ECが英国のヒンクリーポイントC計画を承認
欧州委員会(EC)は8日、EDFエナジー社のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所建設計画(163万kWの仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)2基)に対する英国政府の財政支援策はEUの国庫補助規則に適合するとの判断を下した。1年間に及んだ徹底的な審査の結果、同原発から得られる収益を国民に還元するメカニズムの強化など、EDF社と英国政府が合意していた長期的な投資契約項目の一部修正版を承認したもの。英国で20数年ぶりとなる一連の新設計画で先駆けの2基が大きなハードルをクリアしたというだけでなく、日立と東芝が同国で出資する後続計画のためにも資金調達に関する良い先例を作ったという意味でその価値は計り知れない。
EDFエナジー社も同日、コメントを発表しており、顧客との利益共有メカニズムで修正があったものの、以下の主要項目については変更が無かった点を強調。すなわち、(1)HPCの発電電力1,000kWhあたり92.5ポンド(約16,000円)(後続のサイズウェルC計画の実行が確定した場合は89.5ポンド)を固定買い取り(行使)価格に設定し、市場の卸売価格がこれを上回ればEDF社が差額を、下回れば政府が支払うという差額決済取引(CfDs)制度を導入。(2)CfDsをHPCの60年の運転想定期間中、35年間に適用(3)行使価格は消費者物価指数によりインフレと全面的に連動(4)同建設計画は法制の変更に影響されない――だ。
また、建設計画の確定までに残されたハードルとして、最終投資決定に関する戦略的金融パートナーとの合意のほかに、廃棄物移送契約の手配に関するECや担当相の承認が必要であることを明らかにした。