(仏−米)EDF、カルバート・クリフス3号機建設に向けユニスター社を温存
フランス電力公社(EDF)とコンステレーション社がカルバート・クリフス3号機建設のため設立した合弁企業であるユニスター・ニュークリア・エナジー社(UNE)は10月初め、同3号機の建設凍結を発表した。これに伴いコンステレーション社は同プロジェクトから手を引くことでEDFと合意に達する模様である。今後、EDFは米国での新たなパートナーを加え、同3号機を建設していく予定である。
コンステレーション社撤退の理由は、米エネルギー省(DOE)の厳しい融資保証条件が同社にとって受け入れられないことにある。同社は「75億ドルの民間融資保証を得るためにDOEに支払わなければならない手数料8億8000万ドルの算定方式には、欠陥があり、非現実的かつ運用不可である」と批判している。
コンステレーション社とEDFが協議の結果、今後EDFが合弁企業UNEにおけるコンステレーション社の50%の株をわずか1億4000万ドルで買収し、単独でUNEを運営していく予定である。UNEは、カルバート・クリフス3号機と建設の可能性のある同4号機のサイトのほか、ナイン・マイル・ポイント、REギネイ原子力発電所の土地も所有している。
EDFはさらにEDFが所有するコンステレーション社の350万株(現在価値換算1億900万ドル)を戻す。コンステレーション社は、約20億ドル分の化石燃料火力資産をEDFに強制的に買い取らせることのできるプット・オプションを放棄した。
UNEは、原子力規制委員会(NRC)へのEPRの許認可申請を含め、米国における全面的にフランスの事業窓口になる。しかし、EDFとアレバ社はともにフランス政府直轄の会社であることから、UNEが米政府の支援を受けるためにはEDFは一定の条件を満たす必要がある。
米原子力法によれば、NRCは「海外の会社あるいは国によって所有、管理あるいは影響されている事業者に対し、許認可を発給しない」。このため、EDFはカルバート・クリフス3号機建設を進めるためには、NRCが建設・運転一括認可(COL)発給前に米国のパートナーを見つける必要がある。
カルバート・クリフス3号機は、COLを初めて申請した原子力発電所であり、NRCは2007年7月にCOLの一部申請を受領している。すべての認可は2012年末となる模様だが、EDFとしてはそれまでに新しいパートナーを見つける必要がある。
UNEは、2007年7月の設立時点では、米国仕様の標準化EPR群を建設、運転することになっていた。そのためアレバ社はベクテル社と共同でUS−EPRの詳細設計作業を進めてきた。アルストム社は蒸気タービンを供給することになっていた。
写真はカルバート・クリフス1,2号機
(2010年10月27日付WNN)
(原産協会・国際部まとめ)