キーワード:SMR
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英ロールス・ロイスSMR 米アメンタムを主要提供パートナーに選定
英ロールス・ロイスSMR社は1月20日、米エンジニアリング企業のアメンタム(Amentum)社と、小型モジュール炉(SMR)の初導入に向けた、主要な提供パートナーとしての協力契約を締結した。アメンタム社は、英国およびチェコにおける初号機導入プロジェクトの全体管理や監督、施工管理、実行体制の構築などを担い、プロジェクトの司令塔役を果たす。アメンタム社は原子力分野において、新設や運転支援、廃止措置など幅広いプロジェクトに携わってきた実績を有する。ロールス・ロイスSMR社のC. チョラトンCEOは、「強力なパートナーと協働することで、国際市場でSMRプロジェクトを展開できる体制が整った」とコメントした。このほか、ロールス・ロイスSMR社は1月14日、スウェーデンの建設大手スカンスカ(Skanska)社と、SMR向け免震ベアリング基礎(aseismic bearing pedestal)の実証モデルの納入契約を締結している。スカンスカ社はスウェーデン最大手の建設・プロジェクト開発会社で、英国にも拠点を有し、幅広い分野でインフラ事業を手がけている。免震ベアリング基礎は、SMR発電所の構造物と地盤の間に設置され、地震発生時の地盤の動きを隔離することで建物の安全性を高める重要な構造要素となる。今回のプロジェクトは、英ドンカスターにあるスカンスカの製造施設で進められ、プロトタイプの製造および実証試験が行われる予定としている。英国では2025年6月、政府が同社のSMRを同国初のSMRプロジェクトにおける優先技術として選定。同年11月には、北ウェールズのアングルシー島ウィルヴァを、ロールス・ロイスSMR(47万kWe)×3基の建設予定地として決定している。現在、同SMRは英国規制当局による包括的設計審査(GDA)の最終段階にあり、2026年8月までの審査完了を目指している。最終投資決定は2029年に行われる予定で、英国における初号機は2030年代半ばの送電開始を目標としている。最初の輸出先としてはチェコが想定されている。チェコ電力(ČEZ)によるSMR導入計画が進行中で、同社は英国に先駆け、2024年9月に当該SMRを将来の導入候補として選定した。2030年代に テメリン・サイトで初号機を運転開始する計画で、チェコ国内では合計300万kWe規模の導入が見込まれている。
- 27 Jan 2026
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米DOE INLに使用済み燃料研究センターを設立
米エネルギー省(DOE)原子力局は1月14日、傘下のアイダホ国立研究所(INL)に使用済み燃料研究センター(Center for Used Fuel Research)を設立したと発表した。これによりINLは、使用済み燃料管理に関する研究・開発・実証を担う主導機関に正式に指定された。同センターでは、長期保管条件下における使用済み燃料の安全な乾式貯蔵と輸送に関する応用研究を実施。商業炉およびDOE管理下の使用済み燃料について、最終処分前の安全な貯蔵および輸送に対する国民の信頼向上を目的とした技術的知見の蓄積を進める。INLは75年以上にわたり、燃料の開発、試験、認証を実施しており、今後は使用済み燃料の安全な長期貯蔵や輸送に関して公益事業者、規制当局、連邦政府機関が必要とする実証データの提供拠点となる。DOEはこの取組みについて、エネルギーと環境に関する米国の喫緊の課題を解決するための新たなコミットメントであり、使用済み燃料の最終処分に関するDOEの法定責任に直接対応するものであるとコメント。また、2025年4月にDOEとアイダホ州が合意した1995年和解協定の一部免除がなければ実現し得なかったと説明している。1995年の和解協定では、DOEがアイダホ州から遺留廃棄物を除去するマイルストーンを設定し、INLに商業炉からの使用済み燃料の搬入を禁止していたが、2025年4月、アイダホ州は和解協定の一部免除に合意。INLが商業炉の高燃焼度の使用済み燃料キャスクと国内大学の研究用原子炉から限定的な使用済み燃料を持ち込むことを認めた。これにより現在、ノースアナ原子力発電所に貯蔵されている高燃焼度の使用済み燃料キャスクをINLに搬出し、乾式貯蔵の研究を行うことが可能になった。搬出は2027年に行われる予定である。なおDOEは、同センターは使用済み燃料の安全な保管・輸送に関する問題に専念し、処分や再処理技術に関する直接的な研究は行わないとしている。INLは「ハブ・アンド・スポーク」(Hub and Spoke)モデルを通じて広範かつ多様な協力を調整。INLが中央ハブとなり、DOE傘下の他の国立研究所、産業界、大学、海外パートナーがスポークを形成し、幅広い関係者と効果的に協力する。大学はDOEの原子力エネルギー大学プログラム(NEUP)などのプログラムを通じて参加し、専門知識や人材育成への貢献が期待されている。海外パートナーとは、得られた教訓を共有、重複研究を避け、相互利益とベストプラクティスにおける整合性の確保に向けて連携するとしている。
- 26 Jan 2026
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フィンランドHelen社 SMR導入に向け原子力子会社設立
フィンランドのヘルシンキ市が保有するエネルギー企業Helen(ヘレン)社は1月12日、原子力プロジェクトの開発を目的とした完全子会社「Helen Ydinvoima(ユディンボイマ)」を設立した。新会社は、ヘルシンキにおける原子力発電所建設の前提条件に関する調査を担い、将来的な投資判断に向けた準備を進める。2月初旬に業務を開始する予定。ヘレン社は現在、地域暖房向けの熱供給源として小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を検討しており、2024年9月にSMR導入プログラムを開始した。2025年11月には、SMRの建設候補地としてヘルシンキ市内の3か所を選定し、詳細調査を開始している。新会社の取締役会長には、J. タンフア氏が就任した。同氏は30年以上にわたり原子力業界に携わり、フィンランドの原子力事業者Teollisuuden Voima Oyj(テオリスーデン・ボイマ:TVO)社で、同国最新の原子力発電所であるオルキルオト3号機(EPR、166万kWe、2023年営業運転開始)の建設を指揮した実績を有する。また、CEOには、ヘレン社で発電部門ディレクターを務め、原子力・エネルギー分野で長年の経験を有するP. トロネン氏が就任している。ヘレン社のSMR導入プロジェクトでは現在、設備サプライヤー選定に向けた競争入札が進行中。また、事業スキームやパートナーシップモデルの検討を進めている。産業界や他のエネルギー企業との協業の可能性についても検討を進めている。今回の子会社設立により、同社は2030年までを目標とする地域暖房の脱炭素化に向け、フィンランド国内初となるSMRの建設・稼働の可能性を本格的に検討していく。
- 26 Jan 2026
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蘭ゼーラント州 SMRの導入可能性調査結果を公表
オランダ南西部のゼーラント州は1月8日、同地域への小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を調査した報告書「SMR Zeeland 2050」を公表した。州政府の委託を受けて昨年12月に最終報告としてとりまとめられたもので、SMR導入のメリットを整理するとともに、実現に向けた政府の関与や支援の必要性を指摘している。ゼーラント州はオランダ有数の工業集積地域であり、同国で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR、51.2万kW)が立地する。オランダ政府は、新規大型炉2基の建設構想についても、ゼーラント州のボルセラ・サイト周辺を有力候補地として検討しており、原子力を巡る議論が活発な地域となっている。今回の報告書では、SMRを導入した場合のメリットとして、①地域での発電に加え、産業に必要な熱供給や水素製造用電源としての活用、②再生可能エネルギーを補完するベースロード電源としての機能、③脱炭素化の促進、などを挙げた。一方で、SMRは世界的に多様な設計案が存在するものの、本格的な商用導入は今後の課題としており、北米や欧州で進むプロジェクトの動向を踏まえつつ、導入の現実的な時期を2035~2040年ごろと想定している。報告書は、州としての対応について、以下の3段階で準備を進めることを提言した。2026~2027年: 公的・民間パートナーによる協力体制の構築、地域エネルギー戦略の見直し、候補地調査などの基盤整備。2028~2029年: 技術検討やインフラ準備、許認可プロセスの整備、人材育成・教育体制の構築。2030年以降: 外部プロジェクトとの協業や地域内での実装に向けた実行体制の整備。地元企業については、SMR導入に一定の関心を示しているものの、単独でプロジェクトを主導する資金力やノウハウには限界があると指摘しており、州政府や国レベルでの政策支援が不可欠との見方を示した。オランダ政府は、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換し、新規大型原子炉の建設を巡る議論を進めている。2022年12月には、新設サイトとしてボルセラ・サイトが最適との見解を示した。政府は、2035年までに出力100万~165万kW級×2基を新設する計画で、最終的には最大4基の新設を検討している。ゼーラント州では、国主導で進む大型原子炉の新設検討と並行して、SMRを将来の補完的な選択肢として位置づけており、地域の脱炭素戦略における多様な電源構成の一環として検討を進めている。
- 21 Jan 2026
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日本原子力学会 SMRに関する記者向け勉強会を開催
日本原子力学会は1月9日、報道関係者を対象とした交流会を開催した。交流会は、同学会の社会・環境部会が毎年実施しているもので、今年は、近年注目が高まる小型モジュール炉(SMR)をテーマに設定。エネルギー総合工学研究所・原子力技術センター原子力チームの都筑和泰氏を講師に招き、世界のSMRの開発動向や技術的特徴、導入を巡る課題に関する解説が行われた。SMRについて都築氏はまず、現地で一から組み立てるのではなく、工場で製造し、現地で据え付ける方式を採ることで、建設コストの低減や工期短縮が期待できる点を強調した。モジュール化の程度は設計によって異なるものの、近年では原子炉本体も工場で製造する設計が登場していることや、ロシアの浮体式原子炉のように、船舶に搭載して運用する方式などが紹介された。また、軽水炉の小型化自体に特段の技術的な革新性はないとしつつも、安全性と経済性を両立させる工夫がSMR普及の鍵になると指摘。「既存技術の活用や設計改善、量産効果などを通じたコスト低減が重要になる」とコメントした。さらに、開発の方向性については、「安全性を前面に打ち出す設計」と「構造を簡素化してコスト低減を狙う設計」という2つの流れがあると説明した。SMRの開発計画は2025年時点で100件超に増加しているものの、現在、多くは初期検討段階にとどまっていることを踏まえ、新たな産業としてはまだ立ち上がり段階にあるとも指摘する一方、中国やロシアでは実証段階に近い案件が多く、米国では設計の検討が活発化しているなど、各国の開発状況に違いがある現状を説明した。将来展望については、日本のように既に送電網が整備された国の大型原子力サイトにおいては、SMRの優位性が限定的になる可能性があるとも指摘した。その一方で、大型炉では電力供給が過剰となる地域や途上国、工場における熱・電力・水素の複合利用、データセンター用途などではSMRの適性が高いと述べた。特にAI向けデータセンターについては、都市近郊に立地する必要がなく、送電制約も踏まえれば、SMRを設置して直接電力を供給する形は合理的だとの見方を示した。その一方で、原子力安全に対する社会的な懸念や核セキュリティ対策が大きな課題であるとも指摘。そのうえで、成功事例が生まれれば、そこから普及が広がる可能性は十分にあるとの見通しを示した。さらに、SMRや原子力への社会的理解を広げるためには、「安全性の強調だけでは不十分だ」と述べ、エネルギー安全保障や脱炭素、コストといった観点を総合的に示し、日本にとって原子力が果たす役割を丁寧に説明する必要があるとした。原子力によって一定の電力供給を確保できれば、エネルギー自給率の低さに起因する非常時においても、医療や決済インフラなど社会の基盤機能を維持できる可能性があるとして、こうした現実的な視点に基づく議論の重要性を強調した。
- 20 Jan 2026
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カザフスタン 米国とSMR導入で協力
米国とカザフスタンは12月22日、民生用原子力エネルギー分野における協力関係を拡大し、小型モジュール炉(SMR)導入に向けた取組みを開始すると発表した。同取組みは、米国務省が主導する「SMRの責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」プログラムの枠組みの下で実施される。FIRSTプログラムの下で、カザフスタンのアルマティにある核物理研究所に教室型SMRシミュレーターを、国際科学技術センター(ISTC)を通じて提供する。同シミュレーターは、米国のホルテック・インターナショナル社と、カーチス・ライト社傘下のシミュレーション技術開発会社WSCによって製造される。駐カザフスタン米大使館によると、カザフスタンでは2022年からFIRSTプログラムが開始され、同国は中央アジア初のパートナー国であるという。同シミュレーターは、カザフスタンおよび中央アジア全域におけるSMRの安全かつ着実な展開を支える地域トレーニング拠点としての役割が期待されている。人材育成を通じてSMR導入を後押しする重要な取組みと位置づけられ、米国は今後、最高水準の核セキュリティ、安全、核不拡散基準を満たす信頼できるベンダーと連携しながら、原子力エネルギー分野でのパートナーシップを拡大していく方針である。さらに、FIRSTプログラムでは、米エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社と提携し、カザフスタンでSMRの実行可能性調査(F/S)を開始した。カザフスタンの電力網、地理的条件、予測される電力需要の観点から、カザフスタンの潜在的な設置場所に適した米国製SMRの候補を絞り込むとしている。一方、カザフスタンでは大型炉の建設計画も進められている。2025年6月、ロシアの国営原子力企業ロスアトムが同国初となる原子力発電所(バルハシ発電所)の主契約者に選定された。アルマティ州のジャンブール地区、バルハシ湖近くのウルケン村にVVER-1200(PWR、120万kWe)×2基を建設する計画で、現在、サイトではエンジニアリング調査が実施されている。第2発電所も同地区での建設が計画され、中国核工業集団(CNNC)による建設が有望視されており、2025年12月にウルケン村にて公聴会が開催された。カザフスタンは化石燃料資源が豊富にあるため、総発電電力量の約6割を石炭火力、約3割を天然ガス火力に依存している。また、世界のウラン生産の約40%を占め、回収可能なウラン資源量の約11%を保有し、世界有数のウラン資源国でもある。政府は2060年までのカーボンニュートラルの達成とともに、高度なデジタル化と人工知能(AI)の広範な導入に適した環境を作り出すため、エネルギーのポテンシャルを高め、今後数十年にわたるダイナミックな経済発展と生活の向上には原子力発電が必要であると強調している。K.-J. トカーエフ大統領は1月5日、同国の新聞社とのインタビューで「複数の原子力発電所の建設は、ウラン生産の世界的リーダーでありながら原子力発電所が1つも建設されていないという歴史的な不条理を正すものである」と述べ、原子力発電所の建設に伴う、新たな技術者や専門家の育成に期待を寄せた。
- 19 Jan 2026
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米デューク・エナジー社 SMR建設へ向け事前サイト許可を申請
米電力大手のデューク・エナジー社は1月2日、ノースカロライナ州ストークス郡にあるべリューズ・クリーク火力発電所の近接地について、米原子力規制委員会(NRC)に事前サイト許可(ESP)申請した。同社がESPを申請するのは今回が初めて。べリューズ・クリーク発電所は1974年に運転を開始した火力発電所(石炭と天然ガスの混焼)。2030年代後半に閉鎖される予定となっており、同社は将来の電源構成を見据え、同サイトの活用可能性を検討してきた。ESP申請に向けた準備は約2年前から進められていたという。ESPは、将来原子力発電所を建設する場合に備え立地の安全性や環境適合性を事前に確認する制度で、承認されればその後の許認可や建設段階での遅延リスクを低減できる。今回のESPでは、小型モジュール炉(SMR)4炉型と非軽水炉2炉型の計6炉型を想定しており、特定の炉型に限定してはいない。同社ノースカロライナ州責任者のK・ボウマン氏は、同州における原子力の役割の重要性を強調したうえで、「事前サイト許可申請は、べリューズ・クリーク・サイトにおけるSMR建設の可能性を評価する上で重要な次のステップになる」と述べた。同社は昨年10月、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州を対象としたエネルギーの長期計画「2025カロライナ資源計画」を、両州の規制当局に提出している。同計画では、両州の電力需要が今後15年間で過去の約8倍の伸び率で増加すると予測しており、この値は2023年に初めて示された同計画の想定を大きく上回っている。電力需要の急増を背景に、計画では原子力に関する評価対象を拡大し、SMRに加えて大型軽水炉も検討対象に含めている。また、新たな原子力発電所の候補地として、べリューズ・クリーク(SMR)と、サウスカロライナ州チェロキー郡のW.S.リー(大型軽水炉)を挙げていた。同社は現時点で新規の原子力発電所の建設を決定していない。追加評価の結果、べリューズ・クリークにおけるSMRが顧客負担の観点から妥当と判断された場合、合計出力約60万kWe規模の先進的な原子力発電所として最初のSMRを2036年に稼働させる計画としている。
- 06 Jan 2026
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ノルウェー 放射性廃棄物施設で22自治体に関心の有無を確認
ノルウェー原子力廃止措置局(NND)は12月10日、放射性廃棄物貯蔵施設の立地決定プロセスへの参加について、国内22自治体に対し関心の有無を確認する書簡を送付した。現時点で特定の候補地を決定するものではなく、「放射性廃棄物施設の立地に関するさらなる調査、対話、計画プロセスへの参加に関心があるかどうか」を把握することを目的としている。ノルウェーは原子力発電所を保有していないが、過去に研究炉を運転していた。ハルデン市のエネルギー技術研究所(IFE)のハルデン炉(BWR、2.5万kWt)は2018年6月、オスロ近郊リレストロム市のシェラー地区にある研究炉「JEEP-II」は2019年4月に閉鎖されており、これらに伴い発生した放射性廃棄物の管理・処分が課題となっている。NNDは、低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、使用済み燃料の貯蔵施設、廃棄物を選別・処理・加工する施設、さらに地層処分を含む最終処分場など、複数の施設整備を計画している。今回対象となった22自治体は、地質の安定性、自然災害のリスク、交通アクセス、事業実現性などを含む18の評価基準に基づき選定された評価適地。ハルデン市やリレストロムも含まれている。立地選定プロセスは、①施設と評価基準の定義②適地の特定③詳細調査による特性評価④立地の推奨―の4段階で構成されており、現在は第2段階に位置づけられている。今回の要請に対し、参加を希望しない自治体は特段の対応行う必要はなく、NNDが返答を受け取らなかった自治体は、受け入れ検討を希望していないものと見なされる。一方、参加を表明した自治体については、今後さらに調査や対話が進められる。NNDのコミュニケーション担当ディレクター、M. アンドレアッソン氏は、「これは自治体に対し、具体的な場所や施設について最終的な『是非』を問うものではない。将来のプロセスに参加する意思があるかを確認するためのものだ」と説明している。ノルウェーでは近年、原子力の導入に向けた議論が進展している。2024年6月には将来的な原子力発電導入の可能性について幅広く検討・評価する政府委員会を設置。さらに2025年4月には、国内企業が提案した小型モジュール炉(SMR)導入計画について、建設の可否の前提となる環境影響評価(EIA)プログラムの策定を関係機関に委託するなど、制度面の整備が進められている。
- 24 Dec 2025
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米ディープ・フィッション DOEの原子炉パイロットプログラムをカンザス州で実施
米国の新興原子力企業ディープ・フィッション(Deep Fission)社は12月4日、同社が開発した小型モジュール炉(SMR)である「Gravity」のサイトとして、カンザス州南東のパーソンズにあるグレートプレーンズ工業団地を選定したと発表した。同炉は地下1マイル(約1.6km)、幅30インチ(約76cm)のボーリング孔に設置するPWR(1.5万kWe)で、今年8月に米エネルギー省(DOE)の原子炉パイロットプログラムの対象に選定された。同プログラム下で試験炉の実証成功後、同サイトで本格的な商業プロジェクトを推進する計画だ。パイロットプログラムはDOE傘下の国立研究所以外の場所でDOEの管理権限の下、原子力法に基づく規制手続きを簡素化し、先進炉設計の試験と研究開発の実施を促進する取組み。ディープ・フィッション社は12月3日、同プログラム下で試験炉の建設と運転を行うため、DOEとその他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)を締結した。DOEの認可を条件に、2026年7月4日(米国独立記念日)までに初号機の建設を完了し、臨界達成を目指している。今回、グレートプレーンズ工業団地のオーナーであるグレートプレーンズ開発公社と同プログラムにおける協力ならびに同サイトでの本格的な商業プロジェクト開発に係る基本合意書を締結。12月9日には起工式が挙行された。サイト面積約60㎢のグレートプレーンズ工業団地は、産業・エネルギー開発向けのエリア。ディープ・フィッション社は、サイト内で事業を拡大し、今後数十年にわたり工業団地にエネルギーを供給する可能性がある。「Gravity」は、原子力、石油・ガス、地熱分野での実証をベースに設計。発生した熱は地下深部にある蒸気発生器に伝わり水を沸騰させ、非放射性の蒸気が急速に地表に上昇、そこで標準的な蒸気タービンを回して発電する。検査が必要と判断された場合、原子炉に取り付けられたケーブルにより、原子炉を地表に持ち上げることが可能。モジュール設計により、出力を最大150万kWeまで拡張可能で、産業現場、データセンター、遠隔送電網、商業ハブ全体を対象に柔軟に展開できるという。また既製部品と低濃縮ウラン(LEU)を利用し、サプライチェーンの合理化を追及。原子炉は地下1マイルに設置され、地下深部の地質が自然封じ込めの役目を果たす立地アプローチにより、安全性とセキュリティを強化、土地の占有面積を最小限に抑え、コストの削減をねらう。同社のコストモデルでは、従来の原子力発電所と比べて全体コストを70~80%削減し、発電コスト(LCOE)は5〜7セント/kWhと推定している。
- 19 Dec 2025
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米AI国家戦略「ジェネシス」始動 DOEが次世代炉開発を支援
米D.トランプ大統領は11月24日、産学官が連携し、国家主導で人工知能(AI)開発を推進する「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」を立ち上げる大統領令に署名した。政府が保有する科学データと研究基盤を統合し、科学研究にAIを活用して技術創出を加速するとともに、研究支援に特化した新たなAIモデルを国家として開発する二つの取り組みを進める。重点分野には原子力も含まれ、米エネルギー省(DOE)がプロジェクトの中心的役割を担う。大統領令は、構想を「かつてのマンハッタン計画に匹敵する規模とスピード感で推進すべき国家的課題」と位置付け、その重要性を強調した。ミッションでは、DOEと傘下の17の国立研究所が連携し、国家のスーパーコンピューターを含む研究インフラを横断的に活用する「AIプラットフォーム」を構築する。また、政府が保有する膨大な科学データを一元的に統合し、研究支援に特化した「科学用ファウンデーションモデル(Scientific Foundation Models)」の新規開発を進める。AI活用の重点領域としては、先端製造、バイオテクノロジー、重要素材、核分裂・核融合エネルギー、量子情報科学、半導体・マイクロエレクトロニクスなど、国家安全保障や産業競争力に直結する分野が挙げられた。原子力は主要領域のひとつとして明確に位置づけられている。DOEは特設ページを開設し、ミッションを「エネルギー」、「基礎研究」、「国家安全保障」の三本柱で説明。このうち原子力分野では、次世代原子炉の開発を掲げ、SMR(小型モジュール炉)の設計最適化や許認可手続きの効率化を、AIツールと連携して進める方針を示した。AIの導入により、開発期間の短縮と安全性・性能の向上を図るとしている。ミッションのディレクターには、DOE科学担当次官のD.ギル氏が就任した。MITで電気工学・コンピューターサイエンスの博士号を取得し、IBMで研究部門を率いた経歴を持つギル氏は、AI、量子、核融合、バイオなどで中国が急速に台頭している現状に触れ、「これは必ず勝利しなければならない競争だ」と強調。さらに第二次大戦期のマンハッタン計画を引き合いに、「科学技術は国家の戦略的優位性を決定づける」と述べ、ミッションの緊急性と国家的重要性を訴えた。
- 11 Dec 2025
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アフリカのエネルギーとカーボンクレジットの最前線
アフリカにおけるクリーンエネルギー移行は、欧州や日本とは大きく異なる様相を呈している。アフリカ大陸では、多くの地域で日常的な停電が発生している一方で、世界の脱炭素化を支えるコバルト、マンガン、ニッケル、ウランを輸出し続けている。アフリカは世界のクリーンエネルギー移行を支える素材を供給しながら、自らの産業を支えるエネルギーシステムを持たないのだ。これは誰が見てもフェアとは言えない。ブラジルで開催されたCOP30での議論と結果は、この不均衡をこれまで以上にはっきり示した。資金拠出の約束は繰り返し破られ、先進国からの慈善や連帯だけでは目標達成には到底足りないことは明らかだ。この問題をさらに悪化させているのは、ギャップを埋める重要な仕組みであるはずのカーボン市場が、依然として原子力を排除している点である。アフリカの気候目標アフリカ諸国の30か国以上が、パリ協定の下で強化された国別削減目標(NDC=Nationally Determined Contributions)を提出している。多くの国が今世紀半ばまでの排出量ネットゼロを掲げている。しかしその達成には、大規模でクリーンかつ信頼性の高い電源への膨大な投資が必要だ。その資金を呼び込むため、多くの政府がカーボン市場の活用を模索している。投資家は低炭素プロジェクトに資金を提供し、確認された排出削減量に応じたクレジットを取得する仕組みである。ケニア、ガーナ、ナイジェリアはカーボン取引のための規制枠組みを整備し、ルワンダや南アフリカでは地域的なカーボン市場ハブが形成されつつある。しかしここに重大な問題がある。最も効果的な脱炭素手段の一つである原子力が、主要なカーボンクレジット基準から除外されているという点だ。エネルギー安全保障と気候対策を同時に目指すアフリカにとって、この排除は選択肢を狭めている。カーボンクレジットの“盲点”Verra((正式名称 VCS:Verified Carbon Standard=世界最大のカーボンクレジット認証機関))やGold Standard((2003年にWWF(世界自然保護基金)が設立した非営利型スタンダード))などの現行の基準では、原子力発電はカーボンクレジット獲得の対象外だ。この判断は、原子力が安全性や政治的観点から議論されていた数十年前のものだが、今や気候金融の世界に大きな打撃を与えている。世界原子力協会によると、原子力発電は2024年に21億トンのCO₂排出を回避した。これは世界の航空産業のカーボンフットプリントのほぼ2倍に相当する。しかしカーボン市場では、その貢献は「ゼロ」とみなされている。この政策ギャップの影響を最も強く受けるのがアフリカである。エジプト、ケニア、エチオピア、ガーナ、ルワンダなどは電力系統の安定化や産業化の基盤として原子力導入を進めている。しかし、カーボンクレジット収入を活用できなければ、これらのプロジェクトの資金調達は極めて困難になる。実際アフリカ諸国では、天候依存で不安定な再エネであればクレジットを得られるが、24時間稼働し産業基盤を支えるクリーン電源にはクレジットが与えられない、という逆転現象が起きている。太陽光や風力、そしてバッテリーを組み合わせる方式は状況によっては理想的だが、産業活動に必要な電力量は膨大だ。例えば、アルミ1トンの製錬には約1.6万kWhの電力が必要であり、年100万トンの生産を行う大規模製錬所であれば、出力180万kWの発電所が必要である。これは日本の伊方原子力発電所の原子炉3基分((訳注:原文ママ。実際の伊方1-2号機は閉鎖されている))に匹敵する。エネルギー、鉱物、そして公平性アフリカは世界の重要鉱物埋蔵量の約3分の1を有する。これら資源の採掘・精製には大量の安定電力が必要だが、ザンビア、コンゴ民主共和国、ナミビアなどでは、慢性的な電力不足により輸出が頻繁に止まっている。クリーンなベースロードである原子力がなければ、事業者はディーゼルや石炭に依存することになり、これらの鉱物が本来支えるべきグリーン移行の意味を損なってしまう。結果として、アフリカは「グリーンサプライチェーン」を支えながら、自国では高炭素な産業構造を背負うという矛盾が生じる。原子力とその資金調達へのアクセスが拡大すれば、アフリカは①鉱業・製造業の脱炭素化、②鉱物の現地精製、③付加価値産業の創出、④“資源国”から“製造国”への転換--といった、次の段階へ進むことができる。こうした挑戦には、安全で効率的な原子力導入の経験を持つパートナーが不可欠であり、その筆頭が日本である。PBMR復活とアフリカの新しい潮流南アフリカは2026年第1四半期までに、ペブルベッド・モジュール型高温ガス炉(PBMR)((3重被覆層・燃料粒子(TRISO)燃料を使用し、ヘリウムを冷却材とする小規模高温ガス炉。電気出力は16.5万kW、熱出力は40万kW。))計画を復活させる決定を下した。かつて先駆的技術とされたこの小型炉プログラムの復活は、アフリカ大陸全体での小型・先進炉への関心拡大を象徴している。COP30でもアフリカ諸国の熱気は凄く、エチオピア・パビリオンでは、国連アフリカ経済委員会(UNECA)のジェームズ・ムロンベジ博士が、アフリカの産業政策における原子力の重要性を強調していた。日本が果たせる役割日本は、エネルギーの信頼性・安全性・技術革新の重要性を深く理解しており、これは現在のアフリカの文脈と強く響き合う。国際協力機構(JICA)や国際原子力機関(IAEA)での対アフリカ協力に加え、日本は3年に1度、アフリカ開発会議(TICAD)を主催し、今年8月の会合では過去最多のアフリカ首脳が参加した。アフリカが独自のカーボン市場やグリーン産業政策を構築している今、日本は以下の3つの形で主要な役割を果たし得る。 技術協力:安全規制、廃棄物管理、電力系統統合など、原子力導入に必要な制度構築を支援。 市場改革の提言:原子力をカーボンクレジット対象に含めるよう国際会合で働きかけ、公平性を確保。 投資パートナーシップ:SMR・先進燃料など日本の強みを生かし、透明性と気候整合性のある共同プロジェクトを推進。こうした協力はアフリカの開発に寄与するだけでなく、日本の責任ある原子力技術の国際的地位を高める。ブラジルで開催されたCOP30では、日本とタイが、タイで実現したCO2削減量について、日本がクレジットを取得する仕組みを国連に報告することで合意した。私は、アフリカ54か国との間でも、日本が提供する原子力技術を通じて、より大規模な仕組みを構築できると考えている。相互利益の実現日本のアフリカ関与は、世界的な連帯であるだけでなく、戦略的な経済機会でもある。原子力サプライチェーン全体での輸出機会高付加価値分野での雇用創出GX(グリーントランスフォーメーション)との相乗効果アジアゼロエミッション共同体(AZEC)で得られた知見の展開特に、カーボンクレジットが南半球の原子力事業の収入源となれば、世界市場は大きく拡大する。日本の規制、安全文化、技術力は世界でも突出しており、アフリカにおける運転保守・人材育成・燃料サイクル管理の地域センター形成にも貢献できる。また、国内原子力の再稼働・運転拡大により、エネルギー安全保障向上や化石燃料輸入削減などの経済メリットが日本国内でも生まれる。それが日本企業の輸出競争力をさらに高めることになる。要するに、アフリカの発展と脱炭素は、日本の国益とも一致するのだ。より公平なカーボン市場をつくるために気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)は、1.5℃目標の達成には世界的な原子力拡大が不可欠であると明言している。仮に1.5℃を超過しているとしても、開発途上国が原子力にアクセスできるようにすることはさらに重要になる。しかし原子力がカーボン市場から排除されたままでは、多くの国、特にアフリカが、原子力を選択することができない。原子力を含めることは、すべての実証済み低炭素技術を公平に扱うという強いメッセージとなり、日本とアフリカの協力にも新しい道を開く。さらに、COP30で見られたように、従来の気候資金は不安定化している。ドイツは長年続けてきた資金拠出の大幅削減を示唆し、米国も気候金融で存在感を失いつつある。政治的意思や国家予算に左右される仕組みでは、途上国の長期計画は成立しない。一方、カーボン市場は排出削減そのものに基づく“持続的な収入源”を生み出す。アフリカの産業化は、ドナー頼みの資金では支えられない。原子力を市場の対象にすることで、資金の基盤を慈善から市場メカニズムへ移行できる。COP30後の今こそ行動の時だ。原子力の役割を認めることは、カーボン市場の信頼性と公平性を強化し、パリ協定が掲げた「公平とエネルギー正義」の原則に沿うものとなる。同時に、地政学的には日本に新たな機会が開けている。気候金融で存在感を弱めた欧米に代わり、日本が安定したエネルギー外交のリーダーシップを発揮できる瞬間が訪れているのだ。アフリカと日本の未来アフリカの開発ストーリーは急速に進んでいる。2050年までに人口は倍増し、都市化が進み、若い労働力は新たな産業を求めている。この成長がクリーンで包摂的なものになるよう支援することは、世界全体の責務だ。日本が原子力を、アフリカのカーボン市場や開発政策に統合する支援を行えば、気候目標だけでなく、両者の繁栄にもつながる。原子力によって、アフリカは産業化・脱炭素・エネルギー安全保障を実現し、日本は技術輸出・国際的地位向上・国内原子力産業の再活性化を達成するのだ。日本は、アフリカの持続的開発と世界のエネルギー移行の双方を前進させる力を持っている!
- 08 Dec 2025
- FEATURE
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オクロ社マイクロ炉「オーロラ」主要設備調達へ シーメンスと設計契約
米国の先進炉と燃料リサイクルの開発企業、オクロ社は11月19日、独シーメンス・エナジー社とマイクロ炉「オーロラ」向け電力変換システムの設計契約を締結した。両社は2024年8月に優先サプライヤー契約を結んでおり、協業は実行段階へと移行した。今回の契約では、シーメンス社が蒸気タービンや発電機を中心に、関連機器の詳細設計と設備配置の策定を担う。主要機器の製造開始が可能となり、初号機建設の具体化へ前進した。オクロ社は、産業分野で実績のある既製機器を活用する設計方針が、建設コストや開発期間の圧縮につながると説明。シーメンス社も、高効率で信頼性の高い発電設備の提供を通じ、次世代炉の事業化を支援する姿勢を示した。オーロラは金属燃料を用いるナトリウム冷却高速炉で、出力は1.5万〜5万kWeの範囲で調整可能。HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))燃料により20年以上の連続運転を想定し、高い熱効率を生かした分散型電源としての利用も見込む。同社は米アイダホ国立研究所(INL)敷地内に建設する初号機を商業展開に向けた実証炉と位置づけ、開発を進めている。さらにオクロ社は11月11日、INL内で計画するオーロラ燃料製造施設(A3F)について、米エネルギー省(DOE)アイダホ事業局から原子力安全設計契約(NSDA)の承認を得たと発表。DOEの先進燃料製造ライン整備を後押しするパイロットプログラムで最初の承認例で、審査は提出からわずか2週間で承認された。A3Fでは使用済み燃料を再処理して得た金属燃料をオーロラ向けに製造する。初号機の商業運転に向け、燃料供給と発電所建設の整備が並行して進んでいる。
- 05 Dec 2025
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スウェーデン SMR建設で地元企業グループが出資参画
スウェーデン国営電力会社バッテンフォールは11月10日、同国の産業コンソーシアムであるインダストリクラフト(Industrikraft)と、リングハルスサイトでの新規原子力発電の実現に向け、共同投資および協力を行うことで合意した。インダストリクラフトは新規原子力発電プロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」の株主となる。インダストリクラフトは、スウェーデンの脱炭素電源による電力供給を支援し、40年ぶりの新規原子力発電開発を後押しする目的で、2024年6月に設立。ABB社、アルファ・ラヴァル社、ボルボ・グループなどの国内主要企業17社から構成される。今回の合意では、責任分担、影響力、資金調達などの枠組みを定め、17社のうち9社がプロジェクト会社株式の20%を保有する。政府も同社への出資意向を示している。また、インダストリクラフト会長兼アルファ・ラヴァル社CEOのT. エリクソン氏は、本プロジェクトに4億スウェーデンクローナ(約66億円)を出資することで合意したと明らかにした。プロジェクトへの共同投資に加え、プロジェクト管理や炉型選定においてノウハウ提供などで協力する計画だ。バッテンフォールのA. ボルグCEOは、「スウェーデンの産業界は、新規建設の実現に欠かせないパートナー。これら企業がヴェーロー半島の新規建設プロジェクトの共同オーナーとなる意欲とコミットメントを示したことは、脱炭素電源に対する需要があることの現れ。プロジェクト会社は現在、国の資金調達・リスク分担制度への申請準備を進めている」と述べた。スウェーデン議会(リクスダーゲン)は今年5月、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案「新規原子力発電プラント建設の資金調達とリスク分担に関する法案」を採択した。新法は今年8月1日に施行されており、申請が可能となっている。本制度は、低利の借入コストである政府融資の利用により、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減を目的としている。国家援助申請には、別のプロジェクト会社が必須であるため、バッテンフォールは今年4月、プロジェクト会社であるビデバーグ・クラフト社を設立した。バッテンフォールは今年8月、ヴェーロー半島にあるリングハルス原子力発電所3-4号機(PWR、各110万kWe級)に隣接して建設を計画している新規炉について、供給候補4社から米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と英ロールス・ロイスSMR社の小型モジュール炉(SMR)を最終候補に絞りこんでいる。GVH社製であれば5基、ロールス・ロイスSMR社製であれば3基の合計出力約150万kWeのSMRを建設する予定である。
- 02 Dec 2025
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ハンガリー 米WE社燃料を初採用 西側調達を拡大
米ウェスチングハウス(WE)社とハンガリーのMVMパクシュ原子力発電所は11月7日、燃料の長期供給契約を締結した。ハンガリー唯一の原子力発電所であるパクシュ発電所(ロシア型PWR=VVER-440, 50万kWe×4基)へ、欧州製のVVER燃料を供給する計画で、契約額は1億1400万ドル(約178億円)。同日のV.オルバーン首相とD.トランプ米大統領の会談の場で締結された。燃料供給は規制当局の認可を前提に、2028年から開始予定。MVM社は2024年10月、仏フラマトム社ともVVER-440向け燃料の供給契約を締結しており、こちらは2027年からの供給開始を見込む。従来、パクシュ発電所はほぼ全面的にロシア製燃料に依存してきたが、欧米企業との提携により、調達先の多様化を進める。今回の協力は燃料供給にとどまらず、使用済み燃料の国内貯蔵に関する米国技術の導入や、小型モジュール炉(SMR)分野での協力に向けた協議も開始される見通し。米国務省は声明で、首都ブダペストを中欧におけるSMR市場のハブと位置づける方針を示した。パクシュ1〜4号機は1982~87年に運転を開始し、現在も国内総発電量の約5割を担う。既存炉の運転期間は20年延長されており、敷地に隣接した5、6号機(VVER-1200, 120万kWe)の建設計画が進行するなど、ハンガリー政府は原子力を中長期的な基幹電源として位置づけている。
- 02 Dec 2025
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アジア開発銀行がIAEAと協力 原子力発電への投資支援を本格化
アジア開発銀行(ADB)は11月24日、アジア地域で急増する電力需要に対応するため、エネルギー政策を改定し、原子力発電への支援(初の投資を含む)を可能とする新方針を発表した。原子力を「信頼性の高い基幹電源」と位置づけ、加盟国のエネルギーアクセス拡大とエネルギー安全保障の強化を後押しする。翌25日には、国際原子力機関(IAEA)とアジア・太平洋地域での原子力の平和的、安全かつ持続可能な利用促進に向けた協力覚書(MOU)を締結した。地域開発銀行がIAEAとMOUを交わすのは初めて。ADBの神田眞人総裁は、「ADBの改定されたエネルギー政策では、原子力発電をベースロード発電用の化石燃料に代わるものとして認めている。今回のMOU締結により、原子力発電を選択する開発途上の加盟国が、強固な保障措置、強力なガバナンス、および持続可能性に対する明確なコミットメントをもって原子力発電を選択することが保証される」とその意義を強調。原子力への支援は厳格な評価、安全・保安、環境・社会面での最高基準の遵守を前提としながら、急増する地域のエネルギー需要に対応するため、各国の取り組みを支援する考えを示した。両機関は今後、小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を含めた原子力発電を模索する国々を支援し、原子力のライフサイクル全体にわたる知識基盤と技術能力の構築に向けて協力する。IAEAはまた、安全、セキュリティ、保障措置およびステークホルダーの関与に係る指針の提供などの支援を行う。さらに、ADBとIAEAとの協力は、エネルギー分野のみならず、海洋環境の保全や、深刻化する地域のマイクロプラスチック問題への対処などにも共同で取組むとしている。IAEAのR. グロッシー事務局長は、「ADBの融資能力とIAEAの技術的リーダーシップは強力な組み合わせだ」と述べ、地域全体の国々の増大するエネルギー需要に対応する協力分野を特定するために迅速に行動する意欲を示した。ADBは1966年設立の国際開発金融機関で、69の加盟国・地域(うち50はアジア太平洋地域)が参加。インフラ整備、電力・交通などの基盤開発、環境対策への融資を通じ、アジア太平洋地域の経済発展を支援している。
- 28 Nov 2025
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フィンランドのSMR導入計画 ヘルシンキ市内3か所を選定
フィンランドのヘルシンキ市が保有するエネルギー企業ヘレン(Helen)社は11月6日、小型モジュール炉(SMR)の建設候補地として市内3か所を正式に選定し、詳細調査を開始した。同社では昨年からSMR導入プログラムを立ち上げ、建設可能性の検討を進めていた。■選定された3地点・サルミサーリ(Salmisaari):ヘルシンキ中心部に近い埋め立て地で、かつて石炭火力発電所が立地していた地区。・ヴオサーリ(Vuosaari):市東部の半島に位置し、ヘレン社が運営する天然ガス火力による熱電併給プラントが稼働中。・ノールベルゲット(Norrberget, Östersundom):既存のエネルギー施設がない郊外区で、用途転換や土地利用の柔軟性があるとされる。これら3地点は、環境・経済性・安全性などを含む多面的な評価に基づき、地域暖房網との接続性やエネルギー供給拠点としての適性が確認されたという。ヘレン社は2030年までに地域暖房における化石燃料利用を停止する方針を掲げており、サルミサーリ石炭火力発電所を2025年4月1日付で閉鎖。これにより、市内の石炭火力発電所は全廃された。同社は、天候に左右されず二酸化炭素を排出しない安定電源を確保するため、熱単独型および熱電併給型の複数のSMRオプションについて導入可能性を検討している。今後は環境影響評価(EIA)手続きと市による土地利用計画策定が開始される。いずれの段階でも、市民は意見提出などを通じて参加できる。ヘルシンキ市とヘレン社は11月20日に公開討論会を開催し、12月7日まで意見募集も受け付ける。正式な建設サイトの決定は、EIAの結果や各種調査を踏まえ、数年内に行われる見通し。
- 28 Nov 2025
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スウェーデン ウラン採掘を解禁へ
スウェーデン議会は11月5日、ウラン採掘を再び可能とする政府提案を賛成多数で承認した。2018年から続いていた探査・採掘禁止を撤廃し、2026年1月1日に施行される。同国は2035年までに大型原子炉2基、2045年までに小型モジュール炉(SMR)を含む10基相当の新増設を進める方針を示しており、エネルギー安全保障や脱炭素に向けて、原子力推進を着実に進めている。ウラン採掘の禁止は、放射性廃棄物管理や環境負荷などへの懸念から、2018年の環境法改正で導入されたもの。しかし近年、ネットゼロ目標達成や原子力拡大の必要性が高まる中、政府は資源政策の見直しにも踏み切った。今回の改正では、ウランが社会的有用性の高い「コンセッション鉱物」に分類され、許認可手続きが鉄鉱石や銅など他の鉱物と同じ枠組みに統一される。少量のウランを扱う事業では自治体の拒否権が廃止され、許可申請も不要となる。今回の決定により、外国企業による投資機会も拡大する見通しだ。豪州のオーラ・エナジー(Aura Energy)社はスウェーデン北部にあるヘガーン鉱床を100%保有しており、ウラン抽出が可能になることで資源開発価値が高まるとして歓迎のコメントを発表。同社エグゼクティブ・チェアマンのP. ミッチェル氏は「スウェーデンには欧州で確認されているウラン資源の約27%があるとされ、商業的ポテンシャルは極めて大きい。世界的に原子力の役割が再評価される中、ウランを廃棄物ではなく、資源として有効活用することは合理的だ」と述べた。
- 21 Nov 2025
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原子力発電の復活が鮮明に WEO2025
国際エネルギー機関(IEA)は11月12日、最新の年次報告書「World Energy Outlook(WEO)2025」を公表した。化石燃料の供給不安に加えて、重要鉱物や電力インフラの脆弱性など、エネルギー分野全体でリスクが高まるなか、IEAは各国政府に対し、エネルギー供給の多様化と国際協力の強化を求めている。IEAによると、今後のエネルギー需要の中心はインド、東南アジア、中東、アフリカ、中南米へと移行する見通しだ。これらの地域は、過去10年以上にわたり世界の石油やガス、電力需要増をけん引した中国に代わり、「エネルギー市場の新たな中心地」になりつつある。今回の報告書では、2050年までの世界のエネルギーミックスを以下の3種類((2035年の電力ユニバーサルアクセス、2040年のクリーンクッキングアクセス達成を前提とした「Accelerating Clean Cooking and Electricity Services Scenario (ACCESS)」もある。))のシナリオで分析した。「現行政策シナリオ」(Current Policies Scenario, CPS):すでに実施中の政策や規制のみを反映。新技術導入には慎重な前提。「公表政策シナリオ」(Stated Policies Scenario, STEPS): 政府の公表済み戦略等を含むが、意欲的目標の完全達成は前提としない。「2050年実質ゼロ排出量シナリオ」(Net Zero Emissions by 2050 Scenario, NZEシナリオ):2050年ネットゼロ前提。報告書は、電力が現代経済の中核であり、すべてのシナリオで総エネルギー需要を上回るペースで増加すると指摘。電力供給や電化関連の投資は、世界のエネルギー投資の約半分(約1.6兆ドル)を占めているとした。現在、電力は世界の最終エネルギー消費の約20%にとどまる一方、世界経済の4割超を占める部門で主要なエネルギー源になっているとも指摘。F. ビロル事務局長は「世界はすでに “電力の時代” に入った」と述べ、データセンターやAIの急速な普及が先進国の電力需要を押し上げているとの見方を示した。2025年のデータセンター投資額は5,800億ドルに達し、石油供給への投資(5,400億ドル)を上回る見通しだ。一方、電力システム整備は追いついておらず、送電網や蓄電など柔軟性確保が最大の課題となっている。発電分野への投資が2015年以降で約70%増の年間1兆ドルに達する一方、送電網への年間投資は4,000億ドルにとどまる。発電分野では、全シナリオで太陽光を中心とした再生可能エネルギーが最速で成長するものの、原子力発電も復活の兆しを見せている、2035年には、世界の原子力発電設備容量が少なくとも2024年比3割増の5億6,300万kWに拡大。2050年には、CPSで7億2,800万kW、STEPSで7億8,400万kW、NZEシナリオでは10億7,900万kWに増加すると予測した。原子力の発電シェアは、いずれのシナリオも約10%程度となる見込み。気候目標では、すべてのシナリオで世界の平均気温が1.5℃を超過する可能性を示している。気温上昇は、電力インフラへの影響など新たな脆弱性をもたらし得るが、NZEシナリオでは長期的に1.5℃未満へ戻す余地が残るとした。原子力回帰へ――投資拡大とSMRなど新技術の台頭IEAは今回、全シナリオの共通項として「原子力発電の復活」を強調した。従来型の大型炉に加え、小型モジュール炉(SMR)など新技術への投資が拡大し、2025年の原子力発電電力量は過去最高を記録する見通し。現在、40か国以上が原子力を自国のエネルギー戦略に盛り込んでいる。報告書によると、世界で建設中の原子力発電設備容量は7,000万kW超と、過去30年間で最大級の規模となっている。特にSMRを中心としたイノベーションが追い風となっており、IT企業がデータセンター向け電源として3,000万kW規模のSMR計画に合意・関心を示している。一方で、米欧の一部大型プロジェクトでは工期遅延やコスト超過、放射性廃棄物処分への懸念など課題も残る。しかし、CO₂排出増や安全保障リスクを背景に、原子力回帰の機運はむしろ強まっていると指摘した。地域別では、中国が世界の建設中原子力発電設備容量の約半分を占め、2030年頃には世界最大の原子力発電国となる見通し。米国も政策支援やIT企業のSMR需要を背景に、2035年までに原子力発電設備容量が増加に転じるとみられる。欧州でも、フランス、ポーランド、チェコ、ハンガリー、スウェーデンなどが新増設や建設再開に向けた政策や投資確保を進めている。報告書はまた、建設や燃料製造、濃縮サービスなどが特定のプレーヤーに集中しがちな原子力産業において、サプライチェーンの多様化が不可欠と強調。持続的に拡大していくためには、イノベーションに加え、コスト管理や将来の収益見通しの透明性確保が不可欠と指摘している。また、燃料供給の多様化に向けた取組みが、米欧や中国で進みつつあるとした。さらにIEAは、2023年のCOP28で誓約された「2050年原子力3倍化」が実現した場合、世界の原子力発電設備容量は2020年の4億1,300万kWから2050年には12億4,000万kWへ拡大し、NZEシナリオの見通しを1億6,000万kW上回ると分析。達成には、2030年代~2040年代に年間4,000万kWの大規模な導入ペースが不可欠で、投資額も現在の700億ドル超から2035年頃に2,100億ドルへ急増すると試算した。強靭なサプライチェーンや高レベルな労働力、長期的な政策支援が不可欠とも指摘している。IEAは、米国がこうした世界的な動きで中心的な役割を果たす可能性にも言及。2025年5月の大統領令は、米原子力規制委員会(NRC)の改革を通じて国内原子力産業の再活性化をめざし、2050年までに3億kWを米国内で新設する方針だ。さらに、欧州連合(EU)、中東、アフリカ、東アジア、北米、中米でも、脱炭素化戦略の一環として原子力への関心が再燃している。
- 19 Nov 2025
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南ア クバーグ2号機も60年運転へ
南アフリカ国家原子力規制委員会(NNR)は11月6日、クバーグ原子力発電所2号機(PWR, 97万kWe)の運転期間を20年延長し、2045年11月9日までの運転を認可したと発表した。2号機は当初40年の運転期間を設定していたが、今回の延長により合計60年となる。昨年には1号機も2044年7月までの延長が認可されており、これに続く措置。両機の運転継続により、今後20年間にわたり約186万kWeのベースロード電源が確保される。NNRは今回の認可にあたり、安全評価や技術審査、設備更新の進捗状況を総合的に確認した。2025年9月末から10月初旬にかけて計3回の公開ヒアリングを開催し、地域住民の意見を含め幅広い観点を審査に反映した。2号機は延長に向けて蒸気発生器3基の交換や燃料交換などを実施して2024年末に送電網へ再接続されている。長期運転(LTO)を申請した国営電力会社エスコムの最高原子力責任者V.ントゥリ氏は、「延長は高度なスキルを持つ従業員と国内サプライチェーンの支えによる成果だ」と述べた。クバーグ発電所は1号機(運転開始1984年)、2号機(運転開始1985年)の総出力約194万kWeを有する南アフリカ唯一の原子力発電所。同国は総発電電力量に占める石炭火力シェアが約80%と高い上、慢性的な電力不足や計画停電が続く中、既存原子力の活用は重要政策となっている。南アフリカ政府は10月19日に公表した統合資源計画(IRP)2025で、原子力を「低炭素で費用対効果が高く、信頼性の高いベースロード電源」と評価し、2039年までに520万kWeの原子力導入を目指す方針を示した。今回の2号機延長はIRP2025の新規導入枠には含まれないが、既存原子力の安全な継続運転を確実にする措置であり、新規原子力と両立する電源構成の基盤を形成する。政府は小型モジュール炉(SMR)導入の可能性も検討しており、原子力を中長期のエネルギー戦略の柱とする姿勢を明確にしている。
- 18 Nov 2025
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米2州で新規建設に向けた動き
米ニューヨーク州営のニューヨーク電力公社(NYPA)は10月30日、同州で少なくとも合計100万kWe規模の先進炉導入に向け、2件の情報提供要請(RFI)を開始した。今年6月、同州のK. ホークル知事(民主党)が、州北部での次世代原子力発電所建設の検討開始をNYPAに指示したことを受けた措置。NYPAは、系統の信頼性を確保、電力コストを抑制し、エネルギーの自立性とサプライチェーンを強化といった州のエネルギー政策を支える方針であり、再生可能エネルギーを補完する、排出量ゼロの安定した電力供給を目指している。ニューヨーク州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイト・計4基の原子炉を運転している。RFIのうち1件は、NYPAの先進原子力プロジェクトの誘致に関心のあるニューヨーク州北部のコミュニティを対象とし、もう1件は、原子力プロジェクトの開発、建設、運転またはサービス提供の経験を持つ開発事業者を対象としている。両RFIの提案提出期限は2025年12月11日。NYPAはホークル知事の指示を受け、直ちに人材育成について労働団体を含む幅広い利害関係者や、誘致に関心のあるコミュニティリーダーや選出議員と意見交換を行うなど、事前実現可能性調査を開始。NYPAのJ. ドリスコルCEOは、「この先進原子力プロジェクトの成功は、地域社会、政府機関、民間部門の協力にかかっている。今回のRFIを通じ、ニューヨーク州北部の開発業者やコミュニティから情報を収集し、サイト選定とパートナーシップの形成を目指す。州の経済を支え、雇用創出を促進し、クリーンエネルギーへの移行を後押しする豊富な電力供給を実現していく」と意欲を示した。NYPAは、州北部で立地可能性のあるサイトをその規模や水源、外的危険性や、地元からの支持の観点から特定し、技術的な推奨事項、立地に関する考慮事項、コストとスケジュールの前提条件、所有構造、パートナーシップモデルなど、実行可能なプロジェクトの概念の検討を進め、2033年までに建設開始を目指している。イリノイ州では大型炉建設を解禁一方、イリノイ州議会は10月30日、「クリーンで信頼性の高い送電網の手頃な価格法(Clean and Reliable Grid Affordability Act)」を可決した。同法は、大型炉建設の解禁を盛り込んでおり、J. プリツカー知事(民主党)の署名により2026年1月1日より施行される。同州では1987年以降、高レベル放射性廃棄物の恒久的な処分方法が確立されていないことを理由に、原子力発電所の建設が一時的に禁止されていた。2023年12月、小型モジュール炉(SMR)の建設を認める州法が制定されたが、プリツカー知事は同年8月、「先進炉」を広く定義する同様の法案に対し、この定義がコストのかかる大型炉の建設を許すものだとして、拒否権を行使していた。しかし、AIや量子コンピューティングの発展に伴い、全米で進む廃炉発電所の運転再開や新規建設の動きを受け、今回のモラトリアム解除に踏み切った。電力料金の値下げや、テクノロジー企業の誘致につながると期待されている。2024年時点で、イリノイ州では6サイト・計11基の原子炉が運転しており、すべてコンステレーション社によるもの。その発電量は、州の総発電量の53%を占め、他のどの州よりも多くの電力を原子力発電で賄い、全米の原子力発電量の8分の1に相当する。州内のバイロン、ドレスデン両原子力発電所は2021年に閉鎖予定であったが、州議会は同年、2040年までにクリーンエネルギー比率50%、2050年までに100%への移行を義務付ける法律を可決。カーボンクレジット計画を通じて州が原子力発電所を支援することとなり、これを受け、両発電所の運転が継続されることとなった。今年6月にはイリノイ州でコンステレーション社が運転するクリントン原子力発電所(クリントン・クリーン・エネルギー・センター)からの電力をIT大手のMeta社に20年間にわたり供給する契約を締結し、同発電所は継続的な運転を確保している。
- 17 Nov 2025
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