(参照資料:DOEの発表資料、ナイムスキ特任長官HP(ポーランド語)、同リンク付け記事(1)、(2)(ポーランド語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月2日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)