キーワード:SMR
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カナダの4州、SMRの戦略的開発・建設計画を共同策定
カナダのオンタリオ州、ニューブランズウィック(NB)州、サスカチュワン州、およびアルバータ州の4州は3月28日、小型モジュール炉(SMR)を開発・建設していくための共同戦略計画を策定したと発表した。この戦略計画では、各州の経済成長や人口増加に対し、安全で信頼性の高い無炭素なエネルギーをSMRがどのように提供していくかを集中的に取り上げており、将来カナダのSMR技術や専門的知見を世界中に輸出していくための新たな機会を模索。これらの州ですでに進展中の3つの方向性にSMRの建設を進めていくとしており、2026年までにチョークリバーで小型の高温ガス炉を完成させる計画や、2028年までにダーリントン原子力発電所敷地内で送電網への接続が可能なSMRを完成させる計画などを明記している。同戦略計画の元になっているのは、オンタリオ州とNB州、およびサスカチュワン州の3州が、2019年12月に締結したカナダ国内での多目的SMR開発・建設するための協力覚書に基づき、それぞれの州営電力に委託して実施した「SMR開発の実行可能性調査(FS)」の結果である。アルバータ州が2021年4月にこの覚書に加わった際、同時に公表されたFS調査の結果報告書によると、「出力30万kW以下のSMRはカナダのエネルギー需要を満たすのに貢献するだけでなく、温室効果ガスの排出量を削減。そのクリーンエネルギー技術と地球温暖化との取り組みで、カナダを世界のリーダーに押し上げることが期待される」と結論付けていた。今回の戦略計画で4州が進める5つの優先対策は以下の通りである。送電網に接続可能なSMRとそうでないものの両方について、3つの方向性で複数のSMR技術の開発・建設を推進し、カナダを世界的なSMR輸出国に位置付ける。SMR用に適切な規制枠組みが構築されるよう促し、SMR周辺住民の健康と安全、環境を防護しつつ合理的な建設コストと工期を実現する。新しいSMR技術の開発に対し、財政面や政策面でカナダ連邦政府の支援を取り付け、カナダ全土でその経済的利益を得るとともにCO2の削減目標達成の一助とする。SMR計画に先住民コミュニティを含むカナダの一般市民が参加可能となるよう、機会を創出する。SMRから出る廃棄物の盤石な管理計画の策定で、連邦政府や原子力発電所の運転会社と協力する。最初の優先方策で示された3つの方向性について、戦略計画はオンタリオ州のダーリントン原子力発電所内で、2028年までに送電網に接続可能な出力30万kWのSMRを1基建設すると表明。後続のSMRを複数サスカチュワン州内で建設するとしており、このうち最初の1基の運転開始時期を2034年に設定している。ダーリントンでの建設計画については、オンタリオ州営電力(OPG)会社が2021年12月、候補の3設計の中から米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のBWR型SMR「BWRX-300」(電気出力30万kW)を選定した。2つ目の方向性としては、第4世代のSMRを2種類、NB州のポイントルプロー原子力発電所敷地内で建設する。米ARCクリーン・エナジー社製のナトリウム冷却・プール型高速中性子炉のSMR「ARC-100」(電気出力10万kW)を、2029年までに本格的に運転開始するほか、英国のモルテックス・エナジー社が開発した「燃料ピン型溶融塩炉(Stable Salt Reactor-Wasteburner: SSR-W)」(電気出力30万kW)については、2030年代初頭までに商業規模の実証炉を建設する計画である。3つ目では、米ウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)製の第4世代の小型高温ガス炉「マイクロ・モジュラー・リアクター(MMR)」(電気出力0.5万kW)を、USNC社とOPG社の合弁事業体であるグローバル・ファースト・パワー社が、2026年までにカナダ原子力研究所(CNL)のチョークリバー・サイトで完成させる。これにより、基幹送電網に接続できない遠隔地域への電力供給や、鉱山での採掘活動におけるSMRの実行可能性を実証するとしている。今回の戦略計画について、オンタリオ州政府は「我々のSMR開発を世界中が注目しており、SMR技術の研究開発の世界的センターとしてのわが州の名声はますます高まっていく」と指摘した。また、「SMRは信頼性の高い廉価なクリーンエネルギーを生み出せるため、新たな雇用の創出に貢献するほか、クリーンエネルギーにおけるカナダの優位性を一層促進、オンタリオ州では州の全域で雇用を生み出す新たな投資が確保される」と強調している。(参照資料:オンタリオ州、ニューブランズウィック州、サスカチュワン州、アルバータ州の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 31 Mar 2022
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総合エネ調原子力小委、革新炉開発に関しWGで集中議論へ
総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=山口彰・東京大学大学院工学系研究科教授)が3月28日に開かれ、エネルギーを巡る社会動向と原子力の技術開発について議論した。〈配布資料は こちら〉同委員会では2月、約10か月ぶりに開かれた前回会合で、今後の議論に向け、(1)着実な再稼働の推進、(2)革新的な安全性の向上等に向けた取組、(3)国民・自治体との信頼関係の構築、(4)原子力の安全を支える人材・技術/産業基盤の維持・強化、(5)原子力の平和利用に向けた国際協力の推進、(6)核燃料サイクルの着実な推進と最終処分を含むバックエンド課題への取組――の各論点を提示。論点ごとの意見整理を踏まえ、今回は、革新炉開発、原子力を支える人材・技術に係る課題を抽出。海外電力調査会上席研究員の黒田雄二氏、日本原子力研究開発機構理事の大島宏之氏からのヒアリング、意見交換を行った上で、「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発に係る道筋を示す」ため、同委員会のもとに「革新炉ワーキンググループ」を設置し議論を深めることとなった。黒田氏は、米国、英国、カナダ、ロシア、中国など、世界の革新炉開発状況を紹介。小型モジュール炉(SMR)については、OECD/NEAによる報告書から、世界的展開に向けた課題として、(1)経験が限られた技術であり実現性が不確実、(2)実証プロジェクトに続く商業化にはさらなる最適化が必要、(3)サプライチェーンの構築と濃縮度の高いウランの定常的な供給が必要、(4)規制当局による円滑な安全性の審査・承認や世界的な規制体制の調和が必要、(5)社会的受容性の獲得が必要――なことを示した。大島氏は、原子力機構が技術開発に取り組む高温ガス炉と高速炉を「社会ニーズに対応可能な革新炉技術」と標榜。実用化に向けて、計画の早期具体化、次世代炉に対する安全規制・基準の構築や予見性確保、国内開発や国外開発への参入に対する国の支援施策が重要だとした。資源エネルギー庁は、日本における革新炉開発の課題として、予算措置の拡充、予見性を高める規制・法律の整備、開発・実装の工程表確立を掲げ、米国などと対比し整理。また、オランダの事例として、コスト超過・工程遅延の課題最小化のため大型軽水炉(第3世代炉+)に向かう炉型選択・市場動向を紹介。原子力関係輸出高が減少傾向にあるが、原子力サプライヤの海外進出の課題として、(1)海外規格の取得・維持、(2)海外案件のオンタイムな情報収集、(3)現地での継続的なメンテナンスサービスの提供――をあげた。委員からは、杉本達治氏(福井県知事)が、革新炉開発に関し「目標を明確にすることが重要。しっかりと議論し次のエネルギー基本計画に反映させるべき」と強調。特に、高速炉開発については、2016年に示された政府方針を省み、「もんじゅ」を含む周辺地域の研究開発における中核的拠点化を始め、国内の研究基盤の拡充を求めた。専門委員として出席した原産協会の新井史朗理事長は、サプライチェーンの維持に関し、「原子力の持続的活用の観点から、高品質の機器製造、工事・保守などの供給は必須で、これらが国内で一貫して行われることが重要」とした上で、既存炉の徹底活用とともに、新増設・リプレースの明確な見通しなど、関連産業の長期的展望が求められると述べた。
- 28 Mar 2022
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三菱電機、米ホルテック社と「SMR-160」向け計装制御システムの設計契約
三菱電機は3月23日、米国子会社の三菱電機パワー・プロダクツを通じて、米国ホルテック・インターナショナル社と、小型モジュール炉「SMR-160」(軽水炉方式、16万kW)向けの計装制御システムの設計契約を締結したと発表した。〈三菱電機発表資料は こちら〉「SMR-160」は、ホルテック社の子会社であるSMR社が開発中の次世代炉で、事故時にも外部からの電源や冷却材の供給なしで炉心冷却が可能な受動的安全系を備えている。ホルテック社は、2020年12月に米国エネルギー省(DOE)の「先進的原子炉建設の実証プログラム」(ARDP)による支援金の対象企業として選定された。ARDPで、「SMR-160」は「実用化時期:2030~34年」のカテゴリーに位置付けられており、資金援助額は7年間で1億1,600万ドル。同社では「SMR-160」実証炉建設に向けた設計・エンジニアリングや許認可手続きを進めている。三菱電機とホルテック社は、ARDP選定を受け実証炉建設計画の一部が具体化したことを受け、「SMR-160」向けに2016年から共同開発を進めてきた計装制御システムの設計をもとに、実証炉建設に向けた設計を加速している。三菱電機は、今回の設計契約のもと、計装制御システムの機能や運転性を検証するシミュレーターの製作を行う。「SMR-160」には、三菱電機製の計装制御システム「MELTAC(メルタック)」が採用される計画。同社は、米国の規制に準拠した品質保証プログラムをもとに、米国向け計装制御システム「MELTAC Nplus S(メルタックエヌプラスエス)」の開発を完了し、2018年に米国原子力規制委員会(NRC)から米国の原子力発電所への適用許可を取得済みだ。
- 23 Mar 2022
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カナダ政府、WH社製SMRの国内建設に向け約2,700万加ドル投資
カナダ政府は3月17日、米ウェスチングハウス(WH)社が開発している次世代のマイクロ原子炉「eVinci」(電気出力は最大0.5万kW)をカナダ国内で将来的に建設するため、2,720万カナダドル(約26億円)を同社のカナダ支社に投資すると発表した。この資金は、イノベーション・科学・研究開発省(ISED)の「戦略的技術革新基金(SIF)」から拠出される予定。同基金からはすでに2020年10月、テレストリアル・エナジー社の「小型モジュール式・一体型溶融塩炉(IMSR)」開発を加速するため、2,000万カナダドル(約19億円)を投資することが決まっている。発表によると、カナダは原子力発電とその安全性確保で世界のリーダー的立場を自負しており、国内には小型モジュール炉(SMR)技術を安全かつ責任ある形で開発できる世界的に有望な市場も存在する。そのため同国は、WH社が約5,700万加ドル(約54億円)かけて進めているeVinci開発プロジェクトを支援し、SMR技術の「いつでも利用可能で運搬も容易な低炭素エネルギー源」としての能力を活用するほか、カナダ経済への多大な貢献を期待。同国が目標とする「2050年までにCO2排出量を実質ゼロ化」達成の一助になると説明している。カナダ政府はまた、eVinciプロジェクトへの投資を通じて、カナダ国内の技術革新を促進していく方針である。具体的には、ディーゼル発電に依存しているコミュニティのクリーンエネルギーへの移行を促すほか、エネルギー部門で高給の常勤雇用200名分以上を創出・維持する。eVinciプロジェクトはさらに、カナダの将来的な経済成長と技術革新を支える主要要素として、高度な技術力を持った労働力の育成や新たな基礎技術研究を促進していくと指摘。政府がカナダを世界の技術革新の中心地とするため、2017年予算で発表した「技術革新と技能計画」をも後押しするとした。eVinciプロジェクトはこのほか、カナダのSMR技術開発、およびその長期的なビジョンを示した2020年の「SMRアクション計画」を支援するとカナダ政府は指摘している。WH社の説明では、「eVinci」の設計寿命は40年間。10年以上燃料交換なしで運転することが可能である。主に送電網の届かない遠隔地や島しょ地域におけるクリーンな熱電併給を想定した設計であり、分散型発電を必要とする鉱山や産業サイト、データセンター、大学、舶用推進、水素製造、海水脱塩等に利用できる。また、負荷追従運転にも対応するなど、柔軟性の高い運転が可能な「eVinci」は主要なエネルギー源として活用するほかに、再生可能エネルギーなどその他の電源と組み合わせれば、恒久的なインフラ設備の建設費用を抑えられるため、カナダのエネルギーコスト削減にも役立つ。ISEDのF.-P.シャンパーニュ大臣は、「脱炭素化に取り組みながらカナダ政府はコロナ後の経済再興を進めているところであり、地球温暖化の防止策をしっかり講じた有望な将来基盤が形作られつつある」とコメント。「この投資は地球温暖化の防止で重要な役割を果たすだけでなく、カナダのエネルギー部門で確実に雇用を確保することにもつながる」と強調している。(参照資料:カナダ政府、WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 22 Mar 2022
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スウェーデン企業、SMRの国内建設に向けGEH社と協力覚書
スウェーデンのプロジェクト開発企業であるシャーンフル・ネキスト(Kärnfull Next)社は3月14日、同国内で複数の小型モジュール炉(SMR)を可能な限り迅速に建設するため、米国のGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社と了解覚書を締結したと発表した。同社は今後、機器設備のサプライヤーや投資家との協議を集中的に行うほか、GEH社製SMR「BWRX-300」を建設する可能性があるスウェーデン国内の地点で、準備作業を進めていく。計画の初期費用については、クリーンエネルギーへの投資実績があるコアスプリング・インベスト(Corespring Invest)社から調達済みであることを明らかにしている。同社は環境保全技術のスタートアップ企業(*新しいビジネスモデルや製品でイノベーションを起こそうとしている企業)であるシャーンフル・フューチャー( Kärnfull Future)社の100%子会社であり、シャーンフル・グループの中には、100%原子力の電力を調達して販売するシャーンフル・エネルギー(Kärnfull Energi)社が含まれている。シャーンフル・ネキスト社は今回、「CO2を排出しないエネルギーへの需要が近年高まっているが、当社にはこれに応える技術や知識基盤、資金調達手段も備わっている」と説明。これらを通じてSMRの建設計画を進め、スウェーデンの原子力発電の再構築に貢献したいとしている。CO2を排出しない信頼性の高いエネルギー源としてSMRを選択した理由について、同社は従来の大型炉と比べて柔軟性の高い運転が可能であることを挙げた。また、SMRが生み出すエネルギーは、電力のみならず水素やアンモニア、合成燃料の供給など、様々な利用が可能である。GEH社製のSMR設計を選択したことに関しても同社は同じ理由を挙げており、スウェーデン国内でSMRに関心を持つ数社との協力はすでに始まっていると指摘。ただし、このように新しい原子炉技術を現実に建設するには、現行法制を見直しする必要がある点にも言及している。シャーンフル・ネキスト社の創設者の一人J.アールバーグ氏は、今回の覚書締結について「常に新しい分野を開拓している当社にとって、今回の展開はごく自然なステップだ」と説明。今回の契約は、シャーンフル・エネルギー社が提供している原子力100%の電力供給のニーズを満たす上でも有効だと述べた。同氏はまた、「最先端の原子力技術を用いたエネルギー供給で積極的な役割を担うことは、当社にとっても心を踊らせる機会だ」と表明。注意深く選択したパートナー企業と信頼性の高いサプライチェーンを築き、コスト面の効果が高い無炭素なエネルギーをタイムリーに供給していきたいと述べた。GEH社の「BWRX-300」は、電気出力30万kWのBWR型SMR。2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉、「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」がベースとなっている。GEH社のJ.ボール上級副社長は、スウェーデンで稼働する全6基の商業炉のうち4基までがBWRであるほか、すでに閉鎖した商業規模の原子炉6基のうち5基までがBWRであることから、「スウェーデンにはBWRの運転で豊かな経験があるし、産業界や投資家がクリーンエネルギーへの移行加速で協力するなか、スウェーデンに当社の「BWRX-300」を提供できることをうれしく思う」とコメントしている。(参照資料:シャーンフル・ネキスト社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 17 Mar 2022
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加OPG社、ダーリントンでのSMR建設でサイト準備作業開始へ
カナダのオンタリオ州営電力(OPG)は3月10日、既存のダーリントン原子力発電所でGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」を建設するため、初期のサイト準備作業を開始すると発表した。この作業に向けた第一段階として、OPGは今回、カナダの様々な産業界でEPC(設計・調達・建設)事業を多角的に展開しているE.S.フォックス社と3,200万カナダドル(約29億5,000万円)の契約を締結した。実際に準備作業を始めるには、カナダ原子力安全委員会(CNSC)等から許認可を得る必要がある。そのため、これらがOPGに発給されるのを待って、E.S.フォックス社は今年後半にも、建設サイトに通じる道路の整備やサイトに電力や水を供給するサービスなど、建設インフラの整備事業を開始する計画だ。オンタリオ州南部のダラム地方に立地するダーリントン発電所では、2012年8月にCNSCがOPGの大型炉増設計画(当時)に対して「サイト準備許可(LTPS)」を発給した。しかし、OPG社はその後この計画を保留しており、2020年11月には「ダーリントン新設サイト」でSMRの建設に向けた活動を開始すると発表している。取得したLTPSは有効期限が2022年8月に迫っていたため、OPGはこれに先立つ2020年6月に更新申請書をCNSCに提出。CNSCは2021年10月に同LTPSの10年延長を承認しており、同サイトは現在、カナダで唯一LTPSが認められている地点である。2021年12月になると、OPGは同サイトで建設するSMRとして、3つの候補設計の中からGEHの「BWRX-300」を選定した。両社は現在、SMRの建設に向けた設計・エンジニアリングや計画立案、許認可手続きの実施準備等で協力中。OPGは2022年末までに建設許可をCNSCに申請し、早ければ2028年にもカナダ初の商業用SMRを完成させる方針である。カナダでは、国内の商業炉19基のうち18基がオンタリオ州に立地しており、同州はこれらを通じて、2014年に州内の石炭火力発電所の全廃に成功している。同州はまた、出力の拡大・縮小が可能で革新的技術を用いた多目的SMRをカナダ国内全体で開発・建設するとし、2019年12月にニューブランズウィック州およびサスカチュワン州の3者で協力覚書を締結。2021年4月には、この覚書にアルバータ州も加わっている。これらの州政府はともに、「原子力発電はCO2を出さずに安全で信頼性の高い電力を適正価格で供給できる発電技術」と認識しており、OPGは「原子力が電源構成要素に含まれなければ、地球温暖化の防止構想は目標を達成できない」と指摘。出力30万kW程度のSMRが1基あれば、その設置場所次第で温室効果ガスの排出量を年間30万トン~200万トン削減できると強調している。今回のE.S.フォックス社との契約締結について、OPGのK.ハートウィック社長兼CEOは、「輸送その他の部門で電化が進んでいるため、オンタリオ州では電力需要の増加が見込まれている。今回の契約を通じて、当州ではクリーンで安全な電力を追加でもたらす発電設備の建設に向けて、基盤が形成される」と述べた。同CEOはまた、このような初期作業によりオンタリオ州では約100名分の雇用が新たに創出されると表明している。(参照資料:OPGの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 14 Mar 2022
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英規制当局、ロールス・ロイス社製SMRの設計認証審査を開始
英国の原子力規制庁(ONR)は3月7日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)からロールス・ロイスSMR社製の小型モジュール炉(SMR)設計について、包括的設計認証審査(GDA)の実施を要請されたと発表した。審査に必要な財源の確保や審査スケジュール等の調整がつき次第、ONRは同設計の安全面について、環境庁(EA)とウェールズ自然保護機関(NRW)は環境影響面について審査を開始する。ロールス・ロイス社のSMR開発子会社であるロールス・ロイスSMR社は昨年11月、BEISに対してGDA申請の意思を表明しており、これにともなう最初の手続きとして、BEISは同社に関する初期スクリーニングを実施した。今回のONRへの要請は、同スクリーニングの結果、ロールス・ロイスSMR社には審査に値する能力と資質が備わっているとBEISが結論付けたことによる。ロールス・ロイスSMR社の発表では、同社製SMRは世界中の既存のPWR技術を活用した設計であり出力は47万kW。これは、陸上風力発電のタービン150台分以上に相当する。同設計はまた、工場内で機器を製造した後、設置場所で組み立てることができる。少なくとも60年間稼働してベースロード電源としての役割を果たすほか、間欠性のある再生可能エネルギーを補って、その設備容量拡大を支援。同社としては、2030年代初頭にも最初のSMRを国内送電網に接続する計画である。同社は2021年11月、米国の大手電気事業者であるエクセロン・ジェネレーション社、およびフランス国籍の投資目的企業のBNFリソーシズUK社とともに、英国内でのSMR開発に今後3年間で合計1億9,500万ポンド(約295億円)投資する計画を発表している。これを受けてBEISは、同社へのマッチングファンドとして2億1,000万ポンド(約318億円)を提供する方針を表明。英国政府からの資金提供は、同国の戦略的政策研究機関「UKリサーチ&イノベーション(UKRI)」が「低コストな原子力の課題(LCN)」プロジェクトで、2019年11月に「産業戦略チャレンジ基金(ISCF)」の中から1,800万ポンド(約27億円)をロールス・ロイス社が率いる「英国SMR企業連合」に提供したのに続くもの。2億1,000万ポンドは、同様にLCNプロジェクトから拠出される。BEISのGDA開始要請について、ロールス・ロイスSMR社のT.サムソンCEOは、「複数のSMRを英国内で建設して低炭素な電力を適正価格で発電、英国が目指すCO2排出量の実質ゼロ化に貢献するという当社目標の達成にまた一歩近づいた」と表明。同社で規制・安全問題を担当するH.ペリー取締役も、「当社にはGDAや許認可手続きで対応経験がある専門チームが設置されており、規制当局とは協力的な関係にある。当社のこれまでの経験や教訓を駆使してGDAプロセスを進めていきたい」と述べた(参照資料:ONR、ロールス・ロイスSMR社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 08 Mar 2022
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ニュースケール社、SMR建設に向けた協力覚書を米ウィスコンシン州の電力協同組合と締結
©Dairyland power cooperative米オレゴン州のニュースケール・パワー社とウィスコンシン州のデーリィランド電力協同組合は2月24日、ニュースケール・パワー社製小型モジュール炉(SMR)を同協同組合の供給地域内で建設する可能性を探るため、了解覚書を締結したと発表した。同協同組合は発電と配電専門の協同組合で、1967年から1987年まで地元ラクロスで、連邦政府の実証プロジェクト用にラクロス原子力発電所(BWR、5.5万kW)を所有・運転していた。同協同組合は現在、中西部のウィスコンシン州、ミネソタ州、アイオワ州、およびイリノイ州で24の配電協同組合と地方自治体の電力会社17社に電気を卸販売しており、これら4州における供給対象者数は50万人以上にのぼる。今回、同協同組合とニュースケール社は、先進的原子力技術がクリーンエネルギー社会への移行で重要な役割を担うとの認識の下、ニュースケール社製SMRの信頼性の高い無炭素な電力を、同協同組合が合理的な価格で販売していけるか共同で評価することになった。ニュースケール社が開発した「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」はPWRタイプの一体型SMRで、電気出力が5万kW~7.7万kWのモジュールを最大12基連結することで出力の調整が可能。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月、モジュール1基の出力が5万kWの「NPM」に対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給。出力7.7万kW版のモジュールについても、ニュースケール社はSDAを2022年の第4四半期に申請するとしている。ニュースケール社の今回の発表によると、1モジュールの出力が7.7万kWのNPMを4基~12基備えた「VOYGR」発電所を同協同組合の電源構成に加えた場合、負荷追従運転を行うことにより太陽光や風力など間欠性のある電源を補うことができる。「VOYGR」発電所はまた、既存の石炭火力発電所の閉鎖に伴う跡地の再利用が期待できるため、エネルギー産業界における重要な雇用の維持や、「VOYGR」の受け入れコミュニティが目指すエネルギー供給システムの脱炭素化等に支援を提供することなる。同協同組合のB.リッジ理事長兼CEOは、「ニュースケール社製のSMRも含め、当協同組合は無炭素な電力の供給が可能な複数の技術を精査中だ」と説明。今回の覚書を通じて、信頼性やコスト面の効果が高く、安全な低炭素電力を同協同組合の所属メンバーに長期的に提供していけるか、見極めたいとしている。米国内では、ユタ州公営共同事業体(UAMPS)がNPM初号機をアイダホ国立研究所(INL)内で建設する計画を進めており、2021年1月にニュースケール社に対し建設・運転一括認可(COL)の申請準備を依頼した。UAMPSの計画では2023年の第2四半期までにNRCにCOLを申請し、2025年の後半までにこれを取得。2029年までに最初のモジュールの運転開始を目指す。また、ワシントン州グラント郡の公営電気事業者「グラントPUD」は今年5月、ニュースケール社製SMRの性能を評価するため、同社と協力覚書を交わしている。米国外では、カナダやチェコ、ウクライナ、カザフスタン、ルーマニア、ブルガリアなどの企業が国内でのNPM建設を検討しており、それぞれが実行可能性調査等の実施でニュースケール社と了解覚書を締結。ポーランドでは、鉱業大手のKGHMポーランド銅採掘会社が今月14日、「VOYGR」発電所をポーランド国内で建設するため、ニュースケール社と先行作業契約を締結している。(参照資料:ニュースケール社、デーリィランド電力協同組合の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 25 Feb 2022
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スウェーデン、鉛冷却SMRの実証計画に9,900万クローナ助成
スウェーデン政府のエネルギー庁は2月15日、「スウェーデン・モジュール原子炉会社(Swedish Modular Reactors AB)」が進めている鉛冷却小型モジュール炉(SMR)「SEALER」の開発を支援するため、オスカーシャムにおける「SEALER」プロトタイプ装置の設計・建設費用として9,900万クローナ(約12億3,000万円)を助成すると発表した。鉛冷却SMRは経済的な上、CO2を排出しないベースロード電源になると期待されている第4世代の原子炉技術で、水素を高効率で製造することも可能である。スウェーデン・モジュール原子炉会社の計画では、2024年までに1/56スケールの電気加熱式プロトタイプ装置の運転を開始した後、同国の王立工科大学(KTH)が主導する学術プロジェクトとも協力し2030年までに同じオスカーシャムで実証炉を建設。2030年代には次の段階の原子炉を建設して、同技術の商業化を目指すとしている。「SEALER」の概念はスウェーデンのレドコールド(LeadCold Reactors)社が開発したもので、同社は国内で鉛冷却原子炉の研究開発を中心的に行っているKTHのスピンオフ企業として、2013年に創設されている。レドコールド社は2021年、オスカーシャム原子力発電所の大株主であるドイツのUniper社と合弁で、スウェーデン・モジュール原子炉会社を設立。同社はオスカーシャム発電所の敷地内で、KTHと共同で「SEALER」のプロトタイプ装置を設計・建設していくことになった。エネルギー庁は1980年代にスウェーデン産業省内に設置された機関で、新エネルギーなど、革新的なエネルギー技術の研究開発の促進で、助成金を大学等の研究機関や産業界のために提供している。今回の発表によると、同庁は、持続可能な社会の実現に向けた様々な動きが、この2年間ほどで生活の多くの局面で電化という形で具体化していることに注目してきたが、化石燃料を使わずに生産する「無炭素電力」への投資意欲は今や大きく高まっている。無炭素な電力はスウェーデンがクリーンエネルギー社会に移行する上で必要というだけでなく、地球温暖化の対応策を輸出する機会にもつながるとした。鉛冷却原子炉については、同庁はスウェーデンが化石燃料と無縁な社会へ移行するのにともない「電化の促進」に寄与すると評価。電力需要が発電量を上回った時に備えて、効率的に製造した水素を蓄えておくことも可能だと指摘している。これらのことから、「スウェーデンの電力システムに一層の柔軟性と安定性をもたらす技術だ」と強調している。(参照資料:スウェーデン・エネルギー庁(スウェーデン語)、スウェーデン王立工科大学(スウェーデン語)、レドコールド社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 17 Feb 2022
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米ニュースケール社、ポーランドでのSMR建設で銅の採掘会社と契約
米国のニュースケール・パワー社とポーランド鉱業大手のKGHMポーランド銅採掘(KGHM)会社は2月14日、ニュースケール社製の先進的小型モジュール炉(SMR)「NPM」を複数設置する発電所「VOYGR」をポーランド国内で建設するため、先行作業契約を締結したと発表した。早ければ2029年にもVOYGRを完成させる計画で、これに向けた最初のタスクとして、両社はSMRの建設候補点をポーランド国内で評価・特定するほか、完成に至るまでの節目を設定した計画を立案、費用の見積も実施する。また、KGHM社はVOYGRの発電所を通じて、ポーランドのその他のエネルギー多消費産業に無炭素で安全なエネルギーを提供する機会を探るとしている。両社はこの計画により、ポーランドでは最大で年間800万トンのCO2排出を抑制できると指摘。また、同国初のSMRを建設することで、KGHM社はポーランドのクリーンエネルギーへの移行を主導するリーダーとなり、これはCO2の排出量削減とエネルギーの自給を目指すという同社戦略の一環でもあると強調している。ニュースケール社が開発した「NPM」はPWRタイプの一体型SMRで、電気出力が5万kW~7.7万kWのモジュールを最大12基連結することで出力の調整が可能。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月、モジュール1基の出力が5万kWの「NPM」に対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給。ニュースケール社は出力7.7万kW版のモジュールについても、SDAを2022年第4四半期に申請するとしている。「VOYGR」では出力7.7万kWのモジュールを設置すると想定されており、ニュースケール社は搭載基数毎に合計出力92.4万kWの「VOYGR-12」、46.2万kWの「VOYGR-6」、30.8万kWの「VOYGR-4」と呼称。KGHM社は差し当たり、4基のモジュールを連結して活用すると見られている。両社による今回の契約締結は、2021年9月に両社およびポーランドのコンサルティング企業の3者が締結した協力覚書に基づくもの。KGHM社はポーランド南西部にある欧州最大規模の銅鉱床や、銀などその他鉱物の鉱床で採掘事業を行っているが、この事業に必要な電力と熱エネルギーは石炭火力から得ている。3者は協力覚書の下で、SMR導入の可能性や高経年化した石炭火力発電所の別用途への活用などを検証。SMRの建設に関しては、技術面や経済面、法制面、許認可手続に関する側面などを詳細に分析していた。契約の調印は米国のワシントンD.Cで行われ、ポーランドのJ.サシン副首相兼国有財産相や米エネルギー省(DOE)のA.グリフィス原子燃料サイクル・サプライチェーン担当次官補代理らが同席した。KGHM社のM.チャドジンスキー社長は、「事業を100%脱炭素化するプロジェクトが始動することは当社の誇りだ。SMRを通じて当社はコストの効率化を図り、ポーランドのエネルギー部門をクリーンエネルギーに移行させていく」と述べた。ニュースケール社のJ.ホプキンズCEOは、「CO2排出量の削減競争で世界中の企業がしのぎを削るなか、当社の技術はこの目標の達成に完璧な解決策を提供できるし、同時に建設国には経済的繁栄をもたらすことが可能だ」と強調。KGHM社とともに先進的なクリーンエネルギー源の商業化を促進し、地球温暖化に立ち向かいたいとの抱負を述べた。(参照資料:ニュースケール社、KGHM社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 16 Feb 2022
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米TVA、クリンチリバーでのSMR建設に向けた新たな原子力プログラムを発表
米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は2月10日、テネシー州のクリンチリバー・サイトやその他のサイトで軽水炉型の小型モジュール炉(SMR)を建設することを念頭に、「新たな原子力プログラム(New Nuclear Program)」を作成したと発表した。これは脱炭素化の達成に向けて、同社が革新的技術を用いた先進的原子炉の建設を牽引していくには、採用設計や建設サイトの特定等で計画的かつシステマチックなアプローチが必要と判断したため。先進的原子炉技術の建設オプションの検証に2億ドルを投じるという同プログラムは、TVAの理事会が同日承認済みとなっている。TVAは2019年12月、クリンチリバー・サイトに関する「事前サイト許可(ESP)」を原子力規制委員会(NRC)から取得したが、その際、採用予定の炉型を特定しておらず、「2基以上のSMRで合計出力が80万kWを超えないもの」としていた。CO2排出量の実質ゼロ化を目指していくのに当たり、同社は先進的原子炉が有効な手段の一つになると認識。このことは同社の「戦略的意図と基本的理念」にも明記されている。現在、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を始めとする様々なSMR設計について、潜在的な環境影響等を評価中である。 発表によると、今回の「新たな原子力プログラム」は、提案されている複数のSMRの中からTVAが特定の設計を選定し、このような設備を将来必要とする地域の中から立地点を特定する際、整合性のとれた「ロードマップ」として機能する。候補地点での建設が実行不能になった場合や、その地点に最善の利益をもたらさないと判断された場合など、TVAが計画から手を引く際の条件も「決定ポイント」として盛り込まれている。同プログラムはまた、TVAが先進的原子炉技術の推進でその他の電力会社や政府機関、研究組織と協力していくための調整機能も担う。これらの組織との協力により、TVAは開発にともなう財政面や技術面のリスクを軽減する方針。同プログラムはさらに、軽水炉型SMRの建設許可申請に向けた準備作業の中で、環境影響評価等の作業を監督することになる。TVAによると、同プログラムにおける最初のタスクは、軽水炉型SMRをクリンチリバーで建設するための許可申請書の作成。TVAのJ.ライアシュ総裁兼CEOは、「建設実施の最終判断をTVA理事会はまだ下していないが、GEH社やその他の企業との協力で得られた知見を、近い将来に公表予定の環境影響声明書の案文を併せて同理事会にかける計画だ」と述べた。同CEOはまた、「数あるSMR設計の中でも、軽水炉型SMRはTVAが運転している従来の大型原子炉と非常に似通っており、今後10年以内の商業建設が可能なレベルまで成熟している」と指摘。このような理由から、「BWRX-300」の建設に関する協議を開発企業のGEH社と実施中だと説明している。(参照資料:TVAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 15 Feb 2022
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ウクライナがカナダ製原子炉の導入に向けカナダの原子力産業界と協力覚書
ウクライナで4サイト・15基の民生用原子炉を運転する国営のエネルゴアトム社、およびカナダの原子力産業機構(Organization of Canadian Nuclear Industries =OCNI)は2月2日、ウクライナにおけるカナダ製原子力発電所の建設に向けて、協力覚書を締結した。OCNIはカナダの原子力産業界のサプライヤー240社以上で構成される非営利団体で、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)や軽水炉の機器設備を設計・製造する企業やエンジニアリング・サービス企業などが参加。国内外の原子力市場に、これらの機器やサービスを提供している。今回の覚書を通じてOCNIは、カナダ製の大型原子力発電所や小型モジュール炉(SMR)をウクライナで建設する機会が得られるよう支援していくほか、原子力発電所サイトにおける大規模データセンターの設置、原子力発電所の廃止措置、原子力発電を活用した医療用放射性同位体の生産や水素製造などでもウクライナ側と協力する。両者はまた、両国の原子力関係研究機関や、原子力教育および原子力研究開発関係の学部を有する大学相互の協力も促進する方針である。覚書への調印は、カナダ・オンタリオ州のピッカリングにあるOCNI本部とウクライナの首都キエフにあるエネルゴアトム社の本部をインターネットで結び、OCNIのR.オーベルト理事長とエネルゴアトム社の実質トップであるP.コティン総裁代理が行った。R.オーベルト理事長は、「2050年までにCO2排出量を実質ゼロ化するという世界的な構想の実現に向けて、ウクライナが推進するプロジェクトに緊密に協力していきたい」と述べた。P.コティン総裁代理も、「原子力発電所における信頼性の確保や関連する研究開発、技術革新、環境保全など、原子力発電に関わる最も有望な分野で、カナダの原子力産業界と連携協力する新たな機会が開かれた」と表明している。ウクライナでは2014年に親ロシア派のV.ヤヌコビッチ政権が崩壊し、それ以降は親欧米派が政権を維持。クリミアの帰属問題や天然ガス紛争等により、旧宗主国であるロシアとの関係は悪化の一途をたどっている。ロシアからのエネルギー輸入依存から脱却するため、ウクライナは国内15基のロシア型PWR(VVER)で使用する原子燃料を、米ウェスチングハウス(WH)社やカナダのカメコ社など、ロシア以外の企業から調達する手続を進めている。また、国内で米ホルテック・インターナショナル製SMRの建設可能性を探るため、エネルゴアトム社は2018年3月にホルテック社と協力覚書を締結。2021年9月には米ニュースケール・パワー社が開発したSMRの導入に関しても協力覚書を締結した。さらに同年8月末にエネルゴアトム社は、VVER設計による一部の建設計画が凍結されていたフメルニツキ原子力発電所、およびその他のサイトにおけるWH社製AP1000の建設に向けて、WH社と独占契約を締結している。(参照資料:OCNIの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 07 Feb 2022
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原産協会・新井理事長が会見
原産協会の新井史朗理事長は1月21日、理事長会見を行い、記者からの質疑に応じた。年明け初となる今回の会見では、原産協会・今井敬会長の年頭所感および理事長メッセージ「2022年の年頭にあたり」を配布。新井理事長は、「わが国と世界の原子力界 主な動き 2021」(原子力産業新聞取りまとめ)から、2021年の国内外における「原子力活用の気運の高まり」となる出来事を振り返った上で、2022年に原産協会として取り組む「原子力発電に対する理解の獲得」、「福島復興支援」、「人材確保・育成」、「国際協力」について説明した。元旦には主要メディアで、米国テラパワー社と同エネルギー省(DOE)による高速炉開発計画に日本原子力研究開発機構と三菱重工業が参加するとの報道があったほか、1月6日には萩生田光一経済産業相とジェニファー・グランホルムDOE長官との間でエネルギー政策に関するテレビ会談が行われ、革新炉開発に係る協力促進の方向性が確認された。こうした国際協力の動きについて記者から質問があったのに対し、新井理事長は、高速炉開発について、日本が進める核燃料サイクル政策上、「廃棄物の有害度低減や資源の有効利用」の観点から改めてその重要性を述べ、「国内の原子力技術開発・人材育成にもつながるもの」と歓迎。また、2021年12月にカナダ・オンタリオ州電力(OPG)が新たに建設する小型モジュール炉(SMR)としてGE日立・ニュークリアエナジー社製「BWRX-300」が選定されたことについて、「大変意義がある」とする一方、広大な国土であるが故の電力系統連系の困難さ、大型炉の持つスケールメリットにも言及し、SMR開発に関し各国の事情に応じた取組の必要性を述べた。
- 24 Jan 2022
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COP26のインパクト
原子力復権の予兆(後編)前編はこちら国連気候変動枠組条約は、現在、経済規模、成熟度、資源の有無など全く成り立ちの異なる197か国が批准している。締約国会議の採決は全会一致が原則であり、毎年、合意文書を取りまとめるのは生易しいことではない。国家間の利害の対立が極めて大きいからだ。COP26では、1)石炭の取り扱い、2)温室効果ガス排出枠取引のルール、3)先進国による途上国支援──の3点が最大の論点だったと言えよう。このうち、石炭については、議長国である英国が作成した原案では、“phase out(廃止する)”との表現が使われていたが、産炭国などの強い反発により最終的に“phase down(段階的に削減する)” に修正され、合意に漕ぎ着けた。また、先進国とブラジル、インドなど新興国が対立していた排出枠のキャップ・アンド・トレードは、2013年以降に国連へ届け出された排出枠(クレジット)を移管、売買を容認することで歩み寄っている。一方、2009年12月のCOP15で採択されたコペンハーゲン合意では、途上国の温暖化対策を支援するため、先進国は2012年までに共同で300億ドルの資金を拠出、2020年までに年間1,000億ドルの支援を行うと約束していた。しかし、2020年の支援額は796億ドルに止まり、途上国側が強く反発していたのである。COP26の合意文書では、先進国側が支援目標の未達に遺憾の意を表明した上で、2025年までに2019年の支援実績額を少なくとも倍増させるとの表現を盛り込んだ。一連の合意内容は、温暖化問題に熱心に取り組んで来たNGOなどの立場から見た場合、物足りないと感じられるかもしれない。もっとも、石炭の段階的使用削減、国際的な排出枠取引導入の両方で方向性を出せたことには大きな意味があるのではないか。ある程度の妥協がなければ、ガラス細工の枠組は簡単に崩壊してしまうだろう。現実的な落し所へ議論を収斂させた点について、議長を務めたボリス・ジョンソン英国首相は十分に評価されて然るべきだ。 欧州における変化の兆しCOP26が開催されていた最中の昨年11月9日、フランスのエンマニュエル・マクロン大統領は国民向けに演説、原子力を電力供給と産業の中核に位置付け、欧州加圧水型原子炉(EPR)の建設を再開する意向を表明した。同国は新たに6基を建設する計画だ。フランスでは56基の商業用原子炉が稼働、2020年は米国に次ぐ379.5TWh(=3,795億kWh)の電力を供給しており、総発電量に占める原子力比率が70.6%に達する原子力大国に他ならない(図表1)。もっとも、2012年5月に就任したフランソワ・オランド前大統領は、前年の福島第一原子力発電所の事故を受け、大統領選挙において原子力発電比率を2025年までに50%へ低下させると公約した。2017年5月に就任したマクロン大統領は、オランド前大統領の公約を踏襲しつつ、2018年11月、達成年限を2035年に10年間先送りしていたのである。今回は実質的に目標自体を見直したと言えるだろう。温室効果ガス削減が喫緊の課題になる一方、欧州では天然ガス価格が高騰し、結局、原子力への回帰が最も合理的と判断した模様だ。非常に興味深かったのは、この件を伝えた朝日新聞の記事だった。11月13日付け朝刊の見出しには『仏マクロン氏「原発回帰」鮮明 新設は脱・石炭の「強いメッセージ」』とあり、フランス政府の決断を肯定的に伝えている。日本国内における原子力発電には厳しい論調を繰り返してきた同紙だが、フランスの原子力回帰の動きに関しては、「脱・石炭」政策の一環としてポジティブな評価を下している模様だ。率直な感想としてダブルスタンダードの感が否めない。核兵器保有国であるフランスの原子力発電が肯定され、核兵器を持たない日本の原子力が否定される理由について、朝日新聞は積極的に説明すべきだろう。今後、注目されるのはドイツの動きである。福島第一原子力発電所の事故を受けた2011年6月6日、アンゲラ・メルケル首相(当時)は、2022年までにドイツ国内で稼働している全ての原子力発電所の稼働を停止すると閣議決定した。現在、ドイツでは6基の商業用原子炉が稼働、2020年の発電比率は11.3%だったが、現行の政府方針では来年中にその全てが止まる計画だ。しかしながら、ドイツはフランス以上に天然ガス価格の高騰に苦しんでおり、国内においてエネルギー政策の見直しを求める声が強まっていると言われている。去る12月8日には社会民主党(SPD)を中心とする連立によりオラフ・ショルツ内閣が誕生した。中道左派のSPD、中道右派の自由民主党に加え、脱原子力を主張する同盟90/緑の党が連立を組んでおり、政権としての原子力政策はかならずしもまだ明確ではない。ただし、昨9月26日の総選挙において、ショルツ氏は気候・環境保全、化石燃料産業の脱炭素化、カーボンニュートラルの達成を訴えて国民の支持を得た。天然ガスへの依存はロシアの影響力を強めかねない上、再生可能エネルギーのウェートをさらに引き上げ、脱石炭を加速させるのであれば、安定的なベースロードの確保は極めて重要な政策課題だ。ショルツ内閣が原子力政策を見直す可能性はゼロではないだろう。COP26を通じて議長国の英国、そしてEUは温室効果ガス排出量削減を積極的に主張した。一方、今春以降、欧州は異常気象に見舞われ、スペイン、英国などが風力不足に悩まされている。当然、化石燃料に依存せざるを得ず、需要が急増した天然ガス、石炭の価格高騰を招いてインフレ圧力が強まった。安定したエネルギー供給、温室効果ガスの排出削減、そして経済合理性、これらを同時に達成するため欧州、そして世界全体において原子力利用の機運が高まっても全く不思議ではない。COP26の開催期間中を敢えて狙った原子力大国フランスの決断は、そうした流れを反映しているのではないか。 スリーマイル、チェルノブイリ、そして福島第一国際原子力機関(IAEA)によれば、世界で稼働する商業用原子炉は2011年に448基だった(図表2)。その後、福島第一の深刻な事故を受け、日本だけではなくドイツや米国などでも廃炉、建設計画の中止が相次ぎ、2014年には439基へと減少している。しかしながら、中国を中心に新興国で原子炉の建設・稼働が進んだ結果、2018年には過去最大の457基になった。原子力による電力供給量も、2012年の2,346.2TWh(=2兆3,462億kWh)から、2019年には2,657.2TWh(=2兆6,572億kWh)へ13.3%増加している。日本を含む先進国で老朽化による廃炉が進む一方で、中国をはじめとして、インド、ロシアなど新興国において新たな商業用原子炉が運転を開始した。現在稼働している商業用原子炉は世界全体で442基、定格出力の総計は394.5GW(=3億9,450万kW)だ。稼働年数別に見ると、炉数、出力共に最もボリュームが大きいのは運転開始から31~40年の10年間で、その定格出力合計は全体の46.2%に達している(図表3)。これは第1次、第2次石油危機に見舞われた1970年代に建設が計画された原子炉に他ならない。その後、原子力発電所の建設が国際的に失速したのは、1979年3月28日のスリーマイル島事故(米国)、1986年4月26日のチェルノブイリ事故(旧ソ連・現ウクライナ)の影響と言えるだろう。しかしながら、2006年2月、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)の下、米国は新たな原子力平和利用の枠組として『国際原子力パートナーシップ(GNEP:Global Nuclear Energy Partnership)』を打ち出した。これは、核燃料サイクルを国際的に「P5+1」で管理する構想に他ならない。この「P」とは”Permanent”の頭文字である。つまり、「P5」は米国、英国、フランス、ロシア、中国の国連常任理事国の5か国を示し、「+1」は日本のことだった。商業用原子炉は当然ながら原子力の平和利用だが、イランの核開発が国際社会で問題視されているように、発電用よりも高度に濃縮したウラン、及び使用済み燃料に含まれるプルトニウム、この2つは核兵器の原料でもある。ブッシュ大統領は、世界の原子炉への濃縮ウラン供給と使用済み燃料の引き取り、再処理・最終処分をP5+1の6か国に集中することで、核不拡散の強化を図ろうと考えたのだった。その背景にあったのは、経済成長著しい新興国における原子炉の建設計画ラッシュである。新興国のエネルギー需要を満たす一方、核兵器の開発を阻止するためには、P5+1が商業用原子炉を建設し、核燃料サイクルを管理する必要があると考えたのだろう。しかしながら、2011年3月の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、世界の原子力は再び冬の時代へ突入し、いつしかGNEPも忘れ去られて現在に至った。 新規建設で台頭する中国福島第一での事故から10年が経過、原子力は国際的に雪解けの季節を迎えつつあると言えよう。背景は地球温暖化問題とエネルギー安全保障だ。COP26に象徴される脱化石燃料の動きは、むしろ足下に関して石炭、天然ガス、石油の価格を高騰させている。長期的な需要の先細りが見込まれるなか、生産国・事業者が供給力維持の設備投資を躊躇うだけでなく、限られた資源を高値で売るため供給量を調整するのは経済的に見れば極めて合理的な行動だ。一方、カーボンニュートラルを目指すと言っても、消費国側の化石燃料需要が直ぐに大きく減少するわけではない。畢竟、需給バランスが崩れて価格への強い上昇圧力が生じているのである。フランスは原子力への回帰を明確にした。また、もう1つの原子力大国である米国のジョー・バイデン大統領も、小型原子炉(SMR:Small Module Reactor)の開発を政策的に後押しするなど、原子力の活用拡大に踏み込むようだ。昨年12月2日、日立製作所とGEの原子力合弁会社であるGE日立ニュークリア・エネジーは、カナダの電力大手、カナダ・オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)からSMRを4基受注したと発表した。仮にドイツの新政権が原子力発電所の稼働継続へ傾けば、原子力を巡る国際社会の動きは一段と加速することになるだろう。もっとも、近年における商業用原子炉の建設は、国際的に見ると中国主導で進んできた。現在、公式に発表されているものでは世界で51基の炉が建設中だが、そのうちの14基は中国国内で進められている(図表4)。14基のうち1基は高速増殖炉(FBR)、もう1基は高温ガス炉(HTGR)のいずれも実証実験炉であり、中国は次世代炉の開発についても余念がないようだ。経済成長を支えるため国内のエネルギー需要を満たすだけでなく、新興国への国際展開を視野に入れているのだろう。ちなみに、中国で稼働中の商業用原子炉は52基であり、その定格出力は総計で49.6GW(=4,960万kW)、既に米国の96.6GW(=9,660万kW)、フランスの61.4GW(=6,140万kW)に続く規模になった。この52基のうち、37基は過去10年間に運転を開始した新鋭の炉に他ならない(図表5)。ブルームバーグによれば、中国国営メディアの『経済日報』は昨年11月3日、中国が今後15年間で150基の商業用原子炉を建設する計画であると報じた。話半分としても、同国は数年以内にフランスを抜いて世界第2位、そして10年以内に米国も凌駕して世界最大の原子力大国になるだろう。日米欧にとってこの件が非常に悩ましいのは、極めて複雑な構造を持つ原子炉の場合、第3国での建設受注における国際競争力は、燃料供給、使用済み燃料の引き取り保証、運転支援に加え、実際に発電所を建てた経験が大きく左右するからだ。反面教師はフィンランドのオルキルオト原子力発電所3号機である。フランスの国策企業である旧アレバ(現オラノ)が受注し、2005年に着工したのだが、幾度となく工期が延長され今も建設が続いている。最大の理由は、旧アレバの施行管理の弱さにあるとも言われており、この損失によって同社は経営が傾いた。1980年代以降、フランス電力からの原子力発電所の建設受注が激減、経験に基づく建設ノウハウを失ったことが背景のようだ。一方、現在、中国で稼働している最新鋭の原子炉は旧ウェスチングハウスの開発した「AP1000」、フランスの技術を導入した「EPR(欧州加圧水型炉)」である。ただし、中国版のAP1000と言われる「CAP1000」、独自技術を導入した「CAP1400」、そして完全な独自技術である「HPR1000」の3種類の原子炉が建設段階に入った。中国は明らかに自前の設計技術、建設施工能力を強化しつつある。それは、中国国内での建設のみならず、原子力技術の輸出を念頭に置いたものなのではないか。HPR1000、即ち「華龍一号」については、既に英国において包括的設計審査(GDA)が最終段階となった。今後、温室効果ガスの削減を目指して各国が商業用原子炉の建設を進める場合、中国が市場を席捲する可能性は否定できない。これにどう対抗するのか、それともしないのか、日本の原子力産業だけでなく、日本政府にとっても経済、安全保障の観点から極めて難しい判断が求められている。 総合力を問われる日本マクロン大統領によるフランスの原子力政策が、主要先進国による原子力回帰の嚆矢となる可能性は否定できない。再生可能エネルギーの拡大が最重要課題としても、ベースロード電源の確保の必要性が改めて確認されたからだ。また、自動車のEV化を進めるためには、夜間電力の供給力が必須だが、それは気候に左右されない安定的な電源の裏付けがなければ難しいだろう。さらに、カーボンニュートラルの切り札として期待される燃料電池についても、水素の生産には大量の電力が必要だ。結果として、各国はベースロードに化石燃料を選ぶか、原子力を選ぶか、実質的に二者択一を迫られている。冷静に考えれば原子力一択なのだが、非常に悩ましいことに、現実的にはしばらく化石燃料に依存せざるを得ない。国際エネルギー機関(IEA)は、昨年12月17日に発表した年次報告書において、2021年の石炭火力発電量が過去最大になるとの見通しを示した。もっとも、COP26の議論を考えれば、化石燃料の利用が長期化するとは考え難い。福島第一の事故から10年が経ち、原子力が見直される時代に入ったと言えるだろう。今後、国際的な新規原子力発電所の建設ラッシュが想定されるなか、国、電力会社、メーカーが一体にならない限り、特に新興国における受注獲得は覚束ない。原子力分野で中国が市場を席捲すれば、経済的にも安全保障の面でも日本にとっては大きな問題だ。そうしたなか、大きな懸念は日本政府の姿勢だ。昨年10月22日に閣議決定された『第6次エネルギー基本計画』は玉虫色の表現を散りばめ、日本の目指す方向が明確になったとは言い難い。これでは、原子力産業、電力業界が国際展開を視野に入れて人材育成、研究開発、設備投資に力を入れるのは困難だろう。世界の原子力は雪解けの季節を迎えつつある。そこで種を蒔き、芽を育て、花を咲かせて果実を収穫できるのか、日本は正に国家としての総合力を問われているのではないか。
- 24 Jan 2022
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米規制委、オクロ社による超小型高速炉のCOL申請を却下
米国の原子力規制委員会(NRC)は1月6日、オクロ・パワー社(Oklo Power, LLC)が超小型高速炉「オーロラ」について提出していた建設・運転一括認可(COL)の申請を却下すると発表した。発表によると、オクロ社は同設計の安全面など複数の主要トピックスについて十分な情報をNRCに提出していない。NRCスタッフは不足情報を補う新たな取り組み方法として同社との連携協力を続けていたが、同社がこれらのトピックスに関して2021年7月に提出した報告書、およびこれを捕捉するため同年10月に提出した報告書でも情報不足は改善されなかった。NRCスタッフとしては審査スケジュールの設定が難しいと判断、同申請の却下を決めたもの。同社が今後、不足情報を補った改訂版の申請書で再びCOLを申請することは差し支えないとしている。NRCのこの決定は1月11日付の連邦官報に掲載されており、オクロ社はその後30日以内に公聴会の開催を要請することができる。公聴会の開催が決まった場合、この決定の利害関係者である個人や事業体も参加することが可能だ。「オーロラ」はオクロ・パワー社の親会社である先進的原子炉開発企業オクロ社(Oklo Inc.)が開発した小型モジュール炉(SMR)設計で、電気出力は0.15万kW 。HALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)を燃料として使用するが原子炉の冷却に水を使わず、同社によれば少なくとも20年間、燃料交換なしで熱電併給を続けることができる。オクロ社は同設計をエネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所(INL)敷地内で、2020年代初頭から半ばにかけて着工することを目指しており、DOEも2019年12月にINLでの「オーロラ」建設を許可した。これを受けて、オクロ・パワー社は2020年3月、非軽水炉型の先進的SMRとしては初のCOLをNRCに申請。NRCスタッフは同年6月にこの申請を受理し、審査を進めていた。NRCの原子炉規制局によると、オクロ社の申請書で不足していたのは重大仮想事故に関する追加情報や、リスク重要度が高い構造物、系統および機器(SCCs)の重要度別分類方法などである。設計情報に加えて、建設サイト固有の情報もCOL審査では案件毎に必要となるが、NRCが発出した追加情報の提示要請(RAIs)に対し、オクロ社は再三にわたりは実質的な情報を提供しなかった。こうした状況では、NRCは「オーロラ」設計の安全性を見極めることは出来ないと説明している。現地の報道によると、オクロ社のC.コクラン最高執行責任者(COO)はNRCの今回の決定について、「残念なことだが当社とNRCはその他のプロジェクトでも協議中であり、それらを是非とも前進させたい」とコメント。「オーロラのCOL申請は、先進的核分裂プラントの申請として初めて受理されたものであり、(今回は却下されるに至ったものの)今後の審査の実現に向けて多くのものを新たに学ぶことができる」とした。同COOはまた、「先進的核分裂プラントや使用済燃料のリサイクルで製造されるHALEU燃料は、クリーンな未来を構築する鍵になると信じている」と表明。その一方、公聴会の開催要請や改訂版のCOL申請書を提出する可能性については明らかにしていない。(参照資料:NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 13 Jan 2022
- NEWS
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萩生田経産相が会見、米国との原子力協力や今冬の電力需給など
会見を行う萩生田経産相(インターネット中継)萩生田光一経済産業相は1月7日の閣議後記者会見で、6日のジェニファー・グランホルム米国エネルギー省(DOE)長官とのテレビ会談など、原子力・エネルギー政策を巡る最近の動きに関し質疑応答を行った。6日に行われたグランホルム長官とのテレビ会談では、萩生田大臣より「2050年カーボンニュートラル」や2030年度までの温室効果ガス削減目標(2013年度より46%減)達成に向けた取組について説明がなされるとともに、原子力を含めた幅広いクリーンエネルギー分野でのイノベーション・社会実装など、今後の日米間の協力について意見交換。福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水(トリチウム以外の核種が環境放出の規制基準を満たす水)の取扱いに関しては、グランホルム長官から「海洋放出の決定を支持する」として、今後も情報発信において協力していく姿勢が示された。〈経産省発表資料は こちら〉グランホルム米DOE長官とのTV会談の模様(経産省発表資料より引用)7日の会見で、萩生田大臣は、今回の会談で小型モジュール炉(SMR)や高速炉などの実証に日本政府として取り組む方針を伝達したことに関し、「エネルギー基本計画に基づき、国際連携や民間の創意工夫を活用して研究開発や技術実証を推進していくが、現時点において国内で新規にプラントを建設することは想定していない」と明言。さらに、核燃料サイクルについては「高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減や資源の有効利用などの効果をより高める高速炉開発を含め、引き続き推進していく」とした。また、この冬の電力需給見通しについて、萩生田大臣は、「全国的に厳しい。とりわけ東京電力管内では、最も供給予備率が低くなることが見込まれる2月のみならず、既に年末からかなり厳しい状況が続いており、追加的な対策を講じて安定供給に必要な供給力をぎりぎり確保している」と述べた。6日の降雪に伴う首都圏を中心とする電力需要増に関しては、「火力発電所の増出力運転や追加公募により調達した電源の稼働に加え、地域間の機動的な電力融通を行った。東京電力管内の電力使用は97%に上り、どこか1箇所でも不具合が起きれば停電が起きるところだった」と、危機感を示し、引き続き状況を注視しながら電力の安定供給確保に全力を期していくとした。
- 07 Jan 2022
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米貿易開発庁、ニュースケール社製SMRの導入に向けたウクライナの分析作業を支援
米国政府の貿易開発庁(USTDA)は12月15日、ウクライナでのニュースケール・パワー社製小型モジュール炉(SMR)の導入に向け、「ウクライナ科学技術センター(STCU)」が実施予定の分析調査に技術支援金を提供すると発表した。SMR技術の活用はウクライナで初となることから、同国では導入を可能とするため規制体制の包括的な分析調査を計画。この作業を支援するのが支援金の目的であり、USTDAはSMR建設を通じてウクライナのエネルギー部門の脱炭素化に貢献したいとしている。USTDAの使命は、発展途上国や中所得国における開発プロジェクトに米国民間部門の参加を促すこと。ルーマニアにおけるニュースケール社製SMRの建設構想に対してはすでに今年1月、同様の技術支援金約128万ドルをルーマニア国営の原子力発電会社に交付している。ウクライナの民生用原子力発電公社であるエネルゴアトム社は今年9月、国内でニュースケール社製SMRを建設する可能性を探るため、ニュースケール社と覚書を締結した。同設計の安全性に関しては、ニュースケール社が作成した安全解析報告書(SAR)をウクライナの国立原子力放射線安全科学技術センター(SSTC NRS)が独自に審査することになっており、米エネルギー省(DOE)は今年11月、その審査に必要となる経費の提供を申し出ている。USTDAによる今回の発表は、DOEのこのような支援提案に続くもので、同国の国家原子力規制検査庁(SNRIU)はウクライナでのSMR活用に向けて規制体制を整備する。実際の分析調査は、旧ソビエト諸国の核兵器や生物・化学兵器等の拡散防止を目的とした政府間組織であるSTCUが担当するため、USTDAの支援金はSTCUに提供される。ウクライナの国家エネルギー戦略では、再生可能エネルギーと原子力発電の設備容量拡大を目指しているため、USTDAは分析調査への技術支援を通じてこの戦略を補完していく方針。同調査では、ニュースケール社製SMRの設計をウクライナの規制諸法令、および国際原子力機関(IAEA)の基準などと比較し、ウクライナでの建設を阻むような規制上の不備が見つかれば、必要に応じて規制改革など不備の是正に向けた勧告が行われる。USTDAのV.トゥンマラパリー長官代行は、「CO2排出量の実質ゼロ化に向けて世界が移行していくのを、USTDAはSMRのように画期的かつ革新的な技術開発で加速していく」と表明。「米国の技術を使って、ウクライナ国民に将来、一層クリーンで確実なエネルギーをもたらしたい」との抱負を述べた。SNRIUのH.プラチコフ長官は、ウクライナ原子力規制当局の能力強化に対する米国政府の支援に謝意を表明。その上で、「今回の分析調査によりウクライナの法令が改善され、SMRの建設に繋がることを期待する」としている。(参照資料:USTDA、ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 21 Dec 2021
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カザフがSMR建設の可能性評価でニュースケール社と覚書
米国のニュースケール・パワー社は12月16日、同社製小型モジュール炉(SMR)の原子力発電所「VOYGR」をカザフスタンで建設する可能性評価のため、同国の「カザフ原子力発電所会社(KNPP)」と了解覚書を締結したと発表した。世界では近年、安全で信頼性の高い無炭素電源のSMRが今後は重要な役割を果たすとの認識が高まっており、両社はカザフにおけるクリーンエネルギー対策として同技術の活用を検証する方針である。KNPP社は、総資産600億ドルというエネルギー関係の政府系投資ファンド「サムルク・カズィナ国家福祉基金」が2014年7月に設立したLLP(*)。これは、原子力発電所の導入に向けたカザフ政府の優先活動計画に基づく措置である。同国で原子力委員会の委員長を務めたKNPP社のT.ジャンティキンCEOによると、カザフスタンは2060年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指しており、その達成にはCO2を排出しない再生可能エネルギーと原子力が重要になる。SMRはカザフにとって最も有望な技術とみなされていることから、ニュースケール社との協力は、この目標の達成とグリーン経済への移行を促進する現実的な機会として進めていきたいとした。国際エネルギー機関(IEA)によると、化石燃料資源に恵まれたカザフでは2018年実績で発電量全体の約70%を石炭火力で発電しており、次いで20%が天然ガス火力によるもの。旧ソ連邦時代に建てられた電熱併給・海水脱塩用の商業高速炉「BN-350」(出力15万kW)が1999年までアクタウで稼働していたが、現在原子力発電設備はない。生産量が世界第1位という豊富なウラン資源を背景に、政府は2014年当時、出力30万〜120万kWの商業炉建設を計画していたが、2015年に同国のエネルギー相は、電力余剰を理由に少なくとも2023年までは原子力発電所建設計画を凍結すると発表した。2019年3月にカザフの大統領に就任したK.-J.トカエフ氏は今年9月、教書演説のなかで原子力の平和利用と原子力発電所建設の必要性を強調している。2060年までにカザフはCO2排出量の実質ゼロ化を目指す一方、国内では2030年までに電力供給量が不足する見通し。このため、同大統領はサムルク・カズィナ国家福祉基金との協力により、原子力発電利用の可能性を追求すると表明していた。ニュースケール社の発表によると、今回の覚書締結は、同社が2019年にSMRの技術面と価格面についてKNPP社に提案を行ったのに続くもの。原子力発電所の建設を専門とするKNPP社は、原子力発電の将来見通しについて積極的に調査しているため、ニュースケール社は今回の覚書を通じてKNPP社と原子力や技術関係の知見を共有する。同社製SMRの設計エンジニアリングから建設、起動、運転、保守点検等に至るまで、KNPP社が今後実施する評価活動を支援していく。ニュースケール社が開発したSMRはPWRタイプの一体型SMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」で、電気出力5万kW~7.7万kWのモジュールを最大12基まで可能。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月、モジュール1基あたりの出力が5万kWのNPMに対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給した。米国ではエネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所で初号機を建設する計画が進んでいるほか、ポーランドやブルガリア、ウクライナの国営企業がすでに同社と覚書を締結、それぞれの国内で建設する可能性を探っている。またルーマニアも、今年の国連気候変動枠組条約・締約国会議(COP26)に合わせて米国政府と協議。民生用原子力分野における両国の連携協力を通じて、2028年までにルーマニアの国内エネルギーシステムに、NPMを6基連結した「VOYGR-6」(46.2万kW)を含めると発表している。【注*】LLP=リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ: 事業を目的とする組合契約を基礎に形成される企業形態で、リスク回避のため出資者は出資額の範囲までしか責任を負わない。(参照資料:ニュースケール社、カザフ大統領府の9月の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 20 Dec 2021
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米ニュースケール社、SMRの商業化加速で特別買収目的企業と合併
米国のニュースケール・パワー社は12月14日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」の商業化を加速するため、特別買収目的企業(*未公開会社の買収を目的として設立される法人=SPAC)のスプリング・バレー社(Spring Valley Acquisition Corp.)と企業合併契約を締結したと発表した。合併後の新会社は、証券取引所に株式を公開する予定。低炭素で安全、かつ出力の設定が可能なSMRを通じて、世界中が低炭素なエネルギー社会に移行するのを支援していくとしている。ニュースケール社の大株主は大手EPC(設計・調達・建設)契約企業のフルアー社であり、これまでは出資者が提供額の範囲内で経営責任を負うという「合同会社(LLC)」の形態を取ってきた。米国で承認されているSPAC制度では、特定の事業を持たないSPACの設立者が、まず自己資本によりSPACの株式を上場。投資家から資金を集めた後に買収企業を探して合併するが、事業を営んでいる被買収企業の方が上場企業として存続することになる。合併により、まったく新しいエネルギー企業となるニュースケール社は、社名の末尾が「LLC」から「Corporation」に変わり、上場時の証券コードは「SMR」となる。事前に見積もられた企業価値は約19億ドルにのぼり、年間に最大4億1,300万ドルの売上総利益を生むと予想されている。フルアー社は合併後も新会社の支配権の約60%を確保し、ニュースケール社の重要パートナーとして、今後もエンジニアリングサービスやプロジェクト管理、サプライチェーン、経営面のサポートを提供していく。ニュースケール社が開発したNPMはPWRタイプの一体型SMRで、電気出力が最大7.7万kWのモジュールを12基まで連結することで出力調整することができる。同社は今月2日、同モジュールを搭載したSMR発電所の呼称を「VOYGR」に決定しており、搭載基数に応じて出力92.4万kWの「VOYGR-12」、46.2万kWの「VOYGR-6」、30.8万kWの「VOYGR-4」と定めた。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月にモジュール1基の出力が5万kWのNPMに対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給。ニュースケール社は出力7.7万kW版のモジュールについても、SDAを2022年第4四半期に申請する予定である。ニュースケール社によると、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロ化するには、原子力が重要な役割を果たすと広く認識されており、米国は2035年までに発電部門からのCO2排出量をゼロ化する方針。こうした動きに対し、SMR開発の先駆者である同社は多方面で大きな役割を担える立場にあり、大規模な市場機会に恵まれるとともに、米国その他の国々からは超党派の支援を得ている。産業アナリストの分析によると、2040年までに世界では新たに160億kW以上の無炭素電源設備を必要としており、同社は最初の顧客であるユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)と協力して、2029年にもエネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所でVOYGRの建設を目指している。米国以外の国々からも同社製SMRへの期待は高まっており、これまでに11か国で19件の了解覚書や契約をSMRの建設に向けて結んだことを明らかにしている。(参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 15 Dec 2021
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フィンランド政府、SMR対応など現状に合わせ原子力法改正へ
フィンランドの経済雇用省は12月8日、小型モジュール炉(SMR)など新しい原子力技術に対応した許認可体制の確立を主な目的に、原子力法の包括的な改正に向けた準備作業を開始したと発表した。同国で稼働する4基の商業炉は総発電量の約34%を賄う重要電源であり、CO2排出量の実質ゼロ化を目指すフィンランドでは、地球温暖化の防止対策としても今後数10年にわたって重要な役割を担う。安全面や経済面で実用性の高い原子力発電を今後も引き続き活用していくため、同省は近年の状況に合わせた適切かつ最新の法整備が必要だと説明。2024年にも改正版の原子力法の案文をパブリック・コメントに付して、政府案を議会に提示、2028年にも正式に発効させる方針である。同省の発表によると、原子力関係施設の許認可体制は時間をかけて徐々に基盤が確立されてきたもので、原子力関係施設の建設プロジェクトにおいては、あらゆる段階で社会的利益を反映してきた。しかし、原子力関係施設の運転環境も同様に変化しつつあることから、許認可体制を始めとする原子力規制の枠組みも、これまでの経験や今後の技術開発状況等を踏まえた改革が必要である。このような背景から、同省は近年の原子力産業界でSMRのような新しい技術や運転モデルが浮上してきた事実に言及。CO2の排出量を実質ゼロ化するには、CO2を排出せずに熱や電力を供給できる原子力発電の活用拡大は解決策の一つであると強調した。そのための原子力法改正にあたり、経済雇用省は「効果的でリスク評価に基づいた管理が原子力発電所の安全確保では重要だ」と改めて指摘した。新しい原子力技術を採用し、これを複数建設していくのであれば法令準拠状況も審査しなければならない。そのため、今回の法改正ではフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に十分な管理権限を様々な部分で与え、既存の大型原子力発電所における安全運転とSMRの活用可能性を確実なものにする必要がある。原子力利用に付随する権利と義務については一層明確な基準を定めるが、重要な点は運転上のリスクにタイムリーに対応できるよう、要件を具体的なものに改善することだと述べた。これらに加えて同省は、将来の原子力利用で最も大きな課題となるのは採算性だと指摘した。SMRを活用する際も、放射性廃棄物の管理など安全・セキュリティの確保は切り離せない問題だが、例えばSMRを地域暖房に活用する場合、居住地域に非常に近い地点に建設する必要があるため、世界各国は差し当たり、コスト面の競争力が高いSMRの実用化を待っている。このほかにも同省は、SMRに関する重要課題として安全性を評価する方法の改善や規制当局同士の国際協力などがあると表明。新たな許認可体制で安全性の評価方法が十分機能しなかった場合は、モジュール式であることの利点が失われ、SMRを建設する毎に安全性を個別に評価することになると警告している。(参照資料:フィンランド政府(フィンランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 13 Dec 2021
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