(ベトナム)ロシア−ベトナム政府間協定締結、初の原子力発電所建設へ
ロシアの国営原子力企業ロスアトムのセルゲイ・キリエンコ総裁とベトナムのブー・フー・ホアン商工大臣は10月31日、ハノイで同国初の原子力発電所建設のための政府間協定に署名した。計画によるとニントアン第1発電所は2014年着工の予定。グエン・ミン・チェット国家主席とロシアのメドベージェフ大統領が見守る中で、署名が行われた。
協定によると、ロスアトムの子会社アトムストロイエキスポート(ASE)が、ニントアン省フォック・ジンにおいてターンキー方式で建設する。原子力発電所は120万kWのロシア型加圧水型炉(VVER)、2基からなり、ベトナム電力公社(EVN)が所有・運転する。
ロシアは、建設のための融資を保証するが、融資条件の合意には至っていない。イランやトルコとの協定と同様に、ロシアはベトナムに対して燃料供給を行うとともに再処理のために使用済み燃料を引き取る。
ニントアン省における原子力発電所(200万kW級)の事前可能性調査(プレFS)は商工省が実施し、その結果は2009年11月の国会で承認されている。ニントアン第1発電所に対するFSは2012年までに実施の予定である。
ニントアン第1発電所は2014年に着工し、1号機は2020年、2号機は2021年に夫々運開予定である。キリエンコ総裁は「2020年の運開計画はまったく現実的である」と述べている。また「2基完成後には同サイトあるいは別のサイトで、さらに2基建設するための交渉を始める」とのキリエンコ総裁の発言を、RIAノーボスチ通信が伝えている。
ベトナムでは2030年までにさらに12基の原子力発電所の建設を目指しており、フォック・ジンでは、3号機と4号機を夫々2023年と2024年に運転入りさせる計画である。また、4基をニントアン省のニンハイ地区ビン・ハイで計画中、同1号機は2021年、2号機は2022年に運転、その後3号機が2024年、4号機が2025年の運開を予定している。そのほか2030年までにさらに6基を計画している。
政府間協定署名の前日の10月30日、ASEはハノイに事務所を開設した。
ASEは「ニントアン第1発電所はベトナム初の原子力発電所のみならず東南アジア初の原子力発電所となる」と指摘し、「このプロジェクトを成功裏に実施すれば、東南アジアにおけるロシアの原子力産業の競争力と輸出力の優位性が著しく高まる」と付け加えた。
(2010年11月1日付WNN)