(ドイツ)再生可能エネルギー革命には膨大なコストが必要

2012年1月26日

シーメンス社のマイケル・ジュース・エネルギー部門社長は、ベルリンで開催されたハンデルスブラット紙主催の「2012エネルギー経済セミナー」において、「ドイツのエネルギー政策は原子力発電所の廃止コストを含めなくても、2030年までに約1.4兆($1.8兆)のコストがかかる」との見通しを明らかにした。


ドイツでは、ここ数年間、気候変動に取り組むため『エネルギー革命』を計画、新しい電源システムの柱として再生可能エネルギーの導入を進めている。 すべての原子力発電所廃止予定の2年前にあたる2020年には、温室効果ガス排出を40%削減、再生エネルギーを2倍にして電力の35%を供給、さらに一次エネルギー消費量を20%削減する計画である。


この計画を実現するための発電・送電への総投資額は、シーメンス社の計算によれば、2011年から2030年までの期間に、14,180億($18,480億)に達する。


しかし、福島事故を受けて、原子力発電所8基がほとんど突然に廃止され、ドイツの(エネルギー革命の)野心が劇的に加速された。残りの9基の原子力発電所の運転期間も2010年の合意から14年間も短縮された。


シーメンス社の原子力発電所廃止のコスト見積は曖昧で、110億〜2,520億($140億〜3,280億)と幅がある。この廃止コストをエネルギー政策コストに加えると、全体で16,700億($21,770億)に上る。 この途方もない額は、2010年のドイツのGDP68%、あるいは同年の世界5位の経済国家ブラジルのGDPを少し上回る額に相当する。


原子力発電所停止に伴う、2つの緊急の動きがある。一つは1000万kWの化石燃料発電所の早期完成であり、もう一つはオーストリアの石油火力発電所への短期的な依存である。ドイツ銀行による報告は、7基の原子炉の永久停止と残りの原子炉の早急な段階的廃止による二酸化炭素の増加は、2020年までに37,000万トンになると推定している。 原子力廃止前には、ドイツの原子力発電所は最大の低炭素発電所であった。


シーメンス社自体は、昨年9月に原子力事業から正式に撤退したが、原子力発電所用の多くの機器を含む多くの種類の電力機器を市場に出している。 その範囲は、風力タービン、ソーラー・パワー、水力と化石燃料のほか送電、配電関係をカバーしている。


 


(2012123日付WNN)


(原産協会・国際部まとめ)


二酸化炭素削減に貢献するネッカー原子力発電所2号機

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