ドイツ脱原発の本質は石炭火力への回帰(1) 木口 壮一郎(ジャーナリスト)
ドイツが二度目の脱原子力へ舵を切った。再生可能エネルギー立国への英断を称える声、その一方で外国の原子力電力輸入への依存を揶揄する声、日本でもドイツの脱原発政策の意義がさまざまに解説されている。しかし、どれも帯に短し襷(たすき)に長しで、中途半端な見方だ。
〈ドイツの脱原子力法は「天下の悪法」〉
ドイツ連邦内閣は6月6日、国内17基の原子力発電所を遅くとも2022年末までに段階的に閉鎖する新政策を含む、新たなエネルギー戦略を閣議決定した。連邦議会と連邦参議院での可決をメルケル政権は目指しており、成立は確実である。同時に政府は、全部で39項目からなる政策文書「未来のエネルギーへの道――安全で、安価で、環境に優しい」を発表し、政策転換の意味を説明している。
(中略)
2010年のドイツの電源構成比(総発電電力量6,210億kWh、暫定値)
出展:エネルギー収支統計協会、再生可能エネルギー統計協会