カナダのSNCラバリン社 AECL原子炉部を買収

2011年7月18日

カナダを本拠地とする大手エンジニアリング・サービス企業のSNCラバリン社は6月29日、カナダ原子力公社(AECL)の商用原子炉部門を1500万加ドル(12億7200万円)で買収することでカナダ政府と合意した。AECLが開発したCANDU炉(カナダ型重水炉)の新規建設および既存炉の運転寿命延長プロジェクトについては知的所有権に対するロイヤリティを支払う一方、これまでに生じた負債はそのままAECLに留め置かれる。


カナダの国営原子力研究開発事業体であるAECLの原子炉部門は1950年代からCANDUの開発を開始。これまでに7か国で34基のCANDU炉を建設してきた。(=表)しかし、国営という立場は株式投資が不可能であるなど政府以外からの資金調達が困難であり、カナダ政府は同公社の損失補填に連邦予算を無制限に充てることは難しいと判断。2009年12月、国内150社に3万人以上が雇用されているカナダの原子力産業を維持していくとともに、AECLを将来的に世界の新規原子炉建設計画で他国メーカーと競合できる持続可能な事業体系とするため、民間部門からの戦略的投資を募集していた。


表 世界で稼働中のCANDU炉

カナダのSNCラバリン社 AECL原子炉部を買収