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原子力委、グロッシーIAEA事務局長を招き意見交換
原子力委員会は、2月25日の定例会議で、来日中のラファエロ・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長を招き意見交換を行った。会議には、日本の原子力関連機関を代表し、日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長、量子科学技術開発研究機構の平野俊夫理事長、原産協会の高橋明男理事長も同席し、各々の活動について紹介した。冒頭、竹本直一内閣府科学技術政策担当大臣が挨拶に立ち、福島第一原子力発電所の廃炉に関するレビューミッション派遣など、IAEAによる日本への広範な支援に対し感謝の意を表明。また、昨秋のIAEA総会に日本政府代表として出席したことを振り返り、今回、グロッシー事務局長来日の機に設けられた意見交換の場を「歓迎すべきこと」と強調するとともに、引き続きIAEAとの緊密な協力のもと、原子力の平和的利用促進や核不拡散体制の強化に取り組んでいく考えを示した。1985年にアルゼンチン外務省に入省後、外交・国際機関の職務を歴任してきたグロッシー事務局長は、「35年間で何度も日本を訪れた」としている。今回、2019年12月のIAEA事務局長就任後、初の来日に際し、同氏は2019年7月に逝去した前任の天野之弥事務局長の功績に「10年間にもわたりリードしてきた」と敬意を表明。日本の原子力に関しては、福島第一原子力発電所の廃炉など、「独自の問題も抱えている」としながら、発電以外でも医学利用を始めとする幅広い原子力科学技術分野で「リーダーシップを発揮できる」と、期待感を示した。さらに、気候変動問題の解決に資する原子力発電の役割を改めて述べ、中国・インドの他、中東・アフリカ地域など、原子力導入を進めている国、一方で原子力から撤退し始めている国もあるとした上で、「どのような国も除外せず共に歩んでいく」と、IAEAとして支援を惜しまぬ考えを強調。この他、途上国の医療支援や食糧・水資源確保などにつながる放射線・放射性同位元素利用開発の重要性を述べる一方、国際機関であるが故の予算面の制約にも触れ、「民間からも様々な形で協力してもらえれば」と、今後の日本によるさらなる支援に期待を寄せた。これに対し、佐野利男委員は、原子力分野における女性の活躍、ジェンダーバランスに関するIAEAの取組について質問。グロッシー事務局長は、近くIAEAとしてキュリー夫人の功績に因んだ新たなフェローシップを立ち上げ、女性研究者の経済的支援を図る考えを明らかにした。また、中西友子委員が放射線利用を啓発するための戦略について尋ねると、グロッシー事務局長は、「一般の人たちも含め、より多くのコミュニケーション・チャンネルを持たねばならない」などと応えた。意見交換に臨む原子力機構・児玉理事長、量研機構・平野理事長、原産協会・高橋理事長(左から)原産協会の高橋理事長は、IAEA総会で併催される展示会への日本ブース出展や、IAEAとの協力で開催する原子力エネルギーマネジメントスクールなど、人材育成の取組を紹介した。グロッシー事務局長は、28日までの日本滞在中、関係閣僚らとの会談を行うほか、26日には福島第一原子力発電所を視察する予定。
- 25 Feb 2020
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原子力安全の若手リーダーを育成する「IAEA国際スクール」が初の日本開催、東海大共催
IAEAが主催し東海大学が共催する「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」が2月17日に開講した。これは、IAEAが2017年より実施している研修コースで、国際感覚に秀でた原子力・放射線安全の若手リーダーの育成を目的としており、今回、初めての日本開催となった。IAEA標準に基づき、原子力・放射線利用に関わる各国の若手・中堅の研究者、技術者、行政官らを対象に、ケーススタディやゲーム形式の演習など、ロールプレイ体験を通じて安全最優先の意識を養うもので、これまでの参加者から高い評価を得ている。カリキュラムは28日までの2週間にわたり、日本、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、バングラデシュ、モロッコから集まった29名の参加者は、東海大学湘南キャンパス(神奈川県平塚市)で講義、演習に取り組むほか、25日には福島へ移動し、福島第一原子力発電所や日本原子力研究開発機構の楢葉遠隔技術開発センターなどを見学する。カリキュラムを説明するIAEAのマリック氏東海大学校友会館(東京都千代田区)で行われた開講式で、主催者を代表し挨拶に立ったIAEAプログラム戦略コーディネーション課長のマリック・シャヒード氏は、参加者らに対し、歓迎の意を述べるとともに、「学ぶだけでなく、ネットワーク作りの機会でもある」と、同国際スクールの人脈形成の場としての意義も強調。来賓として訪れた文部科学省研究開発局原子力課長の清浦隆氏は挨拶の中で、福島第一原子力発電所の廃炉や研究炉の新規制基準対応などを例に、日本の原子力分野の人材確保が危機的状況にあることを訴えた。また、原産協会理事長の高橋明男氏は、産官学連携の「原子力人材育成ネットワーク」による海外人材育成の取組に触れた上で、各国の参加者らに「是非実りある時間を過ごして欲しい」と、同国際スクールを通じスキルアップが図られることを期待した。東海大学では、これまでも原子力分野の人材育成に力を入れており、開講式でスピーチを行った副学長の吉川直人氏は、経済産業省と文部科学省の共同事業「原子力発電分野の高度人財育成プログラム」(GIANTプログラム、2008~12年)や、国際原子力開発(JINED)との協力で実施したベトナムの発電所幹部候補生を対象とする人材育成プログラム(2012~18年)などを紹介した。
- 17 Feb 2020
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IAEAのグロッシー新事務局長、IAEA業務の再調整で抱負を表明
国際原子力機関(IAEA)で昨年12月、故天野事務局長の後任に就任したばかりのR.M.グロッシー事務局長は2月5日、米ワシントンDCで開催されたカーネギー国際平和財団のイベントで講演し、「原子力の安全・セキュリティからガン治療、IAEA内での男女比平等化に至るまで、幅広い分野に特別な注意を払いIAEA業務の再調整を図りたい」との抱負を述べた。同事務局長は「福島第一原子力発電所の事故後も数多くの国が原子力発電を拡大、あるいは自国のエネルギー・ミックスへの導入に関心を抱いており、地球温暖化防止策として果たす役割も注目されている」と説明。拡大国として中国やインド、ロシアを、新規導入国としては初号機を建設中のベラルーシ、アラブ首長国連邦(UAE)の例を挙げ、原子力専門家や外交官、ジャーナリスト等の聴衆を前に「原子力発電事業は確実に成長している」との認識を強調した。IAEA予算の最大拠出国である米国への公式訪問は、同事務局長が昨年12月にエジプトおよび国連気候変動枠組条約・締約国会議(COP25)の開催国スペインを訪問したのに続くもの。前日の4日にはM.ポンペオ国務長官やR.オブライエン(国家安全保障担当)大統領補佐官を含む複数の米国政府高官と協議し、世界の平和と発展に向けたIAEAの使命遂行に対し引き続き強力な支援が約束されたとした。また、米原子力規制委員会(NRC)のK.スビニッキ委員長とも会談の場を設けたとしている。今回の講演のなかでグロッシー事務局長は、原子力エネルギーとその他の分野における原子力技術の利用が拡大した結果、世界では部分的に核物質の使用量が継続して増大していると指摘。これにより、安全・セキュリティ面の国際協調を強化する必要性が高まりつつあると述べた。同事務局長は「セキュリティ上の注意を払わずに、原子力ビジネスを行うことは出来ない」とした上で、IAEAはこの分野でさらに思い切った努力を払う必要があると明言。原子力テロの防止対策に向けた国際協力でIAEAが果たす重要な役割を強調するとともに、IAEAが翌週の10日から14日までウィーンに閣僚級の出席者50名以上を招き、核セキュリティ国際会議(ICONS)を開催予定であることを明らかにした。また、IAEAのその他の活動分野に関して事務局長は、「171加盟国の多くが、ガン治療や水質管理、食糧安全保障などの面でIAEAから恩恵を受けている」とした。この関係で、アフリカ大陸における28か国以上の人々が、未だに放射線によるガン治療を受けられないことは「恥ずべきこと」だと指摘。IAEAがこの部分でやれることは、まだまだ沢山あるとの認識を示している。 (参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月6日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 07 Feb 2020
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規制委が原電と意見交換、村松社長「パイオニア精神」を強調
原子力規制委員会は1月29日の臨時会合で、日本原子力発電の村松衛社長らと意見交換を行った。同委が事業者の経営トップを順次招き実施しているもの。村松社長は、「安全に対するモチベーション向上は当社の重要な経営課題」として、安全文化の育成に向けたレベルアップ活動など、自主的安全性向上の取組の強化について説明。その中で、「現場力の維持・向上」に関して、約9年間のプラント停止により、運転の経験者が減少・高齢化してきたほか、保修部門についても、福島第一原子力発電所事故後3年間の新卒採用中断を受け、若手とベテラン社員とがペアを組む教育訓練「現場ブラザーシスター制度」で年齢ギャップが生じていることをあげ、技術伝承の困難さを示唆した。2018年12月に東海第二発電所で発生した作業員の感電死亡事故を踏まえた対策としては、中堅社員による若手工事監理員への指導や協力会社とのコミュニケーション推進などを通じ、再発防止の徹底を図っているとした。東海第二発電所は2018年11月にBWRでは初めて運転期間の20年間延長が認可されており、村松社長は、委員との質疑応答の中で、国内初の商業炉である東海発電所(GCR:ガス冷却炉)の廃止措置とともに、「パイオニア精神を発揮していく」との姿勢を改めて示した。東海第二発電所については、2022年12月の完了を目指し安全性向上対策工事が進められている。また、村松社長は、原電の取組として、米国のエナジーソリューションズ社やエクセロン社との交流を通じたプラントの経年劣化や廃止措置、小型モジュール炉(SMR)開発に関する知見取得など、海外事業者との連携について紹介。「新しいものに関心を持つことは、若手のモチベーションにつながる」と強調した。これに対し、更田豊志委員長は、IAEAからSMRに関する規制の枠組への参加を求められたことを述べ、北米におけるSMR開発の進展状況などを尋ねた。この他、地震・津波に関する審査担当の石渡明委員が昨秋の大型台風を踏まえた気象災害への備えを、バックエンド担当の田中知委員はGCRの炉解体に関する英国の知見活用を指摘した。
- 30 Jan 2020
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高レベル放射性廃棄物処分で国際ラウンドテーブルが2月開催、連携強化に向け基本戦略策定へ
経済産業省は1月27日、高レベル放射性廃棄物問題に関する国際連携強化に向けた「最終処分国際ラウンドテーブル」の第2回会合を、2月7日にOECDパリ本部で開催すると発表した。「最終処分国際ラウンドテーブル」は、2019年6月の「G20エネルギー・環境大臣会合」(軽井沢)で合意された世界の主要な原子力利用国の政府が参加する枠組で、10月に行われた第1回会合には、ベルギー、カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、韓国、オランダ、ロシア、スペイン、スウェーデン、英国、米国、OECD/NEA、IAEAが参加した。同会合では、共通課題である最終処分の実現に向けて、各国が重視する考え方や協力を強化すべき分野について議論。これまでの最終処分に関する国際連携は、技術面を中心に専門家レベルで実施されてきたことから、国家戦略レベルで議論する同ラウンドテーブルは意義があるものと歓迎された上で、国民理解活動の知見・経験・教訓を学び合う重要性や、研究開発に関する協力として海外専門家によるレビューや地下研究施設の活用などについて意見が交わされた。第2回会合は初回に続き日本と米国が共同議長を務める。2回の会合での議論を踏まえ、最終処分に関する政府間の連携強化に向けた基本戦略やベストプラクティスなどを盛り込んだ最終報告書の取りまとめとなる運び。
- 27 Jan 2020
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IAEA「総合規制評価サービス」日程終了、規制委に産業界とのコミュニケーションを指摘
日本の原子力規制に関する制度や組織について評価を行うため来日していたIAEAの専門家チーム「総合規制評価サービス」(IRRS)のミッションが1月21日、8日間の日程を終え、チームリーダーのラムジー・ジャマール氏(カナダ原子力安全委員会上席副長官)は、原子力規制委員会の更田豊志委員長とともに合同記者会見を行った。今回のIRRSミッションは、2016年1月に来日したミッションで指摘された勧告・提言への対応状況についてレビューを行う「フォローアップミッション」と位置付けられるもの。IAEAのガイドラインでは、本ミッションの2~4年後が実施の目安とされている。前回のミッションで、2つの良好事例とともに、13の勧告と13の提言が示されたのを受け、規制委員会では、明らかとなった課題について対応方針を取りまとめ、検査制度の見直しや放射線源規制の強化に関わる法整備などに取り組んできた。会見で、ジャマール氏は「日本は相当な改善を成し遂げている」と、更田委員長は「大変活発な議論が行われた」と、それぞれ所感を述べた。検査制度に関して、規制委員会では、前回ミッションでの指摘を受け、検査官の施設へのアクセス権限を確保した制度設計や、能力向上のため、米国原子力規制委員会への派遣や教育訓練課程の開設などを図ってきた。2020年度からの新検査制度の本格運用開始に向けて、ジャマール氏は「検査官がしっかり訓練を受けていることを確認した」と評価。一方で、「規制組織の独立性を損なうことがあってはならないが、産業界とのコミュニケーションは原子力安全に資する」とも述べ、カナダの事例にも言及しながら、規制組織が産業界による技術的革新や改善活動などを知る重要性を繰り返し強調した。今回の「フォローアップミッション」の最終報告書は概ね3か月後に公開される運び。更田委員長は、福島第一原子力発電所事故の教訓として「継続的改善を怠ることは決して許されない」と述べ、「報告書提示を待たずに課題解決に取り組んでいく」姿勢を示した。
- 21 Jan 2020
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原産協会がIAEA職員を招き講演会、新興国への支援策など
原産協会は12月9日、IAEAで新規導入国への原子力発電開発に関わる協力活動を担当している安良岡悟氏を迎え講演会を開催(=写真)。会員企業などから約50名の参加があった。同氏は、2006年に経済産業省に入省後、資源エネルギー庁で、福島第一原子力発電所事故対応や軽水炉の安全性向上に資する技術開発プロジェクトに従事したほか、製造産業局航空宇宙産業課などを経て、2017年より IAEA原子力エネルギー局原子力発電インフラ開発課に出向している。今回、原子力エネルギーを巡る最近の国際動向や導入検討国に対する支援について発表し、日本のステークホルダーがIAEAの場を活用するメリットなどを示唆した。安良岡氏は、2018年の世界の電源別発電量で原子力が約10%、水力と再生可能エネルギーも合わせると36%のシェアを占めることを図示し、「『全体最適としてどうバランスをとっていくか』が盛んに議論されている」と述べ、原子力の「クリーンエネルギーとしての位置付け」を強調。今後の原子力開発の流れに関しては、SMRを中心とする「技術シフト」とアジア諸国を中心とする「地域シフト」の2つの側面をあげ、「堅調な新設ペース」にあるとした。自身が携わる原子力発電の導入検討国に対するインフラ開発支援として、安良岡氏は「INIR」(Integrated Nuclear Infrastructure Review)ミッションを紹介。各国の要望に応じ、「INIR」で取りまとめたレポートは、2009~18年でアジア・アフリカ諸国を中心に27か国に達したとして、10年間の取組を振り返り「徐々に体系化されつつある」と一定の評価を述べた。また、原子力発電導入に向けたマイルストーンにおいてIAEAでは19の評価軸を示しているが、同氏は特にその一つである産業政策の立案支援について、自身の関わる業務を紹介。例えば、石炭産業が盛んなポーランドについては原子力を通じ環境保全技術の市場拡大も図るなど、地場産業へのベネフィットを考える必要性を述べた。安良岡氏は、「INIR」の実施されたアフリカ諸国として、南アフリカ(運転中)、ナイジェリア、ケニア、モロッコ、ガーナ、ニジェール、スーダンの6か国をあげたが、参加者から、今後原子力発電の導入が有望な国について問われたの対し、「モロッコはかなり進んでいる」としたほか、ザンビアの近年の動きにも触れ、「アフリカは注目すべき地域」と強調。また、日本の人的貢献に関して、「日本は有数の地震国」と述べ、関連する知見が蓄積されてきた地質学、耐震設計、防災対策などの分野での可能性を示唆した。
- 10 Dec 2019
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IAEAへ出張する際の注意喚起
写真がすべてを物語っていますが、原子力業界に身を置くすべての仲間たちへ向けて、注意を喚起しておきたいことがあります。IAEAでの写真撮影を侮ってはいけません。IAEAへの出張者は、地下鉄U1のカイザーミューレン(VIC)という駅で降り、正面ゲート右のゲスト用エントランスをくぐります。次に保安検査を経て、受付で入構するためのパスを作ってもらいます。事前に顔写真提出をIAEAに求められていれば、すでにパスは仕上がっているのですが、そうでない場合、写真撮影コーナーへ行くことになります。たいていの場合、これが長蛇の列になります。月曜日の朝イチにゲストが集中するわけですから当たり前ですよね。でもそこでうんざりした表情で撮影に臨むと、良い写真になりません。運転免許の写真みたいになります。私は長蛇の列を経て、ようやく係官と対面し、にこやかにパスポートを提出致しました。すると何やらPCで確認した係官が「お前はあっちへ行け」的なことを言うのです。指差す方向には「すでに写真を提出している方々」の看板が下がっています。なんだか嫌な予感がしたんですよ。というか嫌な予感しかしない。看板の下ではマダムがニコニコと待機しており、パスポートを提出すると、「はい」と顔写真が貼られた入構パスを寄越しました。その顔写真が上の写真の右のちびくろサンボです。たこ焼きかと思いましたよ。10年以上前に、まだ私がIAEA総会併設展示会で「日本刀の作り方」をやっていた頃の写真です。当時、「日本男児を強調する」と豪語して坊主頭で撮影してしまったシロモノです。若いって嫌ね。もちろん「この写真は大昔のもので今とは顔が違う!」と断固抗議しますが、マダムは受け入れません。こういう時の融通の効かなさは国際機関ならではですね。日本のお役所の方が余程融通が効く。この入構パスを、東京メトロの改札機が感度悪くなっちゃったような機械にスキャンすると、ゲートが開くと同時に警備スタッフのディスプレイにパス掲載顔写真が表示されるようになっています。そして警備スタッフはニコリともせずに「OK」。OKじゃねえだろ!どう見ても別人だろ!とも思うのですが、西洋人から見ると同じに見えるのかしら??みなさんもIAEAでの写真撮影は、真剣に臨んでください。おそらくそれが今後10年、20年と使い回されることになるざんす。
- 09 Dec 2019
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IAEAの新事務局長にアルゼンチンのグロッシ大使 就任へ
国際原子力機関(IAEA)の加盟国中35か国で構成される理事会は10月29日、天野之弥事務局長の後任指名のため同日に実施した選挙で、在ウィーン国際機関アルゼンチン政府代表部のラファエル・M・グロッシ大使(58)(=写真)が過半数の24票を獲得し、新たな事務局長に決定したと発表した。今年7月に天野事務局長が任期半ばで死去した後、アルゼンチン、ブルキナファソ、ルーマニア、スロバキアの各国政府は、9月5日までに理事会に対し、それぞれの後任候補者を推薦。10月10日以降、当選に必要な3分の2以上の票数を獲得する候補者が現れるまで、理事会で非公開の投票が重ねられていた。今後は10月30日に、全加盟国の参加も可能な理事会を開催して、グロッシ大使を任期4年の新事務局長に指名。さらに、この決定を臨時総会に提出し、これら171加盟国の代表から承認を得るとしており、同大使は2019年中に6人目のIAEA事務局長に就任する。1957年にIAEAが設立されて以来、米国、スウェーデン、エジプト、日本が歴代事務局長を輩出しており、グロッシ大使は初の南米からの選出となる。グロッシ大使は学生時代、政治学で学士号、国際関係学で修士号を取得したほか、国際史と政治学および国際関係学で博士号を取得。IAEAでは2010年~2011年まで事務局長室のトップ、その後2013年までは政策関係の幹部職(Assistant Director General for Policy)も勤めた。アルゼンチン国内では、連邦計画・公的投資省の戦略計画委員会で原子力問題の特別顧問、外務省の政策調整官、アルゼンチン宇宙活動委員会(CONAE)の特別顧問などを歴任。国際機関関連では、化学兵器禁止機関(OPCW)の事務局長室や北大西洋条約機構(NATO)のアルゼンチン政府代表部で外交活動を担った。また、IAEAに加えて包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)、国連薬物犯罪事務局(UNODC)、国連工業開発機関(UNIDO)でも、アルゼンチン大使を務めている。2015年に国連安全保障理事国+ドイツが結んだイランとの核合意(「包括的共同行動計画(JCPOA)」)は、米国の離脱により、ますます危機的状態に陥っているが、現地の報道によると同大使は、この問題も含めてIAEAの役割を確実に、しかし「公平に」扱っていきたいとしている。(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 30 Oct 2019
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IAEAの低濃縮ウラン備蓄バンクに初荷がオラノ社から到着
国際原子力機関(IAEA)は10月17日、加盟国の民生用原子力発電所で濃縮ウランの供給を保証するため、カザフスタンに設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」に、仏国のオラノ・サイクル社から最初のLEUが到着したと発表した。これにより、IAEAが保有しカザフスタンが管理する同バンクは正式に運営を開始。IAEAは1957年の創立以来、最も意欲的かつ挑戦的なプロジェクトが本格的に始動したとしている。IAEAは昨年11月、一般競争入札で選定したオラノ・サイクル社、およびカザフの国営原子力企業カザトムプロムと、原子力発電所用燃料の原料となるLEUの購入契約を締結した。今回、オラノ・サイクル社から出荷されたシリンダー32本分のLEUは、まず仏国の港までトラックで輸送され、その後海路でロシアに到着。そこから列車により、カザフスタン北東部オスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)の特設貯蔵施設(=写真)に運ばれた。到着までに4週間以上を費やしたが、今回のLEUは典型的な100万kW級軽水炉に装荷される1回分の取替用燃料に十分な量。今年末までには、カザトムプロムから2回目の積荷が到着することになる。核燃料の供給を保証しつつ、核物質の拡散リスク軽減も目指すという多国間管理システムの構築は2003年にIAEAのM.エルバラダイ事務局長(当時)が初めて提唱。2010年12月にIAEA理事会は、これを設置することを決定した。IAEAのLEU備蓄バンクは、商業市場その他の既存ルートからLEU供給が途絶した場合の最終手段として、IAEA理事会の適格性基準を満たした加盟国のみが利用できる。100万kW級の軽水炉を3年間運転するのに十分な最大90トンを備蓄する方針で、施設の安全・セキュリティはカザフ政府が責任を負い、同国の法制と規制要件に準じて運営される。また、LEUはIAEAの保障措置管理下に置かれ、利用国にはIAEAの包括的保障措置協定の締結と遵守が義務付けられる。IAEAは2015年8月、同バンクのホスト国となることを希望したカザフとバンクの設立協定を締結しており、2017年8月にはUMPで同バンク用のLEU貯蔵施設が完成した。設立経費とその後20年間の運営費については、米国と同国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、欧州連合(EU)、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、カザフスタンから合計約1億5,000万ドルが拠出されている。(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月18日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 21 Oct 2019
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