米加州水資源委員会、発電所冷却水のワンス・スルー禁止
カリフォルニア州の水資源管理委員会(SWRCB)は5月4日、冷却水として海水や河川水を利用している19の発電所に対して、冷却水のワンス・スルー利用を禁止する規制方針案を採択した。ワンス・スルー冷却の規制により、PG&E社のディアブロ・キャニオン原子力発電所とSCE社のサンオノフレ原子力発電所を含め、ほとんど全ての発電所がワンス・スルー冷却方式の採用が禁止になる可能性がでてきた。SWRCBは、「新規制は、連邦クリーン・ウオーター法の規制要求にしたがって、州内の環境汚染対策を実施するもの」と説明している。
この規制方針案がカリフォルニア行政法局の審査で承認されれば、ディアブロ・キャニオン原子力発電所(=写真)は2024年、サンオノフレ原子力発電所は2022年までにクローズド・サイクルの冷却方式(冷却塔設置)に変える必要がある。
SCE社はこれに対し、冷却のための海水取り入れには革新的システムを採用しており、94%の海洋生物に対する害を防いでいる。さらに人工岩礁と湿地の両プロジェクトは、冷却水で影響される海生生物の6%を十分上回る生物効果をもたらしていると反論している。一方、米東部の2州(ニューヨークとニュージャージー)においても、原子力発電所を含む産業施設に対して冷却塔建設を要求する規制案が提出されている。ニューヨーク州では、同州の電力の3分の一を供給している6基の原子力発電所が稼働中で、仮に冷却塔設置が義務図けられると、約20億ドルの追加投資が必要になる。ニュージャージー州でオイスタークリーク原子力発電所を運転するExelon社は、冷却塔設置を義務付けられれば、同炉を閉鎖しなければならないと警告している。
現在、米国では104基の原子力発電所が稼動、うち35基が冷却塔を使用、60基は川、湖または海水によるワンス・スルー冷却、残りの9基はデュアルシステム(両方式を併用)。
(2010年5月6日付けWNN)
(原産協会・国際部まとめ)