原子力規制委員会は1月29日の定例会合で、関西電力大飯発電所3、4号機(=写真)のテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、設置許可基準に適合するとの審査結果をまとめた。本件に関しては、24日の同委臨時会合(セキュリティ上非公開)で技術的事項に関する「審査書案」が決定しており、今回の定例会合では、これに加えて平和利用の担保や工事資金調達などに係る妥当性を合わせた審査結果が取りまとめられた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会を行い正式決定となる運び。新規制基準で求められる特重施設については、プラント本体の工事計画認可から5年間の設置猶予期間が設けられており、大飯3、4号機では2022年8月にその期限を迎える。2019年4月時点で、工事に要する期間はこれを約1年超過する見通し。2015年に先陣を切って再稼働した九州電力川内1、2号機は、それぞれ特重施設の設置期限が3月17日、5月21日と迫っており、同社はいずれも期限前日からの定期検査入りを昨秋発表。1月29日には、関西電力も現在定期検査中の高浜3、4号機について、同設置期限である8月3日、10月8日のそれぞれ前日から、次の定期検査を開始することを発表した。
29 Jan 2020
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経済産業省は1月27日、高レベル放射性廃棄物問題に関する国際連携強化に向けた「最終処分国際ラウンドテーブル」の第2回会合を、2月7日にOECDパリ本部で開催すると発表した。「最終処分国際ラウンドテーブル」は、2019年6月の「G20エネルギー・環境大臣会合」(軽井沢)で合意された世界の主要な原子力利用国の政府が参加する枠組で、10月に行われた第1回会合には、ベルギー、カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、韓国、オランダ、ロシア、スペイン、スウェーデン、英国、米国、OECD/NEA、IAEAが参加した。同会合では、共通課題である最終処分の実現に向けて、各国が重視する考え方や協力を強化すべき分野について議論。これまでの最終処分に関する国際連携は、技術面を中心に専門家レベルで実施されてきたことから、国家戦略レベルで議論する同ラウンドテーブルは意義があるものと歓迎された上で、国民理解活動の知見・経験・教訓を学び合う重要性や、研究開発に関する協力として海外専門家によるレビューや地下研究施設の活用などについて意見が交わされた。第2回会合は初回に続き日本と米国が共同議長を務める。2回の会合での議論を踏まえ、最終処分に関する政府間の連携強化に向けた基本戦略やベストプラクティスなどを盛り込んだ最終報告書の取りまとめとなる運び。
27 Jan 2020
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原産協会の高橋明男理事長は1月23日、プレスブリーフィングを行い、最近の原子力を巡る国内外の動きについて質疑に応じた。17日に広島高等裁判所で四国電力伊方3号機の運転差止めを命じる仮処分決定が出されたことについては、「大変残念」とした上で、CO2排出量の削減目標や太陽光・風力発電の限界など、日本のエネルギーを巡る課題に触れ、原子力の果たす役割を改めて強調。今回の司法判断を受け「次のステップに向けて準備し臨まねばならない」と、原子力発電に対し立地地域を始め社会から理解を得るよう説明していく必要性を述べた。海外の動きとして、12月に米国原子力規制委員会(NRC)により承認されたターキーポイント3、4号機(フロリダ州)の80年運転については、「技術的に可能なことが示された。こうした成果が日本にフィードバックされれば」と、海外から知見を得る重要性に言及。原子力発電所の運転期間延長に関し、原子炉圧力容器の中性子脆化など、経年劣化に対する技術的評価とともに、国際エネルギー機関(IEA)のレポートが示す経済面でのメリットを説明した。また、過日来日した原子力規制に関するIAEAレビュー「総合規制評価サービス」(IRRS)のミッションが「産業界とのコミュニケーションは原子力安全に資する」と指摘したことについては、「原子力エネルギー協議会(ATENA)に大いに期待する」と、今後の課題としての認識を示した。
24 Jan 2020
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福島大学と筑波大学の研究グループはこのほど、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所周辺(半径30km圏内)で、土壌に浸透しきれなかった雨水が地表を流れる現象「地表流」を観測。森林火災跡地で放射性物質を含む土砂の移動が起きていることを明らかにした。同研究では、放射性物質の再拡散に対する懸念をとらえ、ウクライナの研究機関との共同プロジェクトで、2016年にチェルノブイリ原子力発電所から約2km離れた地点で発生した大規模森林火災の跡地と、火災の影響がなかった周辺の森林地のそれぞれに調査区を設け、「地表流」によって流出する放射性物質の量を比較。その結果、森林火災跡地では、火災の影響がなかった森林地と比べ「地表流」の流量は約2.7倍、さらに、「地表流」に含まれて移動する放射性物質は約30倍にも上っており、放射性物質の大きな増加は、水中に溶けた状態ではなく、水中に浮遊する微細な土壌粒子などに付着していることと関係付けられた。研究グループでは、森林火災跡地において放射性物質の拡散を防ぐには「地表流」による土砂流出を抑えるのが有効と考えられるが、河川周辺で森林火災が発生した場合の影響評価・対策に向け、今回の研究成果を発展させていくとしている。同研究は、科学技術振興機構と国際協力機構との連携プログラムにより実施された。
22 Jan 2020
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日本の原子力規制に関する制度や組織について評価を行うため来日していたIAEAの専門家チーム「総合規制評価サービス」(IRRS)のミッションが1月21日、8日間の日程を終え、チームリーダーのラムジー・ジャマール氏(カナダ原子力安全委員会上席副長官)は、原子力規制委員会の更田豊志委員長とともに合同記者会見を行った。今回のIRRSミッションは、2016年1月に来日したミッションで指摘された勧告・提言への対応状況についてレビューを行う「フォローアップミッション」と位置付けられるもの。IAEAのガイドラインでは、本ミッションの2~4年後が実施の目安とされている。前回のミッションで、2つの良好事例とともに、13の勧告と13の提言が示されたのを受け、規制委員会では、明らかとなった課題について対応方針を取りまとめ、検査制度の見直しや放射線源規制の強化に関わる法整備などに取り組んできた。会見で、ジャマール氏は「日本は相当な改善を成し遂げている」と、更田委員長は「大変活発な議論が行われた」と、それぞれ所感を述べた。検査制度に関して、規制委員会では、前回ミッションでの指摘を受け、検査官の施設へのアクセス権限を確保した制度設計や、能力向上のため、米国原子力規制委員会への派遣や教育訓練課程の開設などを図ってきた。2020年度からの新検査制度の本格運用開始に向けて、ジャマール氏は「検査官がしっかり訓練を受けていることを確認した」と評価。一方で、「規制組織の独立性を損なうことがあってはならないが、産業界とのコミュニケーションは原子力安全に資する」とも述べ、カナダの事例にも言及しながら、規制組織が産業界による技術的革新や改善活動などを知る重要性を繰り返し強調した。今回の「フォローアップミッション」の最終報告書は概ね3か月後に公開される運び。更田委員長は、福島第一原子力発電所事故の教訓として「継続的改善を怠ることは決して許されない」と述べ、「報告書提示を待たずに課題解決に取り組んでいく」姿勢を示した。
21 Jan 2020
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福島県の内堀雅雄知事は1月20日の定例記者会見で、政府の原子力災害対策本部が双葉町・大熊町・富岡町に設定された避難指示区域の一部解除を決定したことについて、「帰還困難区域と双葉町では初めての解除となり、住民の方々に希望を与えるものと考えている」と、期待を述べた。その上で、「『避難指示が解除された地域の復興』と、『帰還困難区域も含めた今後の避難指示解除』の両輪が大切」として、引き続き地元自治体や国との連携に努めていく姿勢を示した。また、3月26日に「Jヴィレッジ」でグランドスタートを切る聖火リレーに関して、週内開催の実行委員会で双葉町も含めたルート設定が協議される見通しに言及。3日間にわたる 福島県内の聖火リレー は、1、2日目に浜通りの市町村を通ることが五輪大会組織委員会より公表されているが、全域に避難指示区域が設定された双葉町は現時点で外れている。さらに、3町の避難指示解除を受け常磐線が全線開通することについては、「人の流れが加速し、地域全体の復興が前に進む」と、期待感を示す一方で、今冬の県内観光の現状として「スキー場は過去に例を見ない雪不足」と、暖冬の影響による厳しい一面もあげ、若者向けのキャンペーンや外国人向けのSNSなどを通じ、きめ細かな情報発信を図る考えを強調した。
20 Jan 2020
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政府の原子力災害対策本部は1月17日、福島県の双葉町、大熊町、富岡町に設定されていた避難指示区域の一部を3月に解除することを決定した。原子力災害対策現地本部長を務めている松本洋平経済産業副大臣が地元と協議を行い、12月末までに合意されていたもので、双葉町における避難指示解除は初めてとなる。 双葉町については、75世帯の229人(2019年4月時点)に設定されていた避難指示解除準備区域が3月4日に解除される予定。伊澤史朗町長は、12月に都内で開催されたシンポジウムで、2022年春の帰還開始目標に向けて、雇用の確保を重要課題に掲げ企業立地の取組を進めていることを強調した。 また、双葉町、大熊町、富岡町に設定されていた帰還困難区域のうち、同区域を通るJR常磐線の線路と、双葉、大野、夜ノ森の各駅と周辺道路などについても避難指示が解除されることとなった。3月4、5、10日にそれぞれ、双葉町、大熊町、富岡町について解除となることを受け、JR東日本は震災後不通となっていた常磐線の富岡~浪江間を同14日に運転再開すると発表。同区間には、都内から仙台までを直通する特急「ひたち」も1日3往復運転される。 原子力災害対策本部会合で、安倍晋三首相は、今回の避難指示解除に関し、常磐線の全線開通とともに「Jヴィレッジ」で3月26日にグランドスタートを切る聖火リレーにも触れ、「浜通り地域の利便性が向上することから、多くの方々に訪れてもらいたい」と、観光面も含めた福島復興の加速化に期待。また、田中和德復興相は、「福島復興に向けた大きな一歩」と述べ、今後も産業創生や風評対策など、中長期的課題に鋭意取り組んでいく姿勢を示した。
17 Jan 2020
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原子力規制委員会は1月16日の臨時会議で、東京電力ホールディングスの小早川智明社長らと意見交換を行った。同委が原子力事業者の経営層を順次招き実施しているもの。小早川社長は、福島第一原子力発電所の廃炉作業に関わる最近のトラブル事例に関し、「現場/現物を徹底的に把握できていない」との共通要因が存在すると分析。その上で、分析結果は、昨秋に規制委員会の現地事務所が指摘した「現場に目が行き届いておらずトラブルが多発」などの背景となっているとして、今後のプロジェクト遂行と安全・品質向上に適した組織改編と合わせ、本社から現場へ70~90名の要員シフトを図る考えを示した。これを受け、更田豊志委員長は、「現場へのリソース投入」の必要性を繰り返し述べ、トラブルを受けて進められている改善活動がインセンティブを与えるものとなるよう切望。小早川社長は、協力企業と協働した現場/現物の徹底把握を通じ無事故・無災害を達成したフランジ型タンク解体工事の事例を紹介し、「改善活動が効果を上げた事例を活かしていきたい」と強調。さらに、2018年に発生した3号機使用済み燃料プールからの取り出しに用いる燃料取扱い設備のクレーン不具合を振り返り、部品の海外調達にも鑑み「標準化の重要性を感じている」として、品質管理上の問題への対応も含め、改善活動は広範囲にわたる認識を示した。12月末に福島第一廃炉の中長期ロードマップが改訂され、2号機からの燃料デブリ取り出しが明記されたが、小早川社長とともに意見交換に出席した福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、「今後は分析業務が重要となってくる」として、現場の変化に応じた人材確保・技術力向上に努めていく考えを強調した。
16 Jan 2020
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原子力委員会は1月14日の定例会合で、日本原子力学会の安全規制に関する分科会で活動している近藤寛子氏(マトリクスK代表)より、米国の原子炉監督プロセス(Reactor Oversight Process:ROP)について説明を受けた。2020年度より原子力発電所の新たな検査制度の実運用が開始するが、制度見直しのひな形となった米国ROPは、1990年代からの一貫した規制理念のもと、2000年初頭より開発・改善が行われてきたもので、新制度の導入に際し成功要因を学ぶことが重要とされている。近藤氏は、米国の原子力規制の仕組み、ROPの前身となる「設置者パフォーマンスの体系評価」(Systematic Assessment Licensee Performance:SALP)が見直しに至った経緯、ROPの開発と運用状況など、教訓となる事項にポイントを置いて説明。SALPは、1979年のTMI事故を受けて、それまでケース・バイ・ケースだった事業者のパフォーマンス評価を長期的視点で評価するため翌1980年に導入された仕組みで、運転、保守、エンジニアリング、プラント支援の分野について、「1:最高レベル」、「2:満足すべきレベル」、「3:最低許容レベル」、「N:未実施」の4区分で原則18か月ごとに評価していた。近藤氏は、SALP見直しの発端として1985年に発生したデービスベッセ発電所の給水喪失事故をあげ、「『2』評価を得ていたことから、SALPにおいて事象の予兆を見逃していた」問題から、規制当局幹部による「シニアマネジメントミーティング」(SMM)を通じ「ウォッチリスト」に掲載された問題プラントに対し厳しい検査を課すようになった変遷を述べた。一方、こうした規制プログラムの上乗せにより、制度が複雑化し、安全に対するパフォーマンスの実態と乖離した評価も行われるようになったことから、議会、政府、事業者、メディアなどからの批判が相次ぎ、ROPの開発に至った経緯を説明。近藤氏は、ROPの理念検討に際し開催された官民共同によるワークショップ(1998年)や、「一般の専門家が関わること」で規制当局と事業者との二者関係に陥ることなく、より開かれた制度として運用を開始できた経緯とともに、その後も様々なステークホルダーによる多角的な検証を通じ改善が進められていることを、米国の好例として紹介。IAEAでも「リスク情報を活用し、安全のパフォーマンスに基づいている。予見性があり、透明性があるという点で、ROPはよい実践」と高く評価されているとし、米国原子力規制委員会(NRC)が理念とする独立性に関しては、「Trust but Verify」(事業者を信頼するが、検証する)と強調した。
15 Jan 2020
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☆12月の主な動き☆【国内】▽4日 原子力機構が核不拡散・核セキュリティを考える国際フォーラム開催▽5日 「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」大臣級会合開催、20年目を迎え12か国が「医療への放射線利用」で議論▽10日 原子力委員会が人材育成で大学からのヒア開始▽11日 規制委、関西電力大飯1、2号機の廃止措置計画を認可▽17日 安倍総理が故天野之弥IAEA事務局長を偲ぶ会に出席、10年間の功績を称える▽19日 福島第一1号機使用済み燃料プールからの取り出し、ダスト飛散対策で大型カバー先行設置へ▽22日 学術振興会が「エネルギー社会と原子力」でシンポ、立地地域の首長らを交え議論▽23日 エネ庁委員会が福島第一処理水で取りまとめ案、海洋放出と水蒸気放出に焦点▽27日 福島第一廃炉の中長期ロードマップが改訂、燃料デブリ取り出しは2号機から▽27日 経産相が会見で、双葉町と大熊町の3月一部避難指示解除で地元合意と発表【海外】▽1日 カナダの3州の首相がSMR開発で協力覚書▽2日 カナダのSNC-ラバリン社、中国が建設予定の第3世代・重水炉で準備作業契約 受注▽4日 米規制委と加安全委、初の共同技術審査にテレストリアル社の溶融塩炉 選択▽5日 米規制委、ターキーポイント3、4号機で2回目の運転期間延長を承認、全米初の80年運転へ▽5日 ロシアで鉛冷却高速実証炉「BREST-300」施設の総合建設契約をTITAN-2社が受注▽9日 カナダのNB州政府、既存原子力発電所敷地内でのARC社製SMR建設を支持▽9日 トルコで建設中のアックユ原子力発電所、国内送電網との接続契約締結▽10日 米エネ省、オクロ社の小型高速炉建設用にアイダホ研の敷地使用を許可▽10日 米国でボーグル3号機の建設工事が進展、遮へい建屋に円錐形の屋根を設置▽12日 韓国の官民原子力使節団、ロシアの海外原子力事業に参加申し入れ▽13日 仏電力、来年から予算1億ユーロで原子力機器の品質向上等で行動計画▽17日 米規制委、TVAのSMR建設用クリンチリバー・サイトに「事前サイト許可」発給▽18日 米商務長官、「日米ともに新たな原子力発電設備が必要」と強調▽19日 ロシアが開発した世界初の海上浮揚式原子力発電所、極東ペベクで送電開始▽19日 フィンランドで建設中のOL3、営業運転開始が2021年3月にさらに延期▽19日 米NNSA、原子力事故時の大気中放射線計測で新たに3機の航空機 配備▽19日 ブルガリア、ベレネ発電所建設計画の戦略的投資家候補を5社に絞り込み▽30日 スウェーデンのリングハルス2号機が2019年末に永久閉鎖☆過去の運転実績
14 Jan 2020
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原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2019年は、国内全体で、原子力発電所の設備利用率は21.4%、総発電電力量は685億3,416万kWhだった。福島第一原子力発電所事故以降、プラントが停止し暦年を通した設備利用率は2014年にゼロを記録したが、再稼働が徐々に進み2019年には2割台の回復となった。この1年間、新たに再稼働したプラントはなかったが、司法判断に伴う運転停止が影響した2018年と比べ総発電電力量では33.1%の伸びを見せた。東京電力福島第二1~4号機が9月に、九州電力玄海2号機が4月にいずれも法令上運転終了となり、国内の原子力発電所は計33基・3,308.3万kWとなった。2019年は、関西電力高浜3号機が通年で稼働し設備利用率は105.2%に達した。*各原子力発電プラントの2019年運転実績(同年12月分を併記)は こちら をご覧下さい。
10 Jan 2020
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原子力規制委員会の更田豊志委員長は、1月8日の定例記者会見の中で、2020年の重点事項として、(1)新検査制度の運用開始、(2)福島第一原子力発電所の廃炉、(3)六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査――をあげた。2020年度より本格運用を開始する新検査制度については、着実に機能するよう「被規制側との意思の疎通、相互の信頼関係が醸成されることが大きなポイント」と強調。福島第一原子力発電所については、特に処理水の取扱いをあげ「苦渋だが、早期に決断せざるをえない時期に差し掛かっている」との見方を示した。六ヶ所再処理工場の審査は申請から丸6年が経っているが、「様々な審査案件の中でも大きな判断の対象」と、大詰めの段階にあることを示唆した。福島第一原子力発電所廃炉の関連で、12月末の 中長期ロードマップ改訂 を受けた質問もあり、燃料デブリ取り出しについては、「まだまだ非常に難しい問題がある」と、収納・保管・移送方法も含め技術的課題が山積している現状を指摘。また、昨秋再開の事故分析で実施された3号機原子炉建屋内現地調査の 映像 に関しては、「まだ推測の域を出ないが、損傷状態を見ることができたのは大きな前進」と、成果を認める一方、「線量の高さが調査を阻んでいる。緊急時に備え原子力規制庁職員の被ばく管理も改めて考える必要がある」などと述べた。
09 Jan 2020
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原産協会の「原子力新年の集い」が1月8日、東京プリンスホテル(東京都港区)で開催され、会員企業等、政府関係、駐日大使館などから約900名が参集し、新しい年の幕開けを慶び親睦を深めた。年頭挨拶に立った今井敬会長(=写真上)は、昨今の異常気象を振り返り、「気候変動の危機感がますます高まっている」とした上で、地球温暖化の要因となるCO2排出の削減のため、「原子力発電は必要不可欠」と強調。一方で、国内の原子力発電の現状について「9基しか動いていない。今年は暫く数基が止まる可能性がある」と懸念し、温室効果ガス排出量削減の国際公約を果たすべく、「2030年度時点で30基程度の稼働が必要」と、残るプラントの早期再稼働とともに40年超プラントの運転期間延長に産業界として意欲を示した。さらに、年内にも次期エネルギー基本計画策定の議論が開始される見通しから、新増設・リプレースの必要性も含め「長期的視点に立ったエネルギー・原子力政策」が図られるよう切望。また、欧米における次世代型原子炉開発の躍進に言及し、「国際的潮流から取り残されぬよう、イノベーション創出における産官学の一層の連携が必要」と呼びかけた。来賓として訪れた牧原秀樹経済産業副大臣は、福島復興・廃炉汚染水対策の取組や国内のエネルギー供給を巡る課題とともに、中国の国産原子炉建設や米国の80年運転など、海外の原子力動向にも触れ、「現実をしっかり直視した上で、原子力を含めたエネルギー政策の舵取りを行っていく」と強調。また、電気事業連合会会長の勝野哲氏は、電力業界の信頼回復や電力インフラのレジリエンス強化に向けた取組など、2019年の振り返りを披露。特に原子燃料サイクルに関しては、「長期的視点に立って一貫性を持って進める必要がある」として、現在原子力規制委員会による審査が大詰めとなっている六ヶ所再処理工の早期しゅん工に向け引き続き支援していく姿勢を示した。「原子力産業のますますの発展を祈り」と、車谷暢昭副会長(東芝会長)が音頭を取り、一同は祝杯を上げた。
08 Jan 2020
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梶山弘志経済産業相(=写真)は1月7日の閣議後記者会見で、米イラン対立に伴う原油供給への影響に関する質問に対し、「中東は世界のエネルギー供給を支える重要な地域の一つ。深刻に懸念している」として、引き続き注視していく必要性を述べ、原油調達先の多角化、国内における資源開発、緊急時に備えた石油備蓄など、今後の資源・エネルギー安全保障政策の視点を示した。梶山大臣は、元旦に発表した 年頭所感 の中で、エネルギー・環境政策に関して、「資源に乏しい日本にとって、エネルギーコストを抑制し、海外依存構造から脱却することは不変の要請」、「パリ協定を踏まえた脱炭素化の取組を果たすことが、次の世代に持続可能な社会をつなぐ、われわれの使命」との認識を改めて強調。北海道胆振東部地震や大型台風からの復旧対応を急務とし、再生可能エネルギー導入の拡大、資源・燃料の安定供給を図ることなどをあげ、原子力については、「依存度を可能な限り低減する方針のもと、安全最優先で再稼働を進める」とした上で、「強靭で持続可能なエネルギー供給体制を構築していく」と述べている。福島復興・廃炉汚染水対策については、「原子力災害からの復興は、いかなる時でも経済産業省一丁目一番地の最重要の政策課題」との取組姿勢を示している。因みに、資源エネルギー庁が昨夏取りまとめたデータによると、日本の原油消費量に対する中東依存度は2018年で87%に上っている。
07 Jan 2020
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原子力委員会は12月24日の定例会合で、2018年2月に取りまとめた人材育成に関する見解のフォローアップとして、北海道大学、九州大学、東京大学よりそれぞれヒアリングを行った。北海道大学からは、工学研究院教授の小崎完氏が招かれ原子力教育の現状と課題について聞いた。同氏によると、原子力関係の学科・専攻は、原子工学科が2005年の改組で機械工学科と統合し「機械知能工学科」となり、大学院組織もこれと時期を同じくして1971年開設の原子工学専攻の流れを汲む量子エネルギー工学専攻と機械科学専攻とが、「機械宇宙工学」、「人間機械システムデザイン」、「エネルギー環境システム」、「量子理工学」の4部門に再編。近年中に、新たな組織再編が見込まれており、学科・専攻の改組に先立ち2020年度には旧原子工学科に属していた教員陣による「応用量子科学部門」が組織される予定。学科の改組により原子力教育は科目が大幅に減少し学生の関心も低下し続けているという懸念の一方、大学院教育では、主専修科目に加え副専修科目を履修させる「双峰型教育」を特色もあるとして、今後の組織再編で何らかの改善が期待される見通し。原子力関連の教員数削減も進む中、小崎氏は、文部科学省の補助によるウェブサイト公開の講義録「オープン教材」の作成・活用、テレビ会議システムで道内の他大学を結んだ放射線に関する教養科目の開設など、通信ネットワークを活用した取組を紹介した。九州大学からは工学府教授の出光一哉氏が、東京大学からは工学系研究科教授の笠原直人氏が説明。出光氏は北海道大学と類似した流れを持つ原子力関係学科・専攻の変遷やアジア地域を中心とする留学生の動向、笠原氏は自身がヘッドとなる「原子力国際専攻」のカリキュラムにおける産学官連携科目の拡充やIAEA/INMA(International Nuclear Management Academy)による認証を通じた「原子力マネジメント学」の強化などを紹介した。
26 Dec 2019
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「エネルギー社会と原子力」について考えるシンポジウムが12月22日、東京大学本郷キャンパスで開催され、立地地域の首長らも交え、将来の原子力エネルギー利用のあり方について、社会的合意形成の視点などから総合的に討論した(=写真)。福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、技術的課題・社会的課題を抽出し調査・検討を行っている日本学術振興会「『未来の原子力技術』に関する先導的研究開発委員会」の主催によるもの。福島県双葉町長の伊澤史朗氏、同大熊町商工会長の蜂須賀禮子氏、茨城県東海村長の山田修氏、東京大学大気海洋研究所教授の渡部雅浩氏、地球環境産業技術研究機構副理事長の山地憲治氏、元日立GEの守屋公三明氏、日本エネルギー経済研究所の村上朋子氏、原子力資料情報室共同代表の伴英幸氏、「自分ごと化会議 in 松江」共同代表の福嶋浩彦氏が登壇。現在全域が避難指示区域となっている双葉町の復興に関して、伊澤氏は、「来春の避難指示解除に向けて16の企業と立地協定を結んだが、昨日ようやく道路建設関係の会社が操業開始したところ」と、雇用の確保とインフラ整備の重要性を示唆。2022年春の帰還開始目標に際し、「避難指示解除が遅れるほど帰還率が低くなっている」と他の自治体の状況を踏まえた上で、「『戻ってきてよかった』となるよう努力しなければ誰も戻ってこない」と、独自の町作り・魅力発信に取り組んでいく考えを強調した。また、「花屋の母ちゃん」を自称する蜂須賀氏は、国会事故調委員の立場で現地調査に参画した経験に触れたほか、「原子力に賛成の人も反対の人も『安全であるにはどうすればよいのか』を考える契機となった」と振り返った上で、「子供たちに何を伝えていくのか」などと、事故の経験継承の重要性を繰り返し訴えた。「東海村はこれからも原子力研究開発の中心」と自負する山田氏は、JCO事故から20年となった去る9月の「安全フォーラム」開催や、村民との「ふれあいトーク」、定例記者会見を通じた情報発信・対話活動の取組を述べる一方、防災対策に関し、東海第二発電所から30km圏内に約94万人を擁することから、「複合災害、広報体制、バスの確保など、住民の不安は解消できない」と懸念を述べた。技術者の立場から守屋氏は原子力発電所の安全確保の仕組みを、村上氏は世界のエネルギー動向について説明。原子力発電に慎重な姿勢をとる伴氏は、立地が断念された、もしくは未着工の地点を図示し、新規立地に対する地元理解を得る難しさなどを述べた。福嶋氏は、無作為に選ばれた住民たちが地域の課題について議論する「自分ごと化会議」を、松江市で原子力発電をテーマに実施した経験を紹介し、信頼関係や「町を自分たちで作る」意識の醸成につながったとした。この他、地球温暖化問題の視点から山地氏が「CO2排出正味ゼロシステム」を、気象学の立場から渡部氏が今世紀末までの気候変化シミュレーションを披露。討論の中で、山地氏はスウェーデンの原子力復活やロシアの舶用炉開発の動きを、渡部氏は自然災害リスクの不確実性などをそれぞれ強調した。
25 Dec 2019
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日本エネルギー経済研究所は12月23日の研究報告会で、2020年度の経済・エネルギー需給見通しを発表した。それによると、一次エネルギー国内供給は、経済活動の緩やかな拡大の一方で、製造業の減産や省エネの進展により、2019年度、2020年度ともに前年度比0.4%減となる見通し。そのうち原子力については、2019年度は再稼働がなく同1.8%減の610億kWhに、2020年度は4基が再稼働するものの、テロ対策の特定重大事故等対処施設が設置期限までに完成しないことにより3基が停止し同4.1%増の635億kWhとなるとしている。石炭については、近年の横ばい傾向が2019年度後半からの石炭火力の新設に伴い、2020年度には同2.4%増に転じると分析。石油と天然ガスについては、2020年度までほぼ同じ割合で減少を続ける見通しが示された。現在、建設中も含め計12基の原子力発電プラントについて新規制基準適合性に関わる審査が進められており、また、再稼働が先行した九州電力の川内1号機が2020年3月に、同2号機が5月に特定重大事故等対処施設の設置期限を迎える。今回の研究報告では、同施設の未完に伴うプラント停止がないと仮定したケースについても評価を行い、基本ケースに比べて、化石燃料輸入額は600億円減、エネルギー自給率は0.5ポイント改善、CO2排出量は300万トン削減などと試算された。その上で、2020年度以降も特定重大事故等対処施設の設置期限を迎えるプラントが増えることから、「機能的な審査を通じた再稼働の円滑化は、わが国の3E(経済、安定供給、環境)にとって重要」と指摘している。同研究所原子力グループマネージャーの村上朋子氏は、原子力発電の展望と課題に関して取りまとめた研究報告の中で、これまでに再稼働した9基について、新規制基準適合性に関わる審査書案が了承されてから発電再開まで平均約1年5か月を要したと分析。こうした再稼働までのリードタイムや運転期間延長に向けた審査申請の動きなどを、2020年以降も注視していく必要があるとしている。
24 Dec 2019
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資源エネルギー庁の福島第一原子力発電所の処理水に関する委員会は12月23日、これまでの議論を整理した 取りまとめ案 を示した。汚染水の多核種除去設備(ALPS)による浄化に伴い、トリチウムを含んだ処理水が発生しタンクに貯蔵され続けているが、タンク建設の用地が限界に達しつつあることから、同委では、技術的観点に加え、風評被害などの社会的影響も含めて総合的に処分方法の検討を行ってきた。取りまとめ案では、処理水の処分方法の検討に向け、前例のある海洋放出、水蒸気放出に焦点を絞り、どちらか一方、または、両方の実施で、3つのケースを提示。海洋放出、水蒸気放出ともに、タンクに貯蔵されている処理水を1年間で処分したとしても、「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)の手法を用いた被ばく影響評価で、自然放射線による影響の千分の1以下となるとしている。この他の処分方法として、同委員会の技術タスクフォースが検討を行った地層注入、水素放出、地下埋設については、いずれも技術的成立性、新たな規制・基準を要すること、処分場確保の制約などから、今回の取りまとめ案では、「現実的な選択肢としては課題が多い」とされた。委員会では、2016年11月より計16回の会合を行い、地元生産者や流通関係者、リスクコミュニケーションの専門家からもヒアリングを実施したほか、2018年8月には福島と東京で説明・公聴会を開催した。これらを踏まえ取りまとめ案では、処理水の処分に伴う風評被害について、今後の対策の方向性を提言。リスクコミュニケーション対策として、トリチウムについての理解促進、マスメディアに対する情報提供、海外に向けては、在京外交団や外国プレスを対象とした説明会の開催、農水産物の販路回復に関しては、小売り段階での専門販売員配置やオンラインストア開設など、これまでの成功事例も参考に取組を加速すべきとしている。
23 Dec 2019
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東京電力は12月19日、福島第一原子力発電所1号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しについて、「大型カバーを先行設置し、カバー内でガレキ撤去を行う工法」をとることを発表した。「ガレキ撤去完了後に燃料取り出し用カバーを設置する」プランと合わせて検討が進められていたが、ダスト飛散対策、作業員被ばく、雨水対策(汚染水発生の抑制)、周辺工事への影響を総合的に評価し今回の選択となったもの。1号機使用済み燃料プールには、新燃料100体と使用済み燃料292体が保管されている。原子炉建屋を高さ約65mで覆う大型カバー内で約360トンの天井クレーンを用いてガレキを撤去した後、燃料取り出しを行うこととなるが、福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は同日の記者会見で、「大熊町でも住民の方々の帰還が進んでおり、ガレキ撤去はこれまで以上に慎重に行わねばならない」と、安全最優先で作業を行う考え改めて強調した。東京電力では1号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに関する 動画 を公開している。現行の福島第一廃止措置中長期ロードマップで、1号機使用済み燃料プールからの燃料取り出し開始は2023年度目処となっているが、2日の経済産業相をヘッドとする廃炉・汚染水対策に関するチーム会合で示されたロードマップ改訂案では、2031年末までに全号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出し完了を目指すとされている。また、小野氏は、2号機から着手する燃料デブリ取り出しについて、2月に実施した原子炉格納容器内部調査を振り返り、「堆積物を動かせることが確認できたのは非常に大きい」とした。その上で、今後行う試験的な少量取り出しに関し「数グラムのオーダーで何度か繰り返す。どのくらいの固さか把握することが重要」と、本格的な取り出しに向けたツールの開発に資する考えを示唆。試験的な取り出しに用いる最大約22m長のロボットアームは現在英国で製作中だが、これまでに発生した3号機燃料取扱設備などのトラブルを「痛い経験だった」と省み、点検・保守や訓練を着実に行う重要性を繰り返し述べた。
20 Dec 2019
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福島第一原子力発電所事故に伴う除染で発生する除去土壌の減容・再生利用に関する環境省の技術開発戦略検討会が12月19日に行われた。除去土壌は最終処分までの間、中間貯蔵施設で集中的に保管・管理することとなっているが、同施設への輸送対象物量は約1,400万立方m(東京ドーム約11杯分)と推計されており、安全性の確保を大前提として、可能な限り再生利用することで最終処分量の低減を図る必要がある。検討会に出席した石原宏高・環境副大臣は「安全・安心に対する理解醸成を図ることが重要」と強調した。今回の会合では、飯舘村の仮置場に保管されている除去土壌を再生資材化し農地を造成して、作物の試験栽培を行う実証事業の進捗状況について報告があった。飯舘村長泥地区を拠点とする同事業は、準備段階も含め2018年度より進められており、再生資材の土木的適用性や放射線に関わる安全性の評価を踏まえ、村の営農再開に向けて、2020年度頃の本格的な農地造成着手、2022年度頃の圃場整備を図る計画(=図、環境省発表資料より引用)。これまでの実証試験で、再生資材と遮蔽のための覆土を用いた農地造成プロセスについては、安全性の観点から問題なく施工できることが確認されている。環境省の説明によると、栽培試験のうち、再生資材(深さ50cm)と覆土(同)を用いた露地栽培試験では、深く根を張る作物としてジャイアントミスカンサス、ソルガム、アマランサスの3種を選び今夏に栽培が行われ、土壌からの放射性セシウム移行を確認したところ、「想定より十分安全側の結果が得られた」としている。この他、除去土壌の減容・再生利用技術開発に向けて中間貯蔵施設内に整備されている「技術実証フィールド」について紹介があった。「技術実証フィールド」では、同施設区域内に貯蔵されている除去土壌を用いた試料分析や、実証試験に必要な資材・電気・水の提供を受けることができる。12月中にも完成の予定。
19 Dec 2019
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原子力委員会は12月17日の定例会合で、東北大学工学系研究科量子エネルギー工学専攻教授の長谷川晃氏よりヒアリングを行った。同委が2018年2月にまとめた人材育成に関する見解のフォローアップとして実施するもの。東北大学の原子力工学関係の教育は、国立大学の中でも比較的古く、1958年の原子核工学専攻設置に始まった。その後、1962年に学部教育として原子核工学科が設置され、1998年の量子エネルギー工学科への改組を経て、現在は3年次より7コースに分かれる機械知能・航空工学科となり、原子力関連の科目は「量子サイエンスコース」の学生が主に学ぶようになっている。1916年に同学併設研究所の一部として発足した金属材料研究所がKS鋼の発明で知られる本多光太郎博士の輩出など、多くの業績を残してきた伝統から、長谷川氏は原子力関連の科目についても材料系を特に充実させていることを強調。さらに、学内外の多様な施設を利用した実験・実習や、六ヶ所村分室を開設し社会人向け講義を実施していることを述べたほか、1年次向けの原子力・放射線に関する一般教養科目で量子エネルギー工学専攻の教員が講義に立つなど、学部横断的な取組についても紹介した。これを受け中西友子委員は、放射線利用に関して、医療、農業、工業など多分野にわたる経済規模の大きさに触れ、原子力エネルギー利用との両輪として取り扱う意義を強調した。
18 Dec 2019
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資源エネルギー庁は12月16日、高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた今後の取組方針に関する自治体説明会を開始した。総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループは11月末、地層処分に関する「科学的特性マップ」公表から2年間の理解活動を踏まえ、処分地選定調査の最初の段階となる文献調査の複数地域による受入れを目指し当面の取組方針をまとめた。これまでの全国対話活動などを通じ、社会全体で解決すべき課題との観点から「より深く知りたい」という関心グループが広がりつつあることから、同取組方針では、ニーズに応じた情報提供を強化し、2020年を目途に関心グループの数を全国で100程度にまで倍増させるとしている。また、文献調査を実施する地域の医療・教育・防災の充実、企業誘致、観光振興など、「地域の発展ビジョン」の具体化に最大限貢献していくとされた。16日には、東京都で特別区対象と市町村対象の2か所で説明会が行われ、千代田区の会場では、特別区の他、県東京事務所の職員らも合わせ約20名が参集し、処分事業の概要とともに、文献調査実施に伴う地域振興プロジェクトの支援スキームなどについて説明を受けた。資源エネルギー庁では今後、年度内に福島県を除く全国の道府県で説明会を順次開催し処分事業への理解を求めていく。
17 Dec 2019
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原子力委員会は12月10日の定例会合で、同委が2018年2月に発表した見解「原子力分野の人材育成について」のフォローアップとして、大学関係者からのヒアリングを開始。今回、名古屋大学工学部教授の山本章夫氏と大阪大学工学部教授の北田孝典氏より、原子力教育の現状と課題についてそれぞれ説明を受けた。今後、数回にわたり実施する予定。名古屋大学の原子力関連の学部教育は、1966年の原子核工学科設置に始まり、その後、物理工学科への改組を経て、2017年の組織再編で現在はエネルギー理工学科(定員40名)、大学院教育は、1970年の原子核工学専攻設置に始まり、マテリアル理工学専攻への改組を経て、現在はエネルギー理工学専攻(同18名)と総合エネルギー工学専攻(同18名)で行われている。山本氏の説明によると、大学院の両専攻に置かれる計14の研究グループのうち、半数程度が原子力をテーマとしているという。課題としては、燃料・材料の分野で講義のできる教員がいないことをあげた。また、同氏は、学部4年生や大学院生向けの特別講義枠として原子力規制庁の補助で実施する「原子力規制人材育成事業」(2016~20年度)を紹介。カリキュラムでは、原子力安全に関する講義・演習・実習を強化しており、「安全について体系的に学べる」ことから電力関係からの参加も多く、「社会人としてのスキルが学生に伝承され、社会人は学生から刺激を受けるという好循環が生じている」と、リカレント教育の場を通じた相乗効果を強調した。さらに、山本氏は、自身が会長を務める日本原子力学会炉物理部会の活動として、初心者向けに数式を使用しない原子炉物理のテキスト作成を進めていることも述べた。大阪大学の北田氏は、当初の原子力工学科・原子力工学専攻が、2006年までに改組され、現在、環境・エネルギー工学科・環境・エネルギー工学専攻で行っている同学の原子力関連の教育について説明。カリキュラム改善に向けた取組の一方、今後大学の組織再編により削減の見通しにある教員構成、福島第一原子力発電所事故以降減少傾向にある原子力関係への就職状況、留学生の増加施策に伴う教員の負担増など、山積する課題を述べた。
12 Dec 2019
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原子力規制委員会は12月11日の定例会合で、関西電力大飯発電所1、2号機(PWR、117.5万kW)の廃止措置計画の認可を決定した。同委では、2018年11月に認可申請を受けているが、透明性確保の観点から、廃止措置計画についても新規制基準への適合性と同様に公開会合で審査を行うこととなり、本件に関しては同年12月より計5回の会合で事業者から説明を求めるなどした。審査結果では、廃止措置工事が運転中の同3、4号機に影響を及ぼさないよう定められた社内標準・体制などを確認したとしている。大飯1、2号機とも、廃止措置は、「解体準備」(第1段階)、「原子炉周辺設備解体撤去」(第2段階)、「原子炉領域解体撤去」(第3段階)、「建屋等解体撤去」(第4段階)の区分で並行して進められ、2048年度に完了する予定。今回、全工程中、第1段階について審査が申請され認可となった。なお、1、2号機に貯蔵されている新燃料および使用済み燃料のうち、使用可能なものは3、4号機で使用することとなっている。
11 Dec 2019
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