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米エネ省のVTR計画への支援でGEH社がテラパワー社と協力
2018年に米エネルギー省(DOE)の「多目的試験炉(VTR)」プログラムの支援企業に選定されたGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は1月21日、ビル・ゲイツ氏が出資する原子力開発ベンチャー企業のテラパワー社と共同で、VTRの設計と建設に向けた官民協力を推進していくと表明した。VTRは、新型炉に使われる革新的な原子燃料や資機材、計測機器等の開発で重要な役割を担うナトリウム冷却式の高速スペクトル中性子照射試験炉となる予定。DOEは官民の費用分担で同プログラムを進めたいとしており、テラパワー社はすでにVTRの設計促進等で同プログラムを支援中。DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)で運営を担当するバッテル・エネルギー・アライアンス(BEA)が、昨年11月に費用分担パートナーシップの構築をDOEに代わって関係者に依頼した際、GEH社とテラパワー社は共同で提案書を提出していた。また、ワシントン州の地方自治体など27の公益電気事業者で構成されるエナジー・ノースウェスト社は両社の連携協力を支援していく考え。これに続くその他の企業や投資家が、両社の取組に追加で参加する意思を表明している。米国には現在、高速スペクトル中性子の照射を行える施設が存在せず、それが可能なVTRの国内建設は、2018年9月に成立した「2017年原子力技術革新法(NEICA2017)」でも必要性が強調されていた。DOEは、GEH社のモジュール式ナトリウム冷却高速炉「PRISM」で実証済みの技術をVTR開発に活用する方針で、2019年3月にはVTRの概念設計に取りかかると発表。VTRプログラムを通じて建設プロジェクト全体のコストやスケジュールの見積作業を進め、本年中には建設の可否について最終的な判断を下す。建設が決まれば、2025年12月までに建設工事をINL内で完了し、2026年から最大限に利用できる施設として運転開始することになる。GEH社は今回の連携によって、ナトリウム冷却炉の技術で豊かな経験を有するエンジニアや科学者の最強チームが結成されると説明。双方のチームがVTRの設計と資機材調達・建設に関する特殊な経験を互いに補い合えるとした。テラパワー社は第4世代の進行波炉(TWR)を開発するため、10年にわたってナトリウム技術の開発に投資を行っているが、原子力のポテンシャルを最大限に活かすには、新素材の実験や最新技術の実証に対する投資で産業界と政府が協力していかねばならないと指摘した。また、同社によれば米国の原子力産業界は、原子力技術で世界のリーダーシップを握るため、次世代の原子力技術を構築する準備が出来ている。VTRによって原子力技術革新の基盤が米国にもたらされ、それが米国の経済や国家安全保障を促進することになるとしている。(参照資料:GEH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月22日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 23 Jan 2020
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米エネ省、オクロ社の小型高速炉建設用にアイダホ研の敷地使用を許可
米エネルギー省(DOE)は12月10日、カリフォルニア州を本拠地とする超小型原子炉の開発企業、オクロ(Oklo)社が設計した小型高速炉「オーロラ」(=完成予想図)を、傘下のアイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設することを許可すると発表した。これは、先進的原子力技術の商業化支援イニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の一環となる措置であり、DOEはこれまでにユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)に対しても、INLの敷地を使ってニュースケール・パワー社製・小型モジュール炉(SMR)の初号機を建設することを許可している。オクロ社は、「非軽水炉型の先進的原子炉設計として、INLサイトの使用許可が下りたのは初めて」と強調しており、2020年代初頭から半ばにかけての「オーロラ」着工を目指す。同社は今のところ、「オーロラ」の設計認証(DC)審査や建設・運転一括認可(COL)などを申請していないが、その商業化に向けた重要な一歩になったとしている。オクロ社によると、「オーロラ」は電気出力0.15万kWのコンパクト設計で、米国でこれまでに開発・実証されてきた先進的な金属燃料を使用。冷却水が不要であり、少なくとも20年間は燃料交換なしで熱電併給を続けることが可能。また、究極的には燃料をリサイクルしたり、放射性廃棄物からクリーン・エネルギーを取り出すこともできる。米原子力規制委員会(NRC)はすでに2016年から、X-エナジー社の「小型モジュール式・高温ガス炉(Xe-100)」やテレストリアル・エナジー社の「小型モジュール式・一体型溶融塩炉(IMSR)」などと同様、「オーロラ」設計に対して「認可申請前活動」を適用。許認可申請のガイダンス提供や、潜在的な課題の事前の指摘などで、オクロ社が申請書を提出する準備作業を支援していた。今回、DOEが発給したサイト使用許可は「オーロラ」が運転を終了するまで有効なもので、着工前にオクロ社がクリアしなければならない様々な要件や許認可手続きを明示。使用したサイトは最終的に元の状態に戻して返還しなければならないが、DOEは同許可の発給により、新しいクリーン・エネルギー技術、中でも特に、先進的核分裂技術の商業化という誓約を明確にしたとオクロ社は評価している。(参照資料:DOE、オクロ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 13 Dec 2019
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新型原子炉用HALEUの生産実証で米セントラス社がエネ省と3年契約
米メリーランド州のセントラス・エナジー社(旧米国濃縮会社(USEC))は11月5日、新型原子炉用の燃料として使用が見込まれているHALEU(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)の生産能力を実証するため、遠心分離機カスケードをオハイオ州パイクトンの「米国遠心分離プラント(ACP)」に配備するという3年契約を米エネルギー省(DOE)と締結した。HALEUを国内で確保できなければ、米国が世界の新型原子炉開発市場でリーダー的立場を確立する上で、大きな障害になることは広く知られていると同社は指摘。2017年の調査によると、米国内で新型原子炉を開発している大手企業のうち67%が、「HALEUの供給確保は緊急の課題」あるいは「重要課題」と回答したという。今回の契約の下で、同社は独自に開発した新型遠心分離機「AC100M」、およびHALEU生産用のカスケードを構成するインフラについて、許認可手続と建設・組立および運転を請け負うことになる。HALEUで製造した燃料は、米国の政府と民間の両部門で開発されている数多くの新型原子炉で必要となる一方、国内で商業的に入手することは困難。典型的な既存の原子力発電所ではU235の濃縮度が5%程度のウランを燃料に使用するのに対し、HALEUではこれが最大で20%となるため、セントラス社は「技術面と経済面ともに潜在的な利点がある」とした。一例として、ウラン濃縮度が高まることによって燃料集合体や原子炉を小さくすることが出来、燃料交換の頻度は低下すると同社は指摘。原子炉内では高い燃焼度を達成できるため、燃料の必要量が少なくなり、結果的に放射性廃棄物の排出量も少なくなる。HALEUはまた、米国をはじめ世界中で稼働している既存の原子炉に対し、将来的に次世代燃料を製造する際に用いられる。HALEUをベースとするこれらの新しい燃料であれば、既存の原子炉で発電量を増やしつつ、経済性を改善し固有の安全性も得られると同社は説明している。DOEとセントラス社による今回の連携プログラムは、今年5月末に両者が調印した予備的合意書簡に基づき進められてきた。セントラス社のD.ポネマン社長兼CEOは、「(この連携により)次世代の新型原子炉への移行を米国がリードする一助になる」と指摘。官民の両部門で様々な使命を持つ新型原子炉に、同社が力を与えられると確信していると述べた。また、国産HALEU技術への投資は、新型原子炉や燃料を開発している顧客のニーズに同社が応えることを可能にすると強調した。米国内では現在、HALEUの製造が直ちに可能な商業施設が存在せず、DOEはアイダホ国立研究所(INL)内に保管中のHALEU約10トンを使って、原子燃料を製造加工するパイロット・プログラムを推進中。昨年10月に、同プログラムが周辺環境に大きな影響を及ぼすことはないとする評価結果(案文)を1か月間、パブリック・コメントに付しており、今年1月には、INL設備を使ってのHALEU燃料製造が決定している。(参照資料:セントラス・エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 07 Nov 2019
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【短信】米エネ省のペリー長官、年内に辞任する意向を表明
米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官は10月17日、今年中に長官職から退くとの意向をD.トランプ大統領宛ての書簡で明らかにした。同氏はトランプ政権発足直後の2017年3月からDOE長官を務めていたが、ここ数か月は、同大統領に対する弾劾調査の原因となったウクライナ疑惑への関与が取り沙汰され、下院からは召喚状を出されていた。(参照資料:DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)
- 18 Oct 2019
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