電力システム改革の検証に係る意見提出について
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
2015年に成立した改正電気事業法には検証規定が設けられており、①小売全面自由化前、②送配電部門の法的分離前、③送配電部門の法的分離後、それぞれのタイミングにおいて、法施行の状況やエネルギー基本計画の実施状況、需給状況、料金水準等について、施行後5年を経過するまでに検証を行い、その検証結果を踏まえ、必要な措置を講ずる旨が規定されている。
2020年に実施された電力システム改革の第3段階となる送配電部門の法的分離から5年を迎えるにあたり、電力・ガス基本政策小委員会において電力システム改革全体に渡る検証が行われることとなっており、現在、意見募集が行われている。
2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する。」との方針が示された。
当協会はこの方針に従って、原子力発電の最大限活用が可能な電力システムを構築する必要があるとの考え方のもと、以下の通り、意見を提出した。
電力システム改革の検証に係る意見
1.第6次エネルギー基本計画にある2030年のエネルギーミックスを、現在の電力システムで達成できるのか検証していただきたい。
2.「GX 実現に向けた基本方針」を踏まえて原子力を最大限活用できるような電力システムを目指していただきたい。
3.長期脱炭素電源オークションがファイナンスする金融機関の視点から適切な制度になっているかどうかを検証していただきたい。
4.事業者の投資回収の予見性確保の観点から長期脱炭素電源オークション制度を見直していただきたい。
5.原子力発電の付加価値を電力システム(電力市場)に内部化して金銭的に評価していただきたい。
・ 回転慣性力供給の価値
・ エネルギー自給率向上に貢献する価値
・ 燃料備蓄効果の価値
・ 長期の価格安定性や供給安定性の価値
以上
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