(ポーランド)PGE、初の原子力発電所建設へ始動
ポーランドの国営電力Polska Grupa Energetyczna (PGE)は、リトアニアが計画中のヴィサギナス原子力発電所への参画や、ロシアで計画中のカリーニングラード(ロシアの飛地、リトアニアと隣接)の原子力発電所からの電力購入よりも、自前の原子力発電所建設を検討している。
ポーランド側のヴィサギナス原発計画への不参加は、ヴィサギナス原子力発電会社(VAE)からの情報に基づき判断したものであり、PGEのT.ザドローガ社長は「今後の義務などを考えると、ヴィサギナス計画への参加はできない」と語った。
PGEはさらに、「ロシアのインター・ラオ社とカリーニングラードの原子力発電所からの電力購入の可能性についての商談は現在行っていない」とも明らかにした。これらの発言は、PGEがポーランド国内での原発建設計画を進めるとの姿勢を一層鮮明にしたことになる。
リトアニアでは旧ソ連時代のRBMKであるイグナリア原子力発電所2基を運転(国内の7割の電力を供給)していたが、EU加盟を機に2004年に1基、2009年に1基を閉鎖した。このため、2007年2月、リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国とポーランドが一緒になり、イグナリア・サイトに隣接するヴィサギナスに新たに原発を建設することで合意、それを受け翌2008年ヴィサギナス原子力発電会社が設立された。本年7月、日立GEが、2020年頃の運開を目途にABWR1基を建設するプロジェクトへの戦略的投資会社として選ばれた。直近では米電力エクセロンが、エンジニアリング、調達、建設(EPC)契約さらに燃料供給契約の作成支援のための契約を締結している。
同じ時期にロシアは、カリーニングラードにおいてバルティック原子力発電所(合計240万kW=写真)建設計画を推し進め、大規模な送電線の改修が必要なものの、バルト3国、ポーランド、ドイツに電力供給をめざすとしている。
一方、ポーランドでは国内での原子力発電所建設に向かって足並みをそろえ始めている。
2011年1月には政府が2020年頃の運開を盛り込んだ新規原子力発電所建設計画を承認し、PGEは立地候補地を3地点に絞った。ポーランド初の300万kW・原子力発電所の商業契約は2013年末に結ばれる見込みである。
(2011/12/12付 WNN)
原産・国際部まとめ
サイト造成中のロシアのバルティック原子力発電所。
PGEは同原発からの電力を購入する意向なし。