露カリーニングラード原子力発電所建設に伊ENELの参画浮上

2010年5月11日

露カリーニングラード原子力発電所建設に伊ENELの参画浮上
ロシアは、ポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛び地であるカリーニングラードにVVER-1200(117万kW)、2基を建設し、電力の輸出を計画している。
国営原子力企業ロスアトムは、ロシア国内では初の49%出資の海外のパートナーを探していたが、現段階でイタリアの電力会社ENELが最適と判断、イタリアとロシアの首相が会談した際、ENELとインターRAO UESの代表が協定を結び協力方策を検討していくことになった。
インターRAO UESは、ロスアトムと原子力発電事業者ロスエネルゴアトムによりつくられた組織である。インターRAO UESは、カリーニングラード(バルト)原子力発電所への海外投資家に対し、契約条件を提示し、電力の輸出計画等を策定する。ポーランドとリトアニアを主な電力輸出先と考えている。一方、ENEL自身も、本プロジェクトにおいてイニシアチブを取るべく、独自に参加条件等について評価する模様であり、曲折が予想される。2基の稼動はそれぞれ2016年と2018年を目指す(2010年4月27日付WNN)。

コラム:リトアニアの原子力計画
 ヴィサギナス原子力発電会社のタダス マトゥリョニス・プロジェクト・マネージメント部長は、第43回原産年次大会(松江)にビデオメッセージよせ、リトアニアの原子力発電計画への参加を呼びかけた。概要次の通り。
 ―― サイト予定地は、環境影響評価が完了しており、環境省の承認も得、冷却水へのアクセス 、送電網、道路、鉄道などインフラが整備されている。また、2015年までには北欧3国、バルト3国、ポーランド、ドイツ、デンマークで電力の共通価格化を目指しており、電力価格が欧州と同レベルになると原子力発電プロジェクト投資メリットがある――。
 タダス部長は「リトアニアは独立心の強い政治的伝統と世論がある」とも強調しており、ロシアによる電力供給より西側の投資を優先して考えているようだ。今後のENELの動向や西側のリトアニアへの投資が注目される(2010.4.22 第43回原産年次次大会)。


(原産協会・国際部まとめ)

露カリーニングラード原子力発電所建設に伊ENELの参画浮上