(リトアニア)ヴィサギナス原発の入札者選定作業はじまる
リトアニアは、計画中の新規原子力発電所の戦略的投資企業の入札選定作業を開始した。同プロジェクトを実現できる電力企業が過半数株を保有する見込みである。
入札者を明らかにしていないが、リトアニア・エネルギー省は11月11日、戦略的投資企業から出された「拘束力のある提案」の分析作業を開始したと発表した。同時に、地域のパートナーもプロジェクトへの参加提案を提出している。
プロジェクトの目標は、リトアニアの約70%の電力を供給していたイグナリナ原子力発電所(RBMK、2基)の閉鎖に伴い、同原発に隣接して新たにヴィサギナス原子力発電所を建設することである。新しい原子力発電所は、環境影響評価によれば、出力は最大360万kWで、1基または2基の大型炉からなり、冷却は湖か冷却塔、あるいはそれらの混合方式を想定している。
地域のエネルギー・ミックスの主要部分として原子力を復活させることは、バルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)のロシアへのエネルギー依存を大幅に低下させる。
同プロジェクトの初期には、ラトビアとエストニアは共にリトアニアの計画を強く支持し、同等の出資を考えていた。ポーランドも当初、同計画に参画していたが、その後、独自の原子力発電計画を打ち出した。一旦は、4カ国による持ち株会社としてリトアニア電力機構(LEO LT)が設立されたが、2009年末に解散された。現在、リトアニアのヴィサギナス原子力発電会社(VAE)がプロジェクト会社として同計画を継承している。
VAEは2009年12月、新規発電設備の開発や原子力発電所の運転経験のある企業に対しリトアニアへの投資を呼びかけた。
リトアニアのエネルギー大臣は11月11日、「年内に戦略的投資家を選び、2011年中に独占的交渉を完了させる」と述べた。リトアニアはヴィサギナスの株を34%保有する考えで、過半数株は主要投資家が保有することになる。
一方、リトアニア国境近くの2ヶ所で、ロシア製原子力発電所の計画が具体化しつつある。リトアニアのすぐ南では、ベラルーシがロシア製加圧水型炉2基の建設準備を進めている。リトアニアのすぐ西では、カリーニングラード(ロシアの飛び地)で2011年4月、バルティック原子力発電所の建設が始まる予定である。
(2010年11月12日付WNN)
(原産協会・国際部まとめ)