
高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、赤沢亮正経済産業大臣が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、小笠原村議会では3月10日、同件に関する質疑が行われた。小笠原村の渋谷正昭村長は、今後の対応について「議員や村民の意見を踏まえ、総合的に判断したい」と述べた。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。同村では3月14日に父島で、15日には母島で、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)らとともに住民向けの説明会を開催する。同議会では同日、平野悠介議員が国からの申し入れの経緯について質問。これに対し渋谷村長は、本土出張の際に国から地層処分の必要性や文献調査の内容について説明を受けていたとし、2月9日には南鳥島を対象とする文献調査の実施を小笠原村に説明したいとの要請があったことを明らかにした。その後、3月3日に経済産業省から正式な申し入れがあったという。渋谷村長は文献調査について、「将来的に候補地となり得るかどうかを確認する最初の段階の調査で、文献のみを用いて東京都(本土)で実施するものであり、いきなり小笠原村の地面を掘削するものではない」と説明した。そして、「文献調査は対話活動の一環として位置づけている」と経済産業省から説明を受けたと語った。また、今週末に住民説明会が予定されていることから、「説明会が終わるまで自身の考えを表明することは控えたい」と述べ、メリット・デメリットについての見解の表明も差し控える考えを示した。そして平野議員の「住民説明会だけで十分な説明が果たせるのか」といった質問に対し、渋谷村長は、文献調査の申し入れを受けた直後からSNSなどで様々な情報発信があり「中には誤解が含まれていると感じるものもあった」と述べた上で、村民には地層処分の仕組みや必要性、文献調査の詳細について理解したうえで意見を寄せてほしいとの考えを示した。渋谷村長によると、小笠原村では情報提供の取組みとして、ホームページへの情報掲載や住民説明会の案内の配布を実施。そして、すでにNUMO担当者が来村しており、「住民説明会の開始前でも住民の質問や意見に対応できる体制を整えている」(渋谷村長)。また、同日の村議会では、文献調査の受け入れ後に概要調査や精密調査へと段階が進む可能性や、文献調査に伴う自治体電源立地地域対策交付金への同村の依存を懸念する意見も出された。これに対し渋谷村長は、自身の判断の基本姿勢について言及。広大な海域に複数の島を抱える自治体の首長として、国の政策への貢献も考える必要があるとの認識を示した。また南鳥島については、近年レアアースの話題などで注目されることはあったものの、村民にとっては遠い存在だった側面があると指摘。今回の申し入れを契機に、南鳥島について理解を深め、村民1人ひとりが村の将来像である「心豊かに暮らし続けられる島の実現」を考える契機になってほしいと語った。一方で、平野議員は、電源立地地域対策交付金が同村の住民の福祉の充実につながる可能性に言及したほか、原子力発電の商用運転開始から60年が経過し、社会のさまざまな活動が原子力による電力に支えられてきた現実を踏まえ、「小笠原村の住民にとっても無関係とは言えない」との考えを示した。そして、HLWの処分問題は「日本国民として避けて通れない課題」であり、社会全体で向き合う必要性を指摘する。一方で、同村として文献調査については、慎重な議論と判断が必要との認識も示した。
11 Mar 2026
515
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は3月5日、定例記者会見を行った。増井理事長は冒頭、経済産業省資源エネルギー庁が昨年12月に募集を開始した電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WGの取りまとめ(案)に関するパブリックコメントについて、日本原子力産業協会として同案に対する意見を2026年1月28日付で提出したことを紹介した。まず同件について増井理事長は、第7次エネルギー基本計画で、原子力発電を含む脱炭素電源への投資促進に向け、政府の信用力を活用した資金調達の仕組みを検討する方針が示されたことに言及。これを受け、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が資金を貸し付けるスキームの具体化が議論されていると説明し、こうした制度設計に関し、主に次の5点を要望したという。まず1点目は融資条件について。政府の信用力を活用する制度である以上、民間金融機関のように利潤確保を前提とする必要はなく、可能な限り低金利で資金を供給する仕組みとすべきだとした。2点目は融資額の上限について「事業費の3割程度」が目安とされているが、原子力発電は投資規模が極めて大きいことから、案件ごとの事情に応じて柔軟に条件を設定できるよう求めた。3点目は、事業者に帰責性のない事象や事業者が自主的な安全性向上を進めていく際には巨額の資金が必要と考えられることから、さまざまなケースに対応できる融資の仕組みを検討すべきだと進言した。4点目は債務保証制度の導入について、米国の一部の州では政府による債務保証制度が整備されている例を挙げ、日本でも同様の制度の導入を提案した。5点目は原子力損害賠償制度について、日本では事業者が原則として無限責任を負う制度となっており、事業者の予見可能性を向上させるためにも、早急な制度の見直しを求めた。次に、増井理事長は4月14日、15日の2日間にわたり開催する第59回原産年次大会の詳細を説明し、同席した記者に参加を呼びかけた。今年の同大会のテーマは「原子力の最大限活用を支える人材戦略」で、開会セッションの基調講演では、海外機関であるOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)と共同開催することになっており、W.D.マグウッド事務局長が登壇する予定だという。また特別講演では、日本原子力産業協会の三村明夫会長が「未来を選択する会議」の共同代表として、日本の人口減少の現状と対応策について講演するほか、原子力委員会の上坂充委員長からも、原子力人材に関する講演が行われる。同大会では、原子力人材の確保・育成をテーマに複数のセッションを実施。原子力発電所の新規建設を進める場合に必要な人材の規模や職種について、各国の調査結果などを紹介しながら、人材需給のギャップの実態を共有する予定だ。また、人口減少により人員確保が難しくなる中、限られた人員で高品質な業務を維持するための取組み、また、業務の標準化技術の活用などについて議論する。そして、「廃炉に挑む原子力人材の叡智と情熱」と題した福島セッションでは、東京電力の副社長が福島第一原子力発電所の廃炉の進捗状況や人材育成の取り組みを紹介するほか、廃炉分野に関わる若手技術者や高専・高校の教員、学生らが参加し、今後の廃炉作業への思いや展望を共有するという。会見の後半、記者との質疑応答では、高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡る南鳥島での文献調査の動きに関する質問が寄せられた。経済産業省から小笠原村への文献調査に関する申し入れについて、増井理事長は「大変注目すべき動きであり、今後の進展に期待している」と述べた。何より、国から申し入れが行われた点について、画期的な動きだと評価した。そして、文献調査に進んだ関係自治体が増えることで、全国的な議論に期待を寄せた。増井理事長は、南鳥島は人が居住する地域から離れていることや、太平洋プレート上に位置し地盤が比較的安定している可能性を指摘する専門家の見方を紹介。「日本で処分場を検討する際、まず検討すべき場所のひとつだとする意見もある」とコメント。一方で南鳥島は東京本土から約2000km離れており、輸送やコスト面の課題についても言及。建設資材などは海上輸送に頼る必要があり、他の候補地と比べて諸々のコストは高くなる可能性があるとした。また、高レベル放射性廃棄物の輸送には相応の警備体制が必要になると指摘している。そのうえで「本土から大きく離れた地点を処分場とすることには利点と課題の双方がある」との認識を示した。
10 Mar 2026
449
経済産業省資源エネルギー庁と日本原子力産業協会は3月9日、東京都内で「第4回原子力サプライチェーンシンポジウム」を開催した。政府、電力会社、プラントメーカー、エンジニアリング企業、IT企業などから約500名が参加し、次世代炉開発やサプライチェーン強化、人材育成など原子力産業基盤の維持・強化に向けた取り組みについて議論した。開会挨拶で小森卓郎経済産業大臣政務官は、「原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用していくことが不可欠」と述べ、安全と地域の理解を大前提に既設炉の再稼働や次世代革新炉の開発・建設を進める政府の方針を改めて示した。基調講演を行った資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏も、データセンターや半導体産業の拡大により電力需要が増加するなか、総発電電力量に占める原子力シェアについては2040年度に2割程度とする見通しを示し、その実現には既設炉の再稼働に加えて次世代炉の導入が必要になるとの認識を示した。日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員長の木藤俊一氏(出光興産会長)は、AIやデジタル化の進展に伴い電力需要が増加する中、安価で安定したエネルギー供給が経済成長に不可欠として原子力の役割が一層重要になるとの認識を示した。また、2050年に原子力シェア2割を維持するには、約40基の設備が必要になるとの試算を紹介し、既設炉の再稼働に加えて次世代炉によるリプレースや新設を進める必要があると指摘した。Amazon Web Services(AWS)のクゥィント・サイモン公共政策統括責任者も登壇し、今後、24時間安定して電力を供給できる電源が不可欠になると述べ、原子力の役割を示唆した。AWSは2040年までにネットゼロを達成する目標で、日本での32プロジェクトを含め、世界28か国で700以上のカーボンフリー電源プロジェクトに投資、総発電設備容量は4000万kW以上に達している。原子力では、米ワシントン州で、2030年代初頭の運開を目指し、4基、約32万kWのSMRプロジェクトに参加しており、高品質な日本の精密加工技術は世界の原子力建設において重要な役割を担うとの見解を示した。次世代炉開発に関するセッションでは、国内メーカー各社の取り組みが紹介された。三菱重工業は次世代革新軽水炉「SRZ-1200」の開発状況を説明し、基本設計が概ね完了したことを報告した。日立GEベルノバニュークリアエナジーはSMR「BWRX-300」の開発状況を紹介し、カナダなど海外でのプロジェクトが進んでいることを説明した。東芝エネルギーシステムズは革新型ABWR「iBR」の安全設計を紹介したほか、IHIと日揮グローバルは米NuScale PowerのSMRプロジェクトへの参画状況を説明した。三菱電機も計装制御システムなど原子力プラントを支える技術を紹介した。サプライチェーン強化に関するパネルセッションでは、原子力産業基盤の維持に向けた課題が共有された。電気事業連合会は、将来的に原子力設備容量が減少する可能性を指摘し、2040年代にはリプレースが必要になるとの見通しを示した。原子力エネルギー協議会(ATENA)は製造中止品への対応やオンラインメンテナンスの導入などの取り組みを紹介した。日立GEベルノバは一般産業用部品を原子力用途に適用する「汎用品グレード格上げ(CGD=Commercial Grade Dedication)」の取り組みを説明し、供給途絶対策の一つとして普及を進めていく方針を示した。エンジニアリング企業からは人材不足の課題も指摘された。太平電業は原子力プラント建設経験者が減少している現状を説明し、技術伝承の重要性を強調した。また三菱総合研究所はAIなどデジタル技術を活用した発電所入構手続きの効率化に関する研究を紹介し、作業環境改善の可能性を示した。人材育成に関するセッションでは、産学官の連携による人材確保の取り組みが紹介された。経済産業省は原子力人材育成協議会を設置し、産学官連携による人材育成政策を進めていることを説明。文部科学省は大学連携による教育プログラム「ANEC」を紹介し、今後産業界との協力が重要となると指摘した。原子力規制庁も規制分野における人材確保の課題を説明し、産官学連携の必要性を強調した。閉会挨拶で日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、第7次エネルギー基本計画の閣議決定から1年で、次世代炉の開発・設置に向けた政策議論が具体化していると指摘。投資判断を可能にする事業環境整備の議論や規制当局との意見交換、さらに電力会社によるリプレース検討の動きなど、原子力をめぐる取り組みが着実に進展しているとの認識を示した。また今回のシンポジウムにおいて、経済界やIT企業からも原子力への期待が示されたことに触れ、次世代炉開発の進展や海外プロジェクトへの参画が国内サプライチェーンの維持にも重要であるとの理解が共有されたと述べた。その上で、原子力サプライチェーンを維持強化するためには、将来の原子力発電規模や建設計画の見通しを示すことが重要であると指摘。加えて、人材確保と育成は原子力の最大限活用を支える基盤であり、産業界と教育機関、政府が連携して取り組む必要があると述べ、シンポジウムを締めくくった。今回の議論を通じて浮かび上がったのは、原子力の将来を左右するのは炉型技術だけではなく、それを支える産業基盤であるという点である。日本の精密加工技術や品質管理は、世界の原子力サプライチェーンの中核を担う潜在力を持つ。次世代炉の実装が視野に入りつつある今、政策の方向性と産業界の挑戦が噛み合えば、日本の原子力産業は再び新たな発展の段階に入る可能性を秘めている。
10 Mar 2026
610
原子力発電環境整備機構(NUMO)は3月1日、全国の教育関係者を対象とした「全国研修会」を日本科学未来館(東京都江東区)にて開催した。この日は、全国から23団体・178人の教育関係者が一堂に会した。 NUMOでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業について、学校の授業で扱う際の教材研究や授業づくりを支援する「授業研究支援事業」を長年実施している。全国研修会は、その取り組みの一環で、今年度で11回目の開催となった。学校の教諭らが児童・生徒に授業内容を分かりやすく伝えるための切り口や工夫、教材研究の成果などが共有され、現場で活用できる知見を持ち寄る機会となっている。 研修会の冒頭、挨拶に立ったNUMOの山口彰理事長は、今年度の授業支援事業の実績として、約400名の教育関係者の協力によって、約500クラス、約5万2,000人の児童・生徒に授業が実施されたことを報告。関係各位に改めて謝意を述べた。 研修会ではまず、「高レベル放射性廃棄物の地層処分 これからの授業展開の可能性~学校教育の新たな潮流を踏まえて~」をテーマにパネルディスカッションを開催。その後、教育関係者による授業実践や取組みの紹介が行われたほか、会場では各ブースでポスターセッションも行われた。ポスターセッションに出展した日本原子力産業協会の担当者は、出展の目的について「協会の活動や制作している冊子などのツール、見学会、ボードゲームといった取組みを知ってもらう場とするとともに、先生方と直接会話できる貴重な機会として例年参加している」と説明した。会場では、今夏(2026/8/3)に予定している教員向け福島第一原子力発電所見学会に関心を示す声が寄せられたほか、展示していたボードゲームにも多くの関心が集まったという。同担当者は「実際に授業で使ったことがあるという先生もおり、印象に残った」と振り返った。研修会終了後、山口理事長は、教育関係者らのプレゼン(口頭発表)を振り返り、地層処分そのものではなく関連する題材をきっかけとする授業の工夫について言及。「エネルギーや環境といった広いテーマを土台に据えたり、クリアランス金属など身近なテーマを入り口にする発想は非常に良い切り口だ」と評価した。そして、参加した教員らの教材研究の水準の高さや多様なアイデアに感銘を受けたと語った。さらに地層処分が廃棄物問題などを含む横断的なテーマであることにも触れ、総合的な学習などの枠組みで扱う意義を指摘した。また、地層処分は社会科や理科の授業で扱う内容であることに加え、健康影響の観点から保健体育とも関係する分野だと指摘。出前授業など外部の専門機関との連携についても触れ、学校教育の中で専門家が関わり、継続的に情報提供できる仕組みが重要だとの認識を示した。
05 Mar 2026
707
日本原子力学会若手連絡会とWashington Policy and Analysis(WPA)は2月20日、日米の若手原子力人材による交流イベント「NEXTGEN NUCLEAR TALKS」を開催した。同イベントは、WPAが実施する「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」の一環として企画されたもの。WPAは、米国ワシントンDCに拠点を置くエネルギー分野のコンサルティング会社で、1988年に設立された。創設者兼会長は、米国エネルギー省(DOE)の元副長官であるウィリアム・マーティン氏。同氏は幅広いネットワークを活用し、米国政府や原子力業界、日本政府・電力業界などの関係機関と広く関係を持ち、日米間の原子力分野における政策や産業の橋渡し役として連携や支援を行ってきた。こうした日米間協力活動の一環として、WPAが実施しているのが「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」だ。米国の若手原子力リーダー(20代~40代)らが日本を訪問し、原子力関連施設や政府機関などを視察するとともに、日本の同年代の若手人材との交流を通じて相互理解を深め、日米間の長期的な信頼と協力関係の構築に繋げる狙いがある。同プログラムは2016年に開始され、今年で10回目を迎えた。今年も、さまざまな分野から選ばれた米国の次世代リーダーを日本に招き、原子力関連施設の視察や関係機関との意見交換を行い、日本の原子力政策や原子力産業の現状について理解を深めた。イベント当日は、プログラムの概要説明の後、マーティン氏が開会挨拶を行い、続いて日米の原子力分野が直面する主な課題について、日本原子力学会若手連絡会長の川合康太氏とWPAのレア・ブース(Lea Booth)氏が、双方の視点から講演を行った。川合氏はまず、日本では、脱炭素とエネルギー安全保障を実現する柱として原子力が再評価されている一方で、福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電所の長期停止によって産業基盤が弱体化し、若手人材の不足や熟練技術者の減少、サプライチェーンの縮小などさまざまな課題に直面していると指摘。一方のブース氏は、米国でもボーグル3、4号機 (PWR=AP1000、125.0万kWe×2基)の建設において、建設期間の長期化やそれに伴う建設コストの増加により、大型炉の建設への慎重姿勢が強まっていることや、電力市場の自由化と資金調達、また燃料調達における課題を挙げた。その後、参加者は3グループに分かれ、「日本の原子力開発が直面する最大の課題は何か」「日米の原子力協力で最も有望な分野は何か」などのテーマに沿った意見交換が実施され、課題解決、そして日米協力の可能性について議論した。同イベントの終了後、川合氏は、「日米の若手人材が同じ立場で率直に議論できる点に意義があった」と述べ、こうした地道な交流や情報共有の積み重ねが、日米の信頼関係を支える基盤になると語り、今回のような若手人材の交流の場を今後も増やしていくことの重要性を強調した。
04 Mar 2026
708
原子力規制委員会の山中伸介委員長は2月18日の定例会見で、特定重大事故等対処施設(特重施設)の現行の経過措置の在り方を見直す方向で検討していると明らかにした。特重施設は、意図的な航空機衝突などの状況に備えて、重大事故等への対策として用意している可搬型設備などに加え、信頼性を更に向上させるためのバックアップ対策として設置することが求められている施設を指す。経過措置期間は、2013年の新規制基準施行時に5年と設定され、2016年の規定改正以後、起算点を新規制基準施行日から各プラントの設計及び工事計画の認可(設工認)日に変更したが、期間自体は引き続き5年であった。規制委は、同制度の運用開始から約10年が経過したが実際に5年以内に完成した例がほとんどないため、規制委は経過措置そのものの考え方を議論する必要があるとの認識を示した。山中委員長は、特重施設が完成している12基の実績を検証した結果「5年では完成しないことが多いと明らかになった」と指摘。これまで、「運用上のルールであるため遵守すべきだ」との立場を取ってきたが、これまでの実績が積み重なった以上を鑑み、「何らかの変更を行う必要があるだろうというのが規制委としての結論だ」との見解を示した。ただし、具体的な延長や制度変更を決定した事実はないと強調。あくまで検討段階であるとした。記者からは「特重施設なしで運転する期間が延びるのではないか」「規制緩和に当たるのではないか」との指摘があった。これに対し山中委員長は、特重施設は「完成の有無によってリスクが著しく上下する性質の施設ではない」と説明。その上で、守れないルールを形式的に押し通すことが規制として適切かどうかは検討すべきだと述べ、今回の議論は「規制緩和ではなく、継続的な規制の改善である」との認識を示した。一方で昨年、事業者側から建設業界の労働環境の変化等を理由に、特重施設の3年間の設置期限延長要望があったが、これについては「働き方改革の影響は他律的要因には当たらない」との認識を示した。規制委は今後、必要に応じて事業者側に事実確認を行った上で、経過措置期間、起点の変更や期間の扱い、適用範囲などについて議論する。
03 Mar 2026
1133
赤澤亮正経済産業大臣は3月3日の閣議後会見で、高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分に向け、東京都小笠原村の南鳥島を対象とした文献調査の実施を同日午後に申し入れると表明した。これを受け同日13時、資源エネルギー庁の吉村一元エネルギー・地域政策統括調整官が、父島において小笠原村の渋谷正昭村長に対し正式に申し入れを行った。赤澤大臣は会見で、本年1月16日に全国の都道府県知事宛てに発出したレターに触れ、「地域任せにするのではなく、国の責任で地域に協力をお願いしていく」との方針を改めて強調。その具体的な対応として、南鳥島における文献調査を国から申し入れるに至ったと説明した。南鳥島は、国が公表している科学的特性マップにおいて、地層処分にとって「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされている。また、地上施設を設置し得る未利用地が存在すること、島全体が国有地であることなども判断材料とされた。大臣は「処分地選定調査は地域の理解なくして進めることは困難」と述べ、村民向け説明会を早期に開催し、丁寧な情報提供を行う考えを示した。メディアからの質問に対し大臣は、南鳥島が長年にわたり国策に協力してきた地域である点にも言及し、最終処分の必要性や文献調査の内容について国から説明する必要があるとしたうえで、「小笠原村の皆様のご理解とご協力を得られるよう努めていく」と述べた。申し入れを受け、渋谷村長は同日14時にコメントを発表。文献調査の申し入れ文書を受領したことを明らかにし、事前の相談段階で国およびNUMOに対し、最終処分の必要性や文献調査の内容について村民向け説明会を速やかに開催し、丁寧な説明を行うよう求めていたと説明した。そのうえで、「説明会等における村民や村議会の意見などを踏まえながら判断」していくと強調し、調査受け入れの可否については今後慎重に判断する考えを示した。最終処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)は、今回の国からの申し入れそのものについては「申し上げる立場にない」とした上で、「小笠原村で文献調査を受け入れていただけるよう、きめ細かい説明・対応を行う」との姿勢を示している。NUMOは今後、住民向け説明会を開催する予定で、3月14日に父島、15日に母島で実施する。文献調査は、既存の文献やデータに基づき地質環境の適性を評価する初期段階の調査であり、ボーリングなどの現地調査はいっさい行わない。調査の実施には、自治体の応募または国からの申し入れに対する受諾が前提となる。南鳥島は東京都小笠原村の行政区域に属す日本最東端の島で、一般住民は居住していない。国が自ら文献調査を申し入れたことは、「国が責任を持って前面に立つ」とした方針を具体化する動きであり、処分地選定プロセスを次の段階へ進める試みとして位置付けられる。
03 Mar 2026
1024
原子力規制委員会の山中伸介委員長は2月14日、九州電力川内原子力発電所を視察。その後、同発電所の近隣9市町村の首長や九州電力関係者との意見交換会に臨んだ。山中委員長は冒頭、同日午前中に同発電所の特定重大事故等対処施設や緊急時対策棟、および乾式貯蔵施設の建設予定地を視察したと説明。そして、現場での実際の運用状況や職員の業務の様子を確認したとし、「重大事故への対策が整ったことを改めて確認できた」と述べ、堅牢な施設の完成により「安全性が向上した」との受け止めを示した。さらに、川内原子力発電所の立地について、「非常にフラットでゆったりとした敷地に建設されており、自然ハザードに対する備えも行き届いている」との認識を示した。また、同行した規制委の神田玲子委員は、「特定重大事故等対処施設についてこれまで議論を重ね、学んできたが、実物を目の当たりにすることで、その大きさや堅牢さ、各種設備の状況を実感することができた」と語った。一方、鹿児島県の塩田康一知事は、山中委員長らに対し同発電所1号機(PWR、89.0万kWe)が2024年7月4日から、2号機(同上)が2025年11月28日から運転開始後40年を超える期間に入っていることに言及。県としては常に事故の発生を念頭に置き、「県民の生命と暮らしを守る観点から、安全対策・防災対策の充実強化に取り組んでいく」と述べた。そのうえで塩田知事は、規制委員会に対し以下の6項目を要請した。 ①乾式貯蔵施設昨年10月、九州電力が川内原子力発電所の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置に係る原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、規制委による厳格な審査を求めたほか、県民に分かりやすい情報発信を行うよう要請した。②六ヶ所再処理工場川内原子力発電所の乾式貯蔵施設は、青森県六ケ所村の再処理工場へ搬出するまでの間の一時貯蔵施設の役割を担っているが、六ヶ所再処理工場の稼働延期が続き、現在も規制委の審査が行われていることから、着実な審査と分かりやすい状況説明を求めるとともに、今後の見通しについても説明を求めた。③運転期間延長2023年7月に鹿児島県が規制委に提出した10項目の要請について、県の原子力専門委員会で規制庁から対応状況の説明を受けているが、継続的な取り組みや将来の知見拡充に関する事項が多いとして、今後も対応を継続し、その内容を県民に分かりやすく説明するよう求めた。④屋内退避の運用昨年、一部改正された原子力災害対策指針において、屋内退避中でも生活維持に必要な範囲での一時外出や、民間事業者の活動が可能とされた点に言及し、引き続き分かりやすい情報発信と説明を求めた。⑤次世代革新炉設計段階から新たな安全メカニズムを組み込む次世代型の革新軽水炉について、今後の規制上の取り扱いに関する見通しを問い合わせた。⑥中部電力の不正行為への対応中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動策定に関する不正行為について「安全・安心の観点から大変遺憾」と述べたうえで、原子力施設の安全確保に一義的責任を負うのは事業者であるとしながらも。規制委に対しても安全規制に万全を期すよう求めた。 要請を受けて山中委員長は、乾式貯蔵施設については、既に他の発電所で実績のある堅牢な方式であり、リスクの小さい施設と説明。規制側の審査実績も多く、「特段大きな懸念はない」としつつ、住民への丁寧な説明に応じる考えを示した。六ヶ所再処理工場の審査状況について、現在は設工認審査(分割二回目)の最終段階に来ており、今後、保安規定の審査や事業者・規制側それぞれの使用前検査などを経て稼働に至ると説明。なお、同工場の稼働の正式な時期は明確にしていない。同発電所1・2号機の40年超運転については、10年ごとに劣化状況を確認する長期施設管理計画制度の下で、40年運転から50年運転までの基準適合性を確認済みと説明した。そして、屋内退避の運用については、継続判断を「概ね3日目」に行う方針を示し、原子力災害対策指針は改定済みだが、より具体的な運用方策を示す関連文書について、近く発行する予定だという。また、次世代革新炉(規制側は建替原子炉と表現)については、ATENA(原子力エネルギー協議会)と規制上の取り扱いや課題整理を進めており、建替原子炉の申請があれば迅速に審査できる体制を整えるとコメント。また、中部電力のデータ不正については「極めて深刻」と指摘し、再発防止策の強化に取り組む考えを示した。また、同発電所が立地する薩摩川内市の田中良二市長は、原子力発電所の立地自治体として規制委と直接、意見交換できることは「市民の安全・安心の醸成において極めて重要」と評価。そのうえで、両機の40年超運転、そして昨年10月、九州電力が使用済み燃料の乾式貯蔵施設設置に関する原子炉設置変更許可を申請したことに触れ、「市民の関心は非常に高い」と述べた。特に乾式貯蔵施設については、安全性や審査状況に関する丁寧で分かりやすい説明を求めるとともに、審査体制の強化と高い独立性・透明性の確保を要望した。さらに、2月7日に実施された県の原子力防災訓練にも言及し、防災体制の不断の見直しと改善が不可欠だと強調。事故やトラブル時の迅速な情報共有を含め、継続的な助言を求めた。また、いちき串木野市の中屋謙治市長からは、川内原子力発電所のすぐ南に同市が位置するため、冬場の季節風が強い時期に発電所で事故があった際、立地する薩摩川内市よりも被害が大きいのではないかと懸念する住民が一定数いることを明かし、規制委による専門的・科学的見地に基づく厳格な審査が何より重要だとコメントした。その他、電源三法交付金制度について「立地自治体に極めて偏った制度ではないか」との認識を示し、市民が納得していない状況が見受けられると述べた。その他、阿久根市の西平良将市長からも、地域の防災拠点や避難経路の整備、また、電源三法交付金の増額など財政的な支援が要望され、いちき串木野市の中屋市長同様、同件すべてが規制委の所管でないことを理解しながらも、立地自治体が置かれている現状や課題について理解を深めてほしい旨が伝えられた。
02 Mar 2026
853
総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(座長=斉藤拓巳・東京大学大学院工学系研究科教授)が2月26日に開催され、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況および次世代革新炉開発ロードマップ(案)を中心に議論が進められた。今年度最後の開催となった同WGでは冒頭、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた検討状況について、内閣府から説明があった。政府は、昨年5月に改定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」で、世界に先駆けた2030年代のフュージョンエネルギーによる発電実現を目標に掲げている。同戦略では、バックキャスト(理想の将来像から逆算し、今、行うべき活動やその優先順位を決める思考法)によるロードマップを策定するとともに、量子科学技術研究開発機構(QST)等のイノベーション拠点化の推進、そして、フュージョン産業のエコシステムの構築を進めている。WGでは、内閣府が進めるタスクフォースによる「フュージョンエネルギーの社会実装に向けたロードマップ案」の取りまとめの進捗が示され、民間企業が商用プラントを建設・運営し、発電収益が得られている姿を描けるような体制作りの重要性が指摘された。そして、当面はBA活動(幅広いアプローチ:Broader Approach)やQSTによる基盤整備を加速するとともに、米国型のマイルストーン方式によるスタートアップ支援を導入する方針が示された。コスト面では、発電実証プラントの建設費を合理的水準に抑えることが課題とされ、米国の水準(50MW規模で総建設費60億ドル未満)を参考にしながら、日本側も国際競争力のある水準を目指すという。次に同WGでは、「次世代革新炉開発ロードマップ(案)」の抜粋版をもとに議論が行われ、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉それぞれの社会実装に向けた課題と今後の対応が議題に上がり、各炉型に共通する課題として、サプライチェーン、人材、国民理解の3点について改めて言及された。その後、自由討論と質疑応答が行われ、各委員からさまざまな意見が寄せられた。産業界の立場から参加している大野薫専門委員(日本原子力産業協会)は、提示されたロードマップ案について「産業界の声をしっかり受け止めていただいたものと歓迎している」と評価した上で、制度面や事業環境整備の重要性について4点を指摘した。まず大野委員は、革新軽水炉の事業環境整備について、政府の信用力を活用した融資制度に加え、投資回収の予見性を確保する仕組みや、他律的要因によるリスクを合理的に吸収するルールの設定が、事業者の投資決定に先立ち必要との認識を示した。小型軽水炉についても、フリートで導入される場合など原子力特有の事業リスクは革新軽水炉と同様であるとして、同様の融資・投資回収制度の導入を求めた。また、多様な資金調達を可能とする観点から、原賠制度の総合的な検討も必要と指摘し、これらの制度整備はプラント導入時期から逆算して適切な時期に完了すべきだと強調した。次に、小型軽水炉の規制の在り方について、海外では社会実装段階にある一方、国内ではPAZ(予防的防護措置を準備する区域)やUPZ(緊急防護措置を準備する区域)を含む規制の予見性が十分とは言えない指摘。社会実装を推進するために、事業主体が明確でない段階からでも規制の在り方を検討する枠組みが必要との考えを示した。さらに、フュージョンエネルギーについて、新技術による事業には極めて大きなビジネスリスクを伴うため、自由化された電力市場の下では、まず「産業政策」の観点からの政策措置の検討が先行すべきとの見解を述べた。最後に大野委員は、サプライチェーンと人材の課題にも触れ、昨年10月の原子力小委員会で約7割の企業が人材確保に苦戦しているとの指摘があったことを紹介。中小企業の多いサプライチェーンにおける人材確保の問題について、改めて対応の必要性を訴えた。
27 Feb 2026
1515
電気事業連合会は2月20日、六ヶ所再処理工場およびMOX燃料工場の暫定操業計画や直近の状況変化を踏まえ、最新のプルトニウム利用計画を公表した。同計画では、2026年度から2028年度までの3年間における各社の利用量が示され、各社合計のプルトニウム保有量は2025年度末で40.1トンとなる見込みだ。2026~2028年度の利用計画では、関西電力高浜3、4号機(PWR、各87.0万kWe×2)で2026年度と2027年度に各0.7トンを利用する計画。年間利用目安は約1.1トンとされている。一方、六ヶ所再処理工場およびMOX燃料加工施設の暫定操業計画(2026年1月28日公表)に基づく再処理回収見込みは、2026年度0.0トン、2027年度0.6トン、2028年度1.4トン。これらを反映した所有量合計は2026年度39.4トン、2027年度39.3トン、2028年度40.7トンと見通されている。さらに同計画では、2022年12月には具体的な行動計画を取りまとめ、地元理解の促進や事業者間の連携強化を打ち出した。そして、各社の地元理解に向けた各社の情報や知見を共有するとともに、自社が保有するプルトニウムは自社の責任で消費することを前提に、事業者間での交換も進めている。電気事業連合会は、資源に乏しい日本にとって、原子燃料サイクルの確立は将来にわたるエネルギー安定確保の観点から重要な課題と改めて強調。福島第一原子力発電所の事故以降、原子力を取り巻く環境は変化しているものの、再処理によって回収した資源を有効活用する方針は変わらず、2030年度までに少なくとも12基の原子炉でMOX燃料を使用した発電を実施することを目標としている。
25 Feb 2026
1154
福井県は2月18日、原子力発電所の解体に伴い発生した「クリアランス金属」を加工した鉄筋が、県内2か所で行われている橋梁工事の建設資材に使用されたと発表。同日、その施工現場を報道陣に公開した。クリアランス金属を公共工事の建設資材に活用するのは全国で初めて。同事業のクリアランス金属は、日本原子力研究開発機構(新型転換炉原型炉「ふげん」)が提供している。クリアランス金属とは、原子力発電所の解体などに伴って発生した廃棄物のうち、放射能レベルが極めて低く、人の健康への影響を無視できると国が確認した金属を指す。所定の基準を満たし、国の認可を受けたものについては、一般の金属と同様に再利用や処分が可能だ。今回、クリアランス金属を加工した鉄筋(クリアランス鉄筋)が採用されたのは、敦賀市と南越前町で進む橋梁工事の2つの現場だ。敦賀市松栄町では、松原橋の下部補強工事が進められており、2基ある橋脚のうち1基を対象に約23トンのクリアランス鉄筋が使用されている。一方、南越前町鯖波では「(仮称)鯖波大橋」整備工事の下部工事が行われ、4基ある橋脚のうち2基を対象に約31トン分のクリアランス鉄筋が採用された。福井県ではすでにクリアランス制度の理解促進活動が活発に行われ、同金属を活用した製品が福井大学構内のベンチや若狭サイクリングルートのサイクルラック、福井南高校の防犯灯などで採用されてきた実績がある。また、資源エネルギー庁によると、令和7年8月時点で、全国26都道府県において約6,800個のクリアランス物が再利用されているという。一方で、クリアランス金属の消費は限定的で、これまで、鋳造用途に限定される傾向があった。こうした状況を踏まえ、福井県は国や電力事業者と連携し、制度への理解促進に取り組んでおり、今後は需要規模の大きい建設資材向けの加工・活用はもとより、用途を限定せず一般社会で広く活用できる「フリーリリース」の実現を目指している。
24 Feb 2026
1156
全国各地の魚介グルメを集めた大型フードイベント「SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 (魚ジャパンフェス)in 代々木公園」(主催:SAKANA&JAPAN FESTIVAL実行委員会)が、2026年2月20日(金)から23日(月・祝)までの4日間、東京都渋谷区の代々木公園イベント広場およびケヤキ並木で開催される。後援は水産庁、復興庁、経済産業省、福島県。なかでも注目されるのが、東日本大震災から15年の節目を迎える福島の復興応援企画だ。「常磐もの」として知られる福島県産の魚介を使った料理の提供だ。県産フルーツを活用したスイーツも登場するという。さらに、来場者が体験型で参加できる企画も用意されており、味わうだけでなく、楽しみながら福島の魅力や復興の歩みに触れられる場となる。SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 in 代々木公園は、東京都渋谷区の代々木公園イベント広場~ケヤキ並木で開かれる。開催時間は、20、21、22日が10時~20時、23日が10時~18時。入場無料(飲食代は別途)。
20 Feb 2026
938
一般社団法人六ヶ所村観光協会は2月21、22日の両日、武蔵小山商店街パルム会館(東京都品川区)で「北の恵み 青森六ヶ所村マルシェ」を開催する。村内生産者によるりんごや長芋、にんにく、しじみ貝などの特産品を販売する。同村の担当者によれば、今回の出展は、観光協会が指定管理を担う特産品販売施設「六旬館」の商品PRの一環。県外への出展は年間数回(都内3~4回、東北1回、九州1回、関西1回程度)行っているが、武蔵小山商店街への出店は今回が初めてとなる。住宅街に隣接する商店街での展開も初の試みで、今後も継続的な展開を目指す方針だ。開催時間は21日が10時~18時、22日が10時~17時。2,000円以上の購入者には、六ヶ所村産長芋を原料とした長芋焼酎「六趣」のミニボトルを数量限定で進呈する。また、同村からは同時期に開催される「SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2026 (魚ジャパンフェス)in 代々木公園」にも出展(一般社団法人あおもりウォーズ)。青森県内で鮮魚販売や魚食普及、担い手育成などに取り組む「あおもりウォーズ」の橋本翔代表理事は、青森県は日本海と太平洋の両方に面する地理的特性を持ち、ホタテやサケ、サバ、イカ、ヒラメなど、多様な水産資源に恵まれている点が強みだと強調。「青森の魅力を東京、そして世界に発信したい」と意気込みを語った。同フェスでは、鯖のゴマ味噌ラーメンや六ヶ所村の地酒などを提供している。
20 Feb 2026
690
石原宏高環境大臣は2月10日の記者会見で、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で貯蔵されている除染土のうち、放射能濃度が比較的低く再利用が可能とされる「復興再生土」について、新たな再利用先を今秋までに決定する方針を明らかにした。除染土は、福島第一原子力発電所事故後の除染活動で発生した土壌で、法律により2045年3月までに福島県外で最終処分することが定められている。最終処分の量を可能な限り減らすため、一定の基準を満たす土壌を公共事業などで活用する「復興再生利用」が進められている。環境省は昨年9月、再利用対象となる低濃度土壌を「復興再生土」と位置付ける方針を正式決定。政府は昨年8月に策定した県外最終処分に向けたロードマップに沿って、再利用実績の積み重ねと国民理解の拡大を図るとしている。2025年7月には、復興再生土が首相官邸の前庭で芝生の基盤材として使用されたほか、霞が関の省庁敷地内の花壇などでも再利用され社会的な関心を集めた。政府中枢での使用は、安全性への理解を広げる象徴的な取り組みと位置付けられている。石原大臣は「秋までには再利用する場所を必ず見つけられるよう、全力を尽くしたい」と述べた一方、地域住民の理解を得ながら慎重かつ着実に進めていくことの重要性も示唆し、関係各位に理解を求めた。
19 Feb 2026
924
福島県双葉町と富岡町では2月13日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制緩和区域が追加設定されたと発表した。福島県双葉町では約160ヘクタールが、富岡町では、約55ヘクタールの地域が新たに追加設定され、2月13日付で内閣総理大臣から計画変更の認定を受けた。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。東日本大震災と福島第一原子力発電所事故に起因する影響で、現在も避難指示が継続している帰還困難区域に該当する各市町村では、「特定帰還居住区域復興再生計画」を作成し、内閣総理大臣の認定を受け、特定帰還居住区域内の除染やインフラ整備等を一体的に進めてきた。現在、双葉町と富岡町どちらも、対象区域の一部で年間20mSvを上回る地点もあるものの、空間線量は概ね20mSv/年以下まで低下しているという。双葉町、富岡町双方とも、2020年代までに帰還意向のある住民全員が特定帰還居住区域に戻れるような環境整備を進め、復興と再生を進め、この度、追加認定された区域でも、線量低減や家屋解体、上下水道などのインフラ復旧を進め、1日も早い避難指示解除を目指すとしている。
18 Feb 2026
1112
東京電力は2月16日の午後10時、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の発電機を送電系統へ接続(本並列)したと発表した。同日未明(午前3時頃)、同機は試験的に送電系統へ接続する「仮並列」を行い、発電機出力を定格電気出力の約20%(約27万kW)まで上昇させ、発電機の運転状態を確認していた。その後、一度送電系統から切り離して発電機出力を0%に下げた後、タービン保護装置の健全性確認として、タービンの回転を定格回転数以上に上昇させ、自動でタービンが緊急停止することを確認。そして、再度、発電機を送電系統へ接続(本並列)し、発電機出力を定格電気出力の約50%(約68万kW)まで徐々に上昇させた。同社は今後、2月20日から下旬にかけて一度「中間停止」を実施し、その後、原子炉の起動・昇圧工程を再開する予定だ。この中間停止では、前半の出力上昇試験(20〜50%)で取得した各種データやプラントの挙動を詳細に評価・確認する。主にタービン系統を対象に、起動過程における温度や圧力の変化、設備運転に伴う振動などを点検し、機器や配管などに異常がないかを確認するという。こうした評価を通じて安全性を確かめたうえで、プラントの再起動工程へ移行する計画だ。再起動後は、原子炉出力を段階的に引き上げながら、安定した連続運転が可能であることを確認していくとしている。同社は総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。同6号機が発電開始したことを受け日本原子力産業協会の三村明夫会長は、「心より歓迎したい」とのコメントを公表。再稼働に至るまで約14年にわたり尽力してきた関係者の取り組みに敬意を表した上で、新潟県や柏崎市、刈羽村をはじめとする地元自治体・住民の理解と判断に対し、深い感謝の意を表明した。続けて三村会長は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は電力供給の安定性を高め、化石燃料の調達リスクや価格変動リスクの抑制を通じて、日本のエネルギー供給の強靭化に大きく貢献すると指摘。とりわけ、供給予備力の確保が課題となっている首都圏を含む東日本において、その意義は極めて大きいとの認識を示した。さらに中長期的には、電力需要の増加が見込まれる中で、経済性の高い脱炭素電源による安定供給が実現することは、日本経済の成長と国際競争力を支える基盤になると強調した。そのうえで、原子力の活用において最も重要なのは安全の確保と立地地域からの信頼だとし、東京電力に対し、ガバナンス強化や地域経済への貢献などの取り組みを着実に進め、立地地域との対話を重ねながら安全・安心の確保と地域活性化に努めることに期待を示した。また、原子力産業界として、低廉な脱炭素電力の安定供給という社会的要請に応えるため、高い安全性と品質の確保に不断の努力を重ねていく考えを示した。
17 Feb 2026
1287
大手光ケーブル・電子機器メーカーのフジクラは2月9日、フュージョンエネルギー開発の進展に伴って需要拡大が見込まれる「高温超電導線材」の増産に向け、56億円の設備投資を実施すると発表した。同社はすでに2024年度、約60億円を投じ2027年度までに高温超電導線材の生産能力を従来の約3~4倍へ引き上げる工場の拡張を進めている。そして、今回の追加投資により拡張後の生産能力をさらに約2倍に高める計画で、最終的には現在の約6~8倍の規模まで増強する見通しだ。こうした段階的な設備投資により、フュージョンエネルギー分野での拡大が見込まれる高温超電導線材の需要に対応し、安定供給体制の確立を図る狙いがある。核融合発電は、約1億℃になった燃料(高温プラズマ)を閉じ込めておく磁場が必要(磁場閉じ込め方式の場合)になるが、高温超電導線材は、その強力な磁場を発生させる超電導コイルに使用される。同社の同製品は高温時でも超電導状態を維持し、極めて強い磁場の生成が可能な点が特長だ。これまでに同社は、核融合発電の実用化に取り組む京都大学発のベンチャー企業「京都フュージョニアリング」や、同じく核融合発電の商用化を目指す米国のスタートアップ企業「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)社」への出資を行っている。また、英国の核融合開発プログラムを実行するための機関である「インダストリアル・フュージョン・ソリューションズ(UKIFS)」と高温超電導線材の供給に関するフレームワーク契約を締結するなど、グローバルにフュージョン関連事業に参画している。
16 Feb 2026
2832
経済産業省・資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)は2月8日、地層処分事業の理解に向けた学習支援事業に取り組む団体らによる交流の場、「みんなで繋がる!全国交流会」を開催した。2015年度から実施している同交流会は、今年度で11回目。今回、過去最多の54団体122名が参加した。NUMOでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する学習活動への支援「学習支援事業」を長年手掛けており、同交流会もその一環だ。交流会は2部構成で実施され、第1部では「地層処分を未来に繋げるために、いま私たちができること」をテーマに9団体によるプレゼン形式の活動報告が実施された。第2部では各団体のブース出展やポスターセッションなどの交流イベントが行われた。交流会の冒頭、挨拶に立ったNUMOの山口彰理事長は、地層処分事業の学習活動を進める各団体や関係者、施設見学等に協力した関係機関に謝意を示した上で、地層処分事業の理解を深めるには、「知る」「考える」「話し合う」の積み重ねが重要だと強調。参加者同士が語り合い、意見を交わし、学びを広げる機会にしてほしいと呼びかけた。また、各団体や関係者間のネットワークを広げる場となることに期待を寄せた。続いて挨拶に立った資源エネルギー庁の横手広樹氏(電力・ガス事業部放射性廃棄物対策課長)は、同交流会が始まった2015年は、国の地層処分政策が抜本的に見直された年だったと振り返り、以来、地層処分事業の学習支援事業を強化し、国民的議論の輪を広げてきたと述べた。一方で、現在、北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県玄海町の3つの地域で文献調査を進めているが、高レベル放射性廃棄物の最終処分は原子力発電所の立地地域だけの問題ではなく、消費地を含めた全国で向き合うべき課題だと改めて強調。最終処分は将来世代に先送りできない国家的課題であるとし、同交流会の参加者に対し、引き続き課題解決に向けた取組みへの協力を呼びかけた。発表に参加した京都教育大学付属京都小中学校の安藤寛太さん(中学1年)は、「立地地域では理解活動が少しずつ進んでいると感じる一方で、日本全国に向けて地層処分の安全性や各データを示し、地層処分への理解を広げていく必要があると思う」と述べた。また、「人前で発表することに緊張もあったが、今後は発表の機会を増やし、理解しながら伝える力を身に付けていきたい」と語り、今後の活動の刺激になったと目を輝かせていた。同じく発表に参加した名古屋学院大学現代社会学部の林真帆さん(大学3年)は、「地層処分や原子力の問題になると距離を感じる学生も多く、身近な課題として捉えてもらうことが課題」と指摘した。また、「今回の交流会で全国に同じテーマで学ぶ仲間がいることを初めて知った」と語り、他校の取り組みと比較しながら得た学びを、来年度の履修や今後のキャリアに生かしていきたいと意欲を示した。
13 Feb 2026
867
量子科学技術研究開発機構(QST)と双日マシナリー、スギノマシンの3者は2月9日、国際核融合プロジェクトITERの重要部品であるブランケットの初期組立用ツールの制作に着手したと発表した。当初はITER機構が自ら開発・調達を行う予定だったが、技術的難易度の高さから開発失敗のリスクが懸念されていた。一方、QSTは2011年からブランケットを遠隔操作で保守・交換するためのシステムの調達を担っており、そこで培った技術が同機構から高く評価されていたという。こうした実績を踏まえ、同機構の要請を受け、3者で初期組立用ツールの製作を進めることになった。双日マシナリーは、海外メーカーと連携し、福島第一原子力発電所の廃止措置など、放射線環境下での作業に対応する技術導入を支援している。QSTは2023年から同社と共同でITER向け遠隔保守ツールの開発を進めてきた。一方、スギノマシンは原子力施設向けの機器システムの開発・製品化、燃料取扱機器や原子炉設備の運転機器を提供。QSTとは2015年から共同開発を進めている。またこれまで、遠隔保守システムやダイバータ、トロイダル磁場コイル(TFコイル)など、ITERの主要機器の開発・製作において日本企業は重要な役割を担っており、QSTが中心となって調達活動等を進めてきた。ブランケットとは、核融合炉の内部でプラズマの周囲を取り囲む装置で、トリチウム製造と発電用の熱を取り出す役割を担う。核融合炉では、炉心のプラズマを囲むように数百個のブランケットが設置されるが、このブランケットは、核融合炉を長期間安定して運転するうえで欠かせない3つの主要な機能を持つ。①核融合反応で発生する中性子から外部の機器を保護する遮へい機能、 ②中性子のエネルギーを熱として取り出し、発電に利用する機能 、③その中性子を利用して核融合燃料となるトリチウム(三重水素)を生成する機能である。ブランケットの初期組立は2032年から数か月かけて実施する計画で、2034年のプラズマ運転開始に向けた重要な工程の一つに位置づけられている。今回の製作で得られる知見は、将来の日本国内における核融合原型炉の建設への活用が期待される。
12 Feb 2026
1315
日本独自のヘリカル型核融合炉を開発するHelical Fusion(ヘリカルフュージョン)は2月5日、富山県に本社を構える産業機械メーカーのスギノマシンと連携し、最終実証装置「Helix HARUKA(ヘリックス・ハルカ)」の最重要部品のひとつ「高温超伝導コイル」の製作マシンを完成させた。同装置が「Helix HARUKA」の組み立て作業において重要な役割を果たすことになる。同社はすでに、最終実証装置「Helix HARUKA(ヘリックス・ハルカ)」の製作・建設に着手しており、2030年代中には「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の核融合の実用発電計画を進めている。ヘリカルフュージョンは、複雑な形状でプラズマを制御する「ヘリカル方式」を採用。らせん状に曲げたコイルを用いて強力な磁場のかごを形成し、内部に閉じ込めた高温・高圧のガスで持続的に核融合反応を起こし、発生する膨大なエネルギーを発電に利用する仕組みだ。一方でらせん状のコイル製作は複雑で難易度が高く、ヘリカル方式を採用する上での長年の課題とされてきた。しかし2025年10月には、コイル製作を最適化できるよう、独自に開発した曲げやすく巻きやすい「高温超伝導ケーブル」の実証に成功。これを受けて、「Helix HARUKA」の製作に着手した。そして今回、同社のアイデアを基にスギノマシンの設計・開発力によって高温超伝導ケーブルをらせん状に巻きつけてコイルを製作するための装置が完成。これにより、高性能なコイルを素早く効率的に製作可能になるという。同装置は、2026年半ばにHelix HARUKAの建設地へ搬入し、組み立てを開始する予定だ。
10 Feb 2026
1220
東京電力は2月9日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午後2時に制御棒を引き抜き、原子炉を起動したと発表。そして、午後3時過ぎ、臨界を達成した。現在作業中の工程は原子炉起動・昇圧の段階にあたる。この後、タービン起動・発電機並列を経て、一度「中間停止」を挟み、再び原子炉起動・昇圧の工程から再開する。中間停止をする理由について同社は、前半(出力が20〜50%)の試験で得られたデータやプラントの挙動を、一旦詳細に評価・確認するためだとしている。連続して出力を上げるのではなく、一度原子炉を停止して慎重に評価を行うことで、更なる安全性を確認してから、定格出力(後半)工程へ進む計画だ。同社は総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。
09 Feb 2026
2131
核融合発電の実用化を目指す京都フュージョニアリングは1月29日、米エネルギー省(DOE)と戦略的パートナーシップを締結した。日米の官民が連携し、将来の核融合発電の商業化に不可欠な基盤技術の成熟を加速させる。本パートナーシップの中核として、同社は米オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)と連携し、新たな研究プロジェクト「UNITY-3」に着手する。核融合反応時に発生する中性子環境を精密に再現し、増殖ブランケット技術の性能検証を行う研究基盤をORNL構内に整備する計画で、核融合炉の実用化に向けた重要課題の解決を図る。京都フュージョニアリングはこれまで、核融合炉周辺技術の実証を目的とした「UNITY」シリーズを段階的に展開してきた。京都府久御山町の同社研究施設では、発生エネルギーの利活用を見据えたブランケット・熱サイクルシステムの検証を進める「UNITY-1」の試験を実施中。さらにカナダ・オンタリオ州では、燃料の回収・供給を担うフュージョン燃料サイクルシステムの実証施設「UNITY-2」を建設しており、2026年内の運転開始を予定している。同社は、核融合発電の実現には、中性子を扱う原子力技術や燃料サイクル、増殖ブランケットといった要素技術を、段階的かつ体系的に高度化していくことが不可欠だと指摘。今回のパートナーシップにより、自社のプラントエンジニアリングやシステム統合の知見と、DOEおよび国立研究所が有する最先端の研究基盤を組み合わせ、将来の商業炉建設に向けた技術的ハードルの克服を目指す。小西哲之代表取締役会長は、「日本のエンジニアリング力と民間企業の技術を活かし、フュージョンパイロットプラントでの発電実証、さらには商業化に向けた技術課題の解決に貢献していきたい」と述べた。
09 Feb 2026
1254
東京電力は2月6日の記者会見で、同9日に柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)を再起動すると発表した。同6号機は1月21日、制御棒の引抜操作を開始し原子炉を起動したが、制御棒の引抜操作時に操作監視系の警報が発生したため、同作業を中断。東京電力は本日、警報設定の不具合などの原因を特定し、対策を終えたとして、原子炉の起動工程を明らかにした。同社によると、原子炉の起動を2月9日、総合負荷性能検査を3月18日に予定。同検査に合格後、営業運転を開始する。また、これらの内容を記載した使用前確認変更申請書を9日午後に原子力規制委員会に提出する。同社によると、6号機の制御棒駆動機構・電動機制御盤の警報が発生した原因は、電動機の始動時の電流の挙動にあったという。調査の結果、電動機に電気を送る3本の電線のうち1本で、稀に電流の立ち上がりが遅くなるケースが確認(欠相)された。この遅れ自体は正常動作の範囲内であったが、制御棒を動かすモーターの速さを調節する「インバーター」がこれを異常と判断し、警報が発報した。この検知機能は、2023年の設備更新時に導入した新型インバーターに追加された機能で、モーターに接続する電線などの異常を検知した際、警報を発する仕組みだ。設備保護のための停止機能は別に備わっているが、当該機能は、不具合発生時の原因特定を容易にする目的で設定されていたという。同社では今回の事案を踏まえて、すべての制御棒駆動機構のインバーターで当該検知を行わない設定に変更。その上で、制御棒駆動機構を1本ずつ作動させ、問題がないことを確認した。一方、複数の制御棒を同時に引き抜く動作は原子炉起動時にしか確認できないため、起動操作の中で電動機の始動時の挙動を確認するという。
06 Feb 2026
1104
横河電機は2月2日、英ロールス・ロイスSMR社と、小型モジュール炉(SMR)向けにデータ処理・制御システム(DPCS)を供給する戦略的協業契約を締結したと発表した。ロールス・ロイスSMR社がグローバル展開を計画する、SMRの初期複数ユニットが対象となる。本協業による具体的な参画範囲は、SMR向け基幹制御システムの設計、エンジニアリング、検証および認証、ハードウェア供給、システム構築・試験、設置および試運転に至るまで、幅広い工程に及ぶ。英国チェシャー州ランコーンにある販売・エンジニアリング拠点を中核に、チェコやオランダの拠点とも連携して本プロジェクトを推進するという。同社は本協業に伴い、英国で相当規模の投資を行う方針を示しており、現地雇用の創出や原子力サプライチェーン強化への貢献を見込んでいる。横河電機の中岡興志執行役専務は、「次世代原子力に向けた技術・ソリューション創出に、ロールス・ロイスSMRとともに取り組めることを光栄に思う」とコメント。産業オートメーション分野で培った技術を活かし、安全性と信頼性に優れた制御システムの提供を通じて、持続可能な原子力利用に貢献していく考えを示した。一方、ロールス・ロイスSMR社のオペレーションおよびサプライチェーンディレクターのルース・トッド(Ruth Todd)氏は、「今回の契約は、世界展開に向けた初号機実現を加速させる重要な節目」と述べ、英国内での雇用創出や人材育成、立地地域の経済発展に期待を示した。英国では昨年11月、Great British Energy ‒ Nuclear(GBE-N)が北ウェールズのウィルヴァ・サイトを「英国初のSMR建設地」として正式選定。ロールス・ロイスSMR社製SMR(47万kWe)×3基を建設する計画が公表されている。そのほか同社は、チェコではチェコ電力(ČEZ)から最大3GW規模の新規原子力発電所の建設パートナーに選ばれている。さらに、スウェーデンでは、同国の国営電力会社バッテンフォール(Vattenfall)社による原子力技術パートナー選定において、最終候補に残るなど、欧州各国で事業展開を進めている。
05 Feb 2026
1077