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原産協会が総会開催、今井会長「温室効果ガスを排出しない原子力発電」の必要性を強調
原産協会は8月3日、2020年度の定時社員総会を日本工業倶楽部(東京・千代田区)で開催し、2019年度の決算案および任期満了に伴う役員選任の承認とともに、2020年度の事業計画・予算の報告がなされた。開会に先立ち挨拶に立った今井敬会長はまず、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い深刻さを増した日本の医療や工業の現場における供給不足の現状に触れた上で、「社会を支える重要なインフラの一つである電力供給も同様のリスクを抱えている」として、エネルギー自給率の改善が喫緊の課題となっていることを強調。また、地球温暖化問題への対応も含め、「温室効果ガスを排出せず安定した電力供給が可能な原子力発電の最大限の活用が必要不可欠」として、可能な限り早期に再稼働が進展する必要性を述べた。その上で、政府において今後検討が行われる次期エネルギー基本計画については、「将来にわたる原子力の活用が明確に示されるもの」と期待。さらに、原子力産業界による安全性向上の取組に成果を認める一方、「『もう十分』というゴールはない」と、継続的な改善の重要性を強調し、これにより再稼働、運転期間延長、設備利用率の向上など、既存炉の活用が実現するとした。新たな技術開発による新増設・リプレースや、先般原子力規制委員会より新規制基準に係る変更許可が発出された六ヶ所再処理工場についても核燃料サイクルの完結に向け着実な進展を期待。原子力技術の有望性に関し、今井会長は、「何世代にもわたって人類の動力源となるほか、医療、工業、農業などでも大きな恩恵をもたらす」と強調し、産官学連携を通じた人材育成ネットワークの取組を通じて優秀な若者たちを惹きつける魅力的なイノベーション創出を図っていく必要性を述べた。総会では11名の理事の交替が承認。その中で、副会長には、車谷暢昭氏(東芝取締役代表執行役社長CEO)に替わり、宮永俊一氏(三菱重工業取締役会長)が、理事長には、高橋明男氏に替わり、新井史朗氏(東京電力ホールディングス理事/原子力・立地本部副本部長が就任することとなった。退任する副会長の車谷氏は在任中の2年間における福島第一原子力発電所廃炉に向けた技術開発の取組を振り返り、新任の宮永氏はBWRも含めた再稼働や核燃料サイクルが進展していく必要性を述べるなど、それぞれ今後の原子力産業発展への期待を語った。また、退任する理事長の高橋氏は、5年前の就任当時にまだ再稼働した原子力発電プラントがゼロだったことを振り返った上で、引き続き原子力産業界が抱える課題の解決に向け連携がさらに深まるよう期待。新任の新井氏は、東京電力東通原子力建設所に従事した経験を活かし「力を尽くしていきたい」と抱負を述べた。
- 04 Aug 2020
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原産協会・高橋理事長がプレスブリーフィング、新型コロナ受け5か月ぶり
原産協会の高橋明男理事長は7月28日、プレスブリーフィングを行った。新型コロナウイルス感染症拡大を受け5か月ぶりの開催となり、同日発表のメッセージ「パンデミックとエネルギー安全保障」を示し、医療器具不足やマスクの入手難などから感じられた「わが国の海外依存の大きさ」や「国の安全保障への不安」、エネルギー安全保障を支える原子力発電の重要性を強調。記者からは、新型コロナウイルス感染症が原子力産業に及ぼす影響の他、石炭火力に関わる非効率プラントのフェードアウトや輸出規制強化などを踏まえた今後のエネルギー政策について質問があった。これに対し、高橋理事長は、「来年にも見込まれるエネルギー基本計画改定に向け議論されるものと認識」とした上で、「供給に支障をきたしてはならない」と、ベースロード電源の重要性を述べ、その中で「原子力が3E(安定供給、地球環境、経済性)に優れている」ことが理解される必要性を述べた。新増設・リプレースに関し、小型炉については、「大型炉に比べスケールメリットが少なく経済的には厳しい」一方で、「固有の安全性を持ち、工場での量産で初期投資が小さくできる」として、高速炉、高温ガス炉、軽水炉小型化など、日本における開発・導入の可能性を提示。この他、運転期間延長の技術的側面に係る原子力エネルギー協議会(ATENA)の役割、廃炉の進展に伴う廃棄物処分の課題などに関する質疑応答があった。
- 29 Jul 2020
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原子力委、グロッシーIAEA事務局長を招き意見交換
原子力委員会は、2月25日の定例会議で、来日中のラファエロ・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長を招き意見交換を行った。会議には、日本の原子力関連機関を代表し、日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長、量子科学技術開発研究機構の平野俊夫理事長、原産協会の高橋明男理事長も同席し、各々の活動について紹介した。冒頭、竹本直一内閣府科学技術政策担当大臣が挨拶に立ち、福島第一原子力発電所の廃炉に関するレビューミッション派遣など、IAEAによる日本への広範な支援に対し感謝の意を表明。また、昨秋のIAEA総会に日本政府代表として出席したことを振り返り、今回、グロッシー事務局長来日の機に設けられた意見交換の場を「歓迎すべきこと」と強調するとともに、引き続きIAEAとの緊密な協力のもと、原子力の平和的利用促進や核不拡散体制の強化に取り組んでいく考えを示した。1985年にアルゼンチン外務省に入省後、外交・国際機関の職務を歴任してきたグロッシー事務局長は、「35年間で何度も日本を訪れた」としている。今回、2019年12月のIAEA事務局長就任後、初の来日に際し、同氏は2019年7月に逝去した前任の天野之弥事務局長の功績に「10年間にもわたりリードしてきた」と敬意を表明。日本の原子力に関しては、福島第一原子力発電所の廃炉など、「独自の問題も抱えている」としながら、発電以外でも医学利用を始めとする幅広い原子力科学技術分野で「リーダーシップを発揮できる」と、期待感を示した。さらに、気候変動問題の解決に資する原子力発電の役割を改めて述べ、中国・インドの他、中東・アフリカ地域など、原子力導入を進めている国、一方で原子力から撤退し始めている国もあるとした上で、「どのような国も除外せず共に歩んでいく」と、IAEAとして支援を惜しまぬ考えを強調。この他、途上国の医療支援や食糧・水資源確保などにつながる放射線・放射性同位元素利用開発の重要性を述べる一方、国際機関であるが故の予算面の制約にも触れ、「民間からも様々な形で協力してもらえれば」と、今後の日本によるさらなる支援に期待を寄せた。これに対し、佐野利男委員は、原子力分野における女性の活躍、ジェンダーバランスに関するIAEAの取組について質問。グロッシー事務局長は、近くIAEAとしてキュリー夫人の功績に因んだ新たなフェローシップを立ち上げ、女性研究者の経済的支援を図る考えを明らかにした。また、中西友子委員が放射線利用を啓発するための戦略について尋ねると、グロッシー事務局長は、「一般の人たちも含め、より多くのコミュニケーション・チャンネルを持たねばならない」などと応えた。意見交換に臨む原子力機構・児玉理事長、量研機構・平野理事長、原産協会・高橋理事長(左から)原産協会の高橋理事長は、IAEA総会で併催される展示会への日本ブース出展や、IAEAとの協力で開催する原子力エネルギーマネジメントスクールなど、人材育成の取組を紹介した。グロッシー事務局長は、28日までの日本滞在中、関係閣僚らとの会談を行うほか、26日には福島第一原子力発電所を視察する予定。
- 25 Feb 2020
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原産協会・高橋理事長がプレスブリーフィング、「PAI原子力産業セミナー」開催結果など紹介
原産協会の高橋明男理事長は2月20日、定例のプレスブリーフィングを行った。高橋理事長は最近の原子力人材確保・育成に関する取組について紹介。原産協会が関西原子力懇談会との共催で毎年行っている学生対象の合同企業説明会「PAI原子力産業セミナー2021」について、2月1日の東京会場に45社、16日の大阪会場に36社の関係企業・機関が出展したと説明した。計81社の出展数はこれまでで最多となった。一方、参加学生数は東京会場が140名、大阪会場が115名の計255名で前回より減少。高専の試験期間と重なったことを要因の一つにあげ、今後さらに分析を行うとしている。因みに前回は2019年3月3日(東京)と6日(大阪)に開催され、計339名の参加があった。また、2月12日に行われた「原子力人材育成ネットワーク」報告会で年間の活動実績とともに、原子力分野のジェンダーバランス改善について発表が行われたことを披露。同ネットワークが支援し、このほど日本で初の開催となった「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」(IAEA主催、東海大学共催)が17日に開講したことも紹介した。現在開催中の同スクールには、主にアジア地域から若手の技術者・行政官ら計29名が参加。2週間にわたり講義・演習、福島第一原子力発電所見学などのカリキュラムが組まれており、28日の閉講式ではIAEAより修了証の授与が行われる。この他、高橋理事長は、最近の原子力を巡る動きとして、福島第一原子力発電所の処理水に関する資源エネルギー庁の委員会が10日に報告書を取りまとめたことに触れた。同報告書では、技術的に実績があり現実的な処理水の処分方法として、海洋放出と水蒸気放出をあげた上で、国内での実績や放出設備の取扱いなどから、海洋放出の方がより確実に実施できるとしている。記者との質疑応答の中で、高橋理事長は、風評被害に配慮し「地元、漁業関係の方々に対し丁寧に説明していく必要がある」と述べた。
- 21 Feb 2020
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「PAI原子力産業セミナー2021」が東京で開催、16日には大阪でも
2021年卒業予定の大学生・大学院生・高専生らを対象とした合同企業説明会「PAI原子力産業セミナー2021」(主催:原産協会/関西原子力懇談会)が2月1日、ベルサール新宿セントラルパーク(東京都新宿区)で開催された。同セミナーは、原子力産業に関わる企業・機関への人材確保支援とともに、原子力産業に対する理解促進・情報提供を目的として、2006年度より毎年行われている。16日には、大阪市に会場を移し、関係企業・機関から36ブースの出展が予定。今回、東京会場45ブースと合わせた出展数計81ブースは過去最高となる。東京会場には約140名の学生たちが参集。同セミナーに初出展した放射線計測関連の外資系企業ミリオン・テクノロジーズ・キャンベラの技術者は、原産新聞の取材に対し、除染作業に伴う除去土壌を収納した土のう袋をトラックに載せたまま放射能濃度を測定できる「TRUCKSCAN」(大林組との共同開発)など、同社の持つ技術力に「学生が関心を持ってくれている」と語った。また、計8回の説明時間を設けた原子力規制庁の採用担当者は、「原子力施設の安全審査以外にも色々な活躍の場がある。訪れる学生の2割くらいは文系」などと、多分野の学生にまず関心を持ってもらう意図を強調。同セミナーに初回から連続参加している原子力発電環境整備機構の採用担当者は、「原子力を学んだ学生が多く訪れており、研究分野がそのまま活かせるのでは」と期待を述べたほか、各地で巡回説明を行う地層処分模型展示車「ジオ・ミライ号」を学園祭で見て関心を持った学生もいると話した。原産協会では、福島第一原子力発電所事故以降、企業・機関で採用ニーズの高い機械系、電気系、化学系などの学生の同セミナー来場者が横ばい状況にあることから、これまで参加経験のある大学・高専への訪問、新たに制作したパンフレット「原子力産業で働いてみませんか?」の配布、理工系学生へのダイレクトメールを通じ、情報発信に努めている。
- 03 Feb 2020
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原産協会・高橋理事長がプレスブリーフィング、伊方3号機運転差止め仮処分に「大変残念」
原産協会の高橋明男理事長は1月23日、プレスブリーフィングを行い、最近の原子力を巡る国内外の動きについて質疑に応じた。17日に広島高等裁判所で四国電力伊方3号機の運転差止めを命じる仮処分決定が出されたことについては、「大変残念」とした上で、CO2排出量の削減目標や太陽光・風力発電の限界など、日本のエネルギーを巡る課題に触れ、原子力の果たす役割を改めて強調。今回の司法判断を受け「次のステップに向けて準備し臨まねばならない」と、原子力発電に対し立地地域を始め社会から理解を得るよう説明していく必要性を述べた。海外の動きとして、12月に米国原子力規制委員会(NRC)により承認されたターキーポイント3、4号機(フロリダ州)の80年運転については、「技術的に可能なことが示された。こうした成果が日本にフィードバックされれば」と、海外から知見を得る重要性に言及。原子力発電所の運転期間延長に関し、原子炉圧力容器の中性子脆化など、経年劣化に対する技術的評価とともに、国際エネルギー機関(IEA)のレポートが示す経済面でのメリットを説明した。また、過日来日した原子力規制に関するIAEAレビュー「総合規制評価サービス」(IRRS)のミッションが「産業界とのコミュニケーションは原子力安全に資する」と指摘したことについては、「原子力エネルギー協議会(ATENA)に大いに期待する」と、今後の課題としての認識を示した。
- 24 Jan 2020
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