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規制委 福島第一廃炉作業の改善策を議論
原子力規制委員会は7月16日、特定原子力施設監視・評価検討会を開き、福島第一原子力発電所における廃炉作業の改善策等について東京電力から報告を受け、今後の取り組みなどをめぐって議論した。東京電力は福島第一の廃炉作業において、昨年10月から今年4月にかけ、作業員の負傷などを含むトラブルが相次いで発生したことを重視し、5月初旬から作業員全員が参加する形で作業点検を実施、6月7日に完了していた。作業点検件数(再開件数)は995件、うち防護措置の改善件数は675件だった。先の特定原子力施設の実施計画の審査等に係る技術会合(6月20日開催)において、作業点検の分析結果について報告した同社は、重大な見直しが必要な事案は確認されなかったが、廃炉の現場は通常炉より複雑な作業が多く、人への依存が高いという面があり、リスクアセスメントの強化やリスクアセスメント教育の強化等の改善策が必要であるとの認識を示していた。その際、規制委から背景要因を深堀りし、さらに踏み込んだ分析が必要との指摘がなされていた。指摘を踏まえて同社は、共通要因分析を通じて得られた改善策と今後の取り組みについて、この日の検討会で報告した。要因分析については、昨年10月に発生した増設ALPS配管洗浄作業における身体汚染、今年2月に発生した高温焼却炉建屋からの放射性物質を含む水の漏洩など4つの事案を対象とし、分析を通じて運用・設備・教育の面での改善策を6つに整理した。また、得られた改善策を現場に活かすための今後の取り組みについて同社は、必要な手順書の見直しや危機意識を高めるための安全教育の強化、CR(Condition Report)のさらなる活用、「変化があった場合は必ず立ち止まること」のワンボイスによる浸透をはかる等の取り組みを進める、とした。報告を受け、規制委からは福島第一の廃炉現場は通常の発電所とは異なることが常態化しており、作業の幅も広いため、CRの活用についても膨大な数になる可能性がある等の指摘がなされ、サイトの状況を考えて効果的に実施する必要があるとの認識が示された。東京電力は、「通常の発電所とは異なることを踏まえ、ひとつひとつトライし、実効性ある改善を図りたい」などと応じた。検討会を担当する伴信彦委員は「福島第一では膨大な作業が同時並行し、複雑な作業もある。再発防止対策をつくるだけでなく、実効的に機能しているかまで確認する必要がある」とし、今後も検討会で福島第一の作業改善について必要な議論を続けたいとの考えを示した。
- 16 Jul 2024
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規制委・審査会合 敦賀2号機の敷地内断層の評価めぐり議論
原子力規制委員会(規制委)は6月28日、原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合を開き、日本原子力発電(原電)の敦賀2号機(PWR、116万kW)敷地内に認められたK断層の連続性に関して議論した。規制委の審査チームは、K断層の活動性と連続性(K断層と原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性)の観点から同断層を評価する方針で、原電の説明および規制委が実施した現地調査の結果を踏まえて検討を進めている。この日の会合で原電は、ボーリング調査結果等をもとに同断層を分析したところ、破砕帯との連続性は認められないと説明した。審査チームは同社の説明に関する指摘事項や確認事項を示し、7月に開催予定の次回審査会合において説明するよう求めた。また審査チームは、次回会合でK断層評価に関する審議をしめくくり、敦賀2号機の新規制基準への適合性を判断する方針を示した。原電は、次回会合において断層の活動性に関する同社の見解を改めて説明する。これまでに、原電は現地ボーリング調査の結果分析等を踏まえて断層の活動性、連続性はいずれも認められないと説明したが、活動性に関して審査チームは、前回の審査会合(5月31日開催)において、活動性を否定する科学的根拠に乏しいとの見解を示していた。K断層の活動性と連続性をどう評価するかが、敦賀2号機の新規制基準への適合性を判断する重要なポイントになっているため、規制委がどのような技術的判断を示すかに注目が集まっている。なお、原電が敦賀2号機の再稼働にむけた新規制基準の適合性確認申請を行ったのは2015年11月5日。その後、2023年8月末に補正申請しているが、敷地内断層の評価を中心に議論が進められ、審査はおよそ9年にもおよんでいる。
- 01 Jul 2024
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規制委 大飯3-4号の30年超運転認可
原子力規制委員会は6月26日、関西電力大飯原子力発電所3-4号機(PWR、出力各118万kWe)について、新たな法令のもと、運転開始から30年を超えるプラントに要求される長期施設管理計画を認可した。高経年化した原子炉に対する規制の厳格化を含めた「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(GX脱炭素電源法)成立後、初の事例。昨夏に成立した同法では、規制側(原子炉等規制法)として、原子力事業者に対し、「運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年以内ごとに、設備の劣化に関する技術的な評価を行い、その劣化を管理するための計画を定め、原子力規制委員会の認可を受けること」を規定。一方、利用側(電気事業法)には、「原子力発電の運転期間は最長で60年」との現行の枠組みは維持。事業者が予見しがたい事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外することを定めている。法令は2025年6月に本格施行されることとなっており、現在は準備期間中。大飯3-4号機らには、それぞれ1991年12月、93年2月に運転を開始し、既に30年を経過していることから、施行日までに新法下による長期施設管理計画の認可が求められていた。関西電力は、2023年12月に同計画の認可を申請。今回の認可を受け、「国内外の最新知見を積極的に取り込み、プラントの設計や設備保全に反映していくことで、原子力発電所の安全性・信頼性の向上に努めていく」とのコメントを発表した。
- 28 Jun 2024
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高浜3・4号機の40年超運転を認可 規制委
原子力規制委員会は5月29日、関西電力の高浜発電所3・4号機(PWR、各87.0万kW)に係る20年間の運転期間延長について認可することを決定した。高浜3・4号機は、それぞれ2025年1月、6月に法令に定める40年の運転期間を満了する。関西電力は2023年4月、両機について「運転期間を60年」とする認可申請を規制委員会に行った。同社では、設備の劣化状況評価に関して、安全上重要な機器および構築物に対し、1基当たり約4,200機器に及ぶ20年の延長期間を想定した健全性評価を実施し、問題ないことを確認している。規制委は、審査会合や現地調査を通じ、40年超運転に必要な事業者による特別点検が適切に行われていることなどを確認。29日の定例会合では、5名の委員長・委員いずれからも異論なく、運転期間延長の認可が決定された。今回の延長認可を受け、関西電力は、「原子力発電所の安全性・信頼性の向上に努め、地元を始めとする皆様の理解を賜りながら、原子力発電を重要な電源として活用していく」とのコメントを発表。現在、同社の原子力発電プラント7基がフル稼働している状況だ。原子力発電プラントの40年超運転の認可は、関西電力高浜1・2号機、同美浜3号機、日本原子力発電東海第二、九州電力川内1・2号機に続き、これで計8基となる。そのうち、高浜1・2号機、美浜3号機が既に40年超運転に入っており、新規制基準施行後、再稼働の先陣を切った川内1号機も7月に40年超運転入りとなる見通し。
- 29 May 2024
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規制委・技術会合 福島第一の点検状況報告受ける
原子力規制委員会(規制委)は27日、特定原子力施設の実施計画の審査等に係る技術会合を開き、福島第一原子力発電所における作業点検実施の状況等について東京電力から報告を受けた。昨年10月に増設 ALPS 配管洗浄作業における身体汚染が発生して以降、今年4月までに作業員が負傷するなどのトラブルが相次いで発生したことから、同社では再発防止策の検討に加え発電所が一体となって作業の安全性を高める必要があるとし、5月初めから全ての作業員が参加する作業点検を実施している。報告によると、同社は各作業において把握しているリスク要因ごとのリスク分析が不足していたとの認識に立ち、現場状況を確認したうえで作業に応じたリスク要因を再評価。関係する作業員が双方向で議論できる環境を作って改善内容を導出し、認識を共有する方法をとって点検を進めている。5月23日時点で約730件の点検を実施した。これまでに重大な見直しにつながる事案はみられていないものの、今回の点検によって最新の現場状況を踏まえた更なる作業安全性向上のための現場改善等が抽出されたことから、作業手順の改善や放射線防護装備の運用指示の明確化などの改善を行っている。報告を受け、規制委の伴信彦委員は「共通要因が得られればそこにきちんと対応すべき」などとし、背景要因なども把握し必要な対策をしっかり講じる必要があるとの認識を示した。そのほか、原子力規制庁からは作業員の声をどのように改善につなげていくかが重要などとする意見が示され、次の会合で作業点検および分析の結果について東京電力からの報告を受け、背景要因についても議論することとした。このほか、この日の会合では福島第一発電所の廃炉作業にともなう各種の廃棄物処理等の計画についても東京電力から報告を受け、技術的な確認が行われた。このうち、ALPS(多核種除去設備)から発生するスラリー(泥状の廃棄物)を安全に保管するための安定化処理設備については、主に閉じ込め性能に関して報告を受け、基本的な考え方を確認。今後、設備運用やメンテナンス時における閉じ込め性能に関して詳細な点を確認することとした。他の技術的な論点として非常用電源に対する考え方や脱水物の保管の安全性などについても順次、検討を進めていく方針だ。保管容量の面でスラリー安定化処理設備の設置、運用は着実に進める必要があり、東京電力は今年度内に認可を受けて2025年度に設備の詳細設計を行い、工事に着手。2026年度にも運用を開始する計画を示している。原子力規制庁は同社に、全体のまとめ資料の提出をはじめ、審査に必要な情報を早めに提出するよう求めた。
- 29 May 2024
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高浜3・4号機のSG取替で「審査書案」
原子力規制委員会は、5月15日の定例会合で、関西電力より申請されていた高浜発電所3・4号機の蒸気発生器取替を認可する「審査書案」を了承した。今後、原子力委員会および経済産業相への意見照会を経て、正式決定となる運び。関西電力は、高浜発電所3・4号機の経年劣化事象に鑑み、長期的な信頼性を確保する観点から、予防保全策として蒸気発生器一式を取り替えることとし、立地自治体からの了承を得て、2023年4月に規制委員会に認可を申請。それぞれ、2026年6~10月、同年10~27年2月に実施予定の定期検査で取替工事を行う計画だ。いずれも、現行の「51F」型から最新設計の「54FⅡ」型に取り替えるもので、伝熱管材料を耐応力腐食割れ(SCC)性能に優れた合金(インコネル690)に変更することや、振止め金具の組数変更(2本から3本へ)による耐流動振動性の向上が主な改良点。実際、高浜4号機では、2023年12月開始の定期検査において、全3台の蒸気発生器のうち、2台で計4本の伝熱管に損傷が確認されている。原子力規制庁の説明によると、蒸気発生器の取替は、原子力発電所の高経年化対策が課題となり始めた1990年頃からこれまでに、国内計13基で実績がある。2013年の新規制基準施行後では、今回の高浜3・4号機が初の認可事例(原子炉設置変更許可)となる見込み。なお、高浜3・4号機は、それぞれ2025年1月、6月に法令に定める40年の運転期間を満了することから、現在、20年間の運転期間延長に係る審査が行われている。
- 15 May 2024
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規制委・検討会 能登半島地震の検討状況を報告
原子力規制委員会(規制委)は8日の会合で、今年1月1日に発生した能登半島地震の知見収集にあたっている技術情報検討会から報告を受けた。現時点で、ただちに規制基準の見直しにつながるような知見はみられていないものの、今後も関係機関や学会等による調査で得られる知見を収集し、同検討会で情報共有するとともに、規制上の取り扱いについて検討する方針が報告された。同検討会は、2月7日の規制委で今回の地震について得られた知見を調査し報告するよう指示されたことを受け、地殻変動による海岸隆起など地盤の変動や変形の状況、また津波の到達などに関して得られた知見を収集している。政府の地震調査研究推進本部が地震動や津波に関して得られた知見を分析、評価している段階にあり、今後も同本部はじめ関係機関からの情報を集め、知見の充実をはかる方針が示された。また地震の影響で北陸電力の志賀原子力発電所の変圧器が故障し、外部電源5系統のうち2系統が使用できない状態になった件については、現在、故障の原因について同社が調査しており、その結果等について情報収集を進めるとした。3月27日に開催された同検討会の議論では、規制要求において外部電源が大きな地震に耐えることを求めていないため、その意味では特段問題はないとの認識が示された一方で、継続的な安全性強化の観点から事業者の北陸電力に対応を求める等の見解が示されていた。これらの報告に関して、規制委の石渡明委員は「数年にわたり、群発地震があった。前震ともいえる地震活動が続いていて、そうした研究もなされていた。群発地震の知見も集める必要があるのではないか」と指摘、同検討会で必要な情報を収集することになった。今回の地震により、原子炉施設の安全確保に問題は生じなかったが、発電所の一部設備に故障が発生するなどしたため、北陸電力は志賀原子力発電所敷地内外の点検作業や設備故障の原因調査を実施。故障した設備の復旧作業を段階的に進めている。
- 08 May 2024
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放射線審議会 ICRP2007年勧告の国内法令取り入れで部会設置へ
放射線審議会は4月23日に総会を開き、航空機乗務員の被ばく管理ガイドラインの見直し、国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令への取り入れ方等について審議し、今後、部会を設置するなどして必要な検討を進めることを決めた。航空機乗務員の宇宙線被ばく管理に関するガイドラインは、年間5mSvを管理目標値として航空会社に自主管理を求めたもので、2006年に策定された。以来、約18年経過している。その間にICRPが、航空飛行時の宇宙放射線からの防護に関する刊行物「ICRP Pub.132」を、また国際原子力機関(IAEA)が職業上の放射線防護に関する刊行物「GSG-7」などを発刊し、航空機乗務員の被ばく管理に関していくつか新たな考え方が示されている。民間航空機の飛行ルートに関しても、ロシアによるウクライナ侵攻によって2022年以降、欧州線が北極付近への迂回ルートをとることが増え、ロシア上空を通過する従来ルートより被ばく線量が高めになっている可能性が指摘されている。総会では、こうした状況の変化を的確にフォローアップし、論点を整理した上でガイドラインの見直しを進めてはどうかとの事務局(原子力規制庁)案が提案され、了承された。出席した各委員からは、被ばく線量の最新の状況を確認することや現場での被ばく管理の状況を確認した上で、必要な見直しについて議論を進めるべき、といった意見が出され、論点の整理や部会設置案など今後の検討にむけた準備を進めることになった。またICRP2007年勧告の国内法令への取り入れに関しては、これまで同審議会で進められてきた議論を踏まえ、外部被ばくと内部被ばくに分けて2つの部会を設置し、本格的に検討を開始することになった。2007年勧告に準拠した公衆の内部被ばくに関する刊行物はまだ発刊されていないため、その刊行を待ち技術的な情報が揃ってから部会を設置するなどの案も事務局から示されたが、各委員の意見を踏まえて2つの部会を設置し、内部被ばくに関しては職業人に関する検討から始めることになった。部会の設置、検討開始は来年度になる見通し。ICRPの2007年勧告は1990年勧告以来、放射線防護体系の総論的な勧告となるもので、国内法令への取り入れは多くの時間と作業量を要し、社会経済への影響も大きいため、同審議会ではどのように取り入れるか、その影響はどうか、また海外の状況確認や具体的な検討に必要な事項の調査などを進めてきた。2020年1月の総会では検討の中間とりまとめが行われ、「外部被ばくと内部被ばくの線量係数、職業被ばくと公衆の被ばくの線量係数を同時に法令に取り入れることが適当」との考え方が示された。昨年7月に開催された前回の総会では、検討が必要な技術的な事項や海外の状況確認がなされ、部会の設置やスケジュール等の案を準備することが了承されていた。
- 24 Apr 2024
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規制委 原子力災害時の屋内退避で効果的運用を議論へ
原子力規制委員会(規制委)は4月22日、原子力災害時に屋内退避する場合の、効果的な運用を明確化するための検討チームを始動した。規制委の伴信彦委員、杉山智之委員が担当する。原子力規制庁および内閣府(原子力防災)の担当官に加え、放射線や原子力防災などの外部専門家、地方自治体の関係者をメンバーとして、今年度内に検討結果をとりまとめる。原子力災害対策指針では、原子力発電所が全面緊急事態となった場合にUPZ(概ね5~30km圏)内の住民は屋内退避をすることとしているが、屋内退避の解除や避難への切替え等の判断は示されていない。このため、検討チームは2月14日の規制委で了承された、屋内退避の対象範囲及び実施期間の検討に当たって想定する事態の進展の形屋内退避の対象範囲及び実施期間屋内退避の解除又は避難・一時移転への切替えを判断するに当たって考慮する事項──の3点を検討課題とし、地方自治体等の意見も踏まえて効果的な運用の考え方や必要な事項をまとめる。会合のなかで、伴委員は検討の進め方について「最悪の状況だけ考えて安全側に保守的であれば良いというわけではない。現実的で柔軟な対応を考えていきたい」との基本的な考えを示した。検討チームは今後、日本原子力研究開発機構(JAEA)の確率論的事故影響評価コード「OSCAAR(オスカー)」を用い、炉心損傷により放射性物質が外部に放出する場合に想定される事態の進展をシミュレーションする予定で、炉心損傷に至らない場合を含めて3つのケースで事態進展の形を検討。その結果をもとに、屋内退避の効果的な運用について検討を進めていく。検討課題のうち、「解除又は避難・一時移転への切替えを判断するに当たって考慮する事項」については、福島第一原子力発電所の事故など過去の事例を踏まえることとし、現実的かつ効果的な運用が行えるよう議論を進める方針だ。この課題に関連して敦賀市の藤村弘明危機管理対策課長は「住民への広報のタイミングや範囲も検討に加えていただきたい。能登半島地震以降、住民の皆さんの意識は高まっている」と指摘し、安定ヨウ素剤の確実な配布についても検討に含めることを要望。規制委は、住民への周知とヨウ素剤配布について、検討課題に含めて必要な議論を行う考えを示した。内閣府では屋内退避についてのわかりやすいリーフレットを作成し、各自治体に配布するなど、地域住民への理解促進につとめているが、今後とりまとめられる検討の結果をどう周知していくかも重要な課題になる。
- 22 Apr 2024
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規制委 能登半島地震の影響を議論
12日に開かれた原子力規制委員会(規制委)の新規制基準適合性に係る審査会合で、北陸電力は今年1月1日に発生した能登半島地震の後、同社の志賀原子力発電所で確認された状況を踏まえ、2014年8月に行った志賀2号機(ABWR、135.8万kW)の新規制基準適合性審査の申請内容に対する影響の有無などについて報告した。地震発生後、志賀発電所に関する初の審査会合となる。北陸電力は、概ね審査済みの「敷地内断層」、「敷地近傍断層」については既往評価への影響の有無を確認。審査未着手の「津波」、「基礎地盤」については申請時の評価への影響の有無及び施設の安全性を確認した結果をとりまとめ、審査会合の場で報告した。報告のなかで同社は、これまでの状況確認の結果を説明したうえで、志賀2号機の既往の申請に示されている敷地内断層等、また津波や基礎地盤に関する評価に影響はないとの見解を示した。また各種研究機関等により本地震に関する調査研究が開始されていることから、同社としても確認が必要な項目について調査を開始したことを明らかにした。さらに同社は今後この地震から得られた知見を収集、整理して必要な調査、今後の審査への反映をしていく、などと報告した。報告を受けた規制委は、敷地内及び敷地近傍の断層に関する同社の報告について「説明はおおむね理解できた」などとし、「新たな知見の収集と整理、審査への反映をしてほしい」と要望した。また断層のずれの有無を確認するための追加的な調査の実施や、各資料の記述の明確化や充実などの点を指摘し、既往の評価に対する影響の有無をより明確にするよう、北陸電力に対応を求めた。同審査会合を担当する規制委の石渡明委員は、今回の地震は広域の液状化という特徴があると述べ、「影響がなかったということをきちんと示すことが大事なので、液状化に関する観察事実をきちんと記述し、既往評価への影響がないという根拠をきちんと示してほしい」などと要望した。会合での指摘を踏まえ、北陸電力は、今後の審査にあたって必要な調査や検討を行って事実の確認や明確化、新たな知見の収集等につとめる考えを示した。なお、同社は地震の後に実施した志賀発電所の点検結果から、志賀2号機の主変圧器に油漏れが認められる等、一部設備に被害が生じたものの外部電源や冷却設備等の重要機能を維持しており、原子炉施設の安全確保に問題は生じていないとしている。現在、被害のあった設備等の復旧が段階的に進められている。
- 15 Apr 2024
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規制委員長が福島第一事故から13年で訓示
福島第一原子力発電所事故から13年に当たり、3月11日、原子力規制委員会の山中伸介委員長が原子力規制庁職員らに訓示を行った。山中委員長はまず、元旦に発生した能登半島地震を振り返り、「多くの方々が犠牲となり、いまだに避難生活を余儀なくされている」と、被災者への哀悼および見舞いの意を述べた上で、強い揺れに見舞われた石川県志賀町に立地する北陸電力志賀原子力発電所について、「安全性が確保された状態が続いているが、現地検査官は引き続き、その状態が維持されていることを確認して欲しい」と指示。さらに、「自然災害は避けることはできない。しかし、どのような自然災害に対しても、福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こしてはならない」と、あらためて事故の反省・教訓を忘れぬよう訓示した。一方で、「日々の業務を進めていく中で、熱い気持ちが冷めていくことはないだろうか」と、事故後13年が経過し、継続的改善の姿勢が緩むことを危惧。山中委員長は、大阪大学で教鞭を執っていた経験などを踏まえ、「学びとは真理(まこと)を胸に刻むこと。教えとは希望を人に語ること」というフランス詩人のルイ・アラゴンによる名言を紹介し、「教えることで学ぶ。教えてみて、初めて自身の能力・技量を自ら測り、自身の無知を知り、明日への学びにつながっていく」と、知識・経験の伝授を通じて「原子力規制委員会全体の活力」向上に向け相乗効果が図られるよう期待した。原子力規制委員会は2012年に発足し、現在、当初の委員らはすべて交替。3代目委員長として指揮を執る山中委員長は「原子力に100%の安全はない」と、現状に慢心せず科学技術的視点に立脚した判断を行う同委の行動理念をあらためて強調。29年前の阪神淡路大震災による被災経験も振り返り、原子力災害からの復興が長期化していることを懸念しながら、「10年後の自分自身について考えて欲しい。最上のものは過去ではなく未来にある」とも述べ、変化を恐れず職務に当たるよう訓示した。
- 11 Mar 2024
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柏崎刈羽の状況 規制庁が新潟県で説明会
柏崎刈羽原子力発電所に関する新潟県主催の県民説明会が2月18日、長岡市を拠点に開催され、原子力規制委員会が12月27日に判断、決定した追加検査の結果、および東京電力の原子炉設置者としての適格性判断について、原子力規制庁が説明。長岡市内の本会場(市立劇場)、および県内の他市町村に設けられたサテライト会場(10数か所)、オンラインによる視聴も含め、計115名が参加した。開会に際して、県防災局長の原直人氏は、柏崎刈羽原子力発電所で2020年以降に発生したIDカード不正使用など、一連の核物質防護不適切事案を振り返った上で、今回、追加検査に携わった原子力規制庁職員らを招き、適格性判断と合わせ説明を求めるに至った経緯を述べ、参加者に対し「忌憚のない質問・意見」を要望。原子力規制庁からは検査監督総括課長の武山松次氏らが出席した。原子力規制庁は、まず、2021年の核燃料物質移動禁止命令以降、2年8か月にわたって行った追加検査の詳細を説明。検査結果を取りまとめた上、12月末に柏崎刈羽原子力発電所の検査対応区分を引き上げ((「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更))、命令解除としたが、今後も引き続き、基本検査を通じて改善状況を監視していくことを強調した。一方、適格性判断については、現地調査、社長との意見交換、保安規定変更などを総合的に勘案し、2017年12月に示した「問題なし」との結論((柏崎刈羽6・7号機について、東京電力に対し新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を発出した上で、福島第一原子力発電所事故の当事者としての適格性判断を実施し、「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論づけた))を変更する必要はない、との判断に至った経緯を説明した。これに対し、県民からは、柏崎刈羽原子力発電所で最近発生した資料の無断持ち出し・散逸に鑑み、東京電力による改善活動の破綻を非難する意見、福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出に関連し、同社の情報発信の姿勢について再確認を求める声もあがった。また、元旦に発生した能登半島地震の関連では、日本海側の活断層に係る専門家の調査に言及し「自然の力には太刀打ちできない」とする不安や、災害発生時の避難対策に関し「何も決まっていないのでは」などと、今後の再稼働を見込んだ慎重な意見も出され、原子力規制庁は、「設置変更許可時には、当時の知見で最善を尽くした」と説明した上で、今後も新知見の収集・活用に努めていくと回答した。今回の説明会では、この他、「東京電力の取組を高評価し過ぎてはいないか」、「見えていないところもあるのでは」といった規制委員会の公正さや検査の盲点に関する疑義や、「そもそもウラン238の半減期は45億年で地球の歴史に相当」とする科学技術の限界への危惧など、不安の声が大勢を占めた。県では、取り上げきれなかった質問に対し、ホームページを通じて回答を示す考えだ。
- 19 Feb 2024
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規制委 能登半島地震を踏まえモニタリング技術を議論
原子力規制委員会は2月7日の定例会合で、元旦に発生した能登半島地震後の北陸電力志賀原子力発電所に係る現状を踏まえ、今後の対応に向けて、主にモニタリング技術の向上について議論した。同委では、年明け最初となる1月10日の定例会合で、地震発生以降の北陸電力他、東京電力や関西電力などから得た情報収集に基づく対応状況の時系列を整理。北陸電力によると、現在、停止中の志賀原子力発電所で観測された地震動の加速度応答スペクトルは、一部の周期帯において、設計上考慮している加速度をわずかに上回っていることが確認されており、規制委では、引き続き技術的情報の収集・整理に努め、必要に応じて今後の新規制基準適合性審査に反映していくとしている。2月7日の会合では、主に、放射線モニタリング体制の機動力強化に関して、委員間で意見が交わされた。地震発生により、志賀原子力発電所周辺のモニタリングポスト116局のうち、主に発電所北側15km以遠の18局でデータ収集が一時期欠測(昨日時点ですべて復旧済み)。原子力規制庁では、石川県とも情報共有を図り航空機モニタリングの準備を行ってきた。こうした状況を踏まえ、原子力規制庁放射線防護グループ監視情報課長の今井俊博氏は、放射線モニタリングにおける通信の信頼性向上、技術の多様化に向けた検討状況を説明。同氏はまず、「安全を確保した上でのモニタリングを考えるべき」と強調した上で、今回の地震で「通信による不具合が欠測の主たる原因」と推察されたことから、京都大学との協力により、低消費電力でも広域の無線通信が可能な「LPWA」規格を使用した測定器の開発に取り組んでいるとした。今後もNTTとも協力し実用化を目指していくとしている。さらに、日本原子力研究開発機構とも協力し、発災時、早急に対応可能な機動性の高いドローン「VTOL機」の開発・導入も検討しているとした。「VTOL機」の機動イメージとして、同氏は、昭和40年代の特撮「帰ってきたウルトラマン」に登場する円盤型戦闘機「マットアロー2号」を例にあげ、浮上・水平移動の柔軟さをアピールした。これを受け、伴信彦委員は、「確かに面白いが、複雑な地形でも適用できるのか」などと、懸念を示した上で、民間事業者との連携も通じ、さらに機動性を高めていく必要性を強調。杉山智之委員は、電源喪失に係るリスクから、「共有要因に伴う機能喪失対策は原子力分野の基本。総倒れにならない工夫が必要だ」と指摘。また、情報発信の関連で、石渡明委員は、「少し対応が鈍いのでは」とホームページ上での視認性向上を要望。新しい技術的情報の収集・検討についても早急な具体化を求めた。
- 07 Feb 2024
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規制委 柏崎刈羽の核燃料物質移動禁止命令を解除
原子力規制委員会は12月27日、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案に伴い設定した原子力規制検査の対応区分「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更することを決定した。これにより、法令運用上、同所に発出されていた特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令が、約2年8か月ぶりに解除された。また、規制委が2017年12月に柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせて、東京電力に対し、福島第一原子力発電所事故の当事者として実施した「原子炉設置者としての適格性に係る判断」の再確認に関しても、当時の結論を「変更する理由はない」とし、同社に対し「適格性あり」と判断した。これらの判断に先立ち、規制委では、山中伸介委員長と伴信彦委員が2023年12月11日に現地調査を行い、20日には東京電力の小早川智明社長らとの意見交換を実施。社長からは、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定に定める原子力事業者としての基本姿勢7項目を始め、社長直轄の「核物質防護モニタリング室」を通じた行動観察など、同社の取組について説明がなされた。規制委では、27日の会合で、核物質防護に係る不適切事案を受け、2021年度以降、柏崎刈羽原子力発電所に対し実施した合計4,268人・時間に及ぶ追加検査の報告書を了承。追加検査が終了し、今後は、東京電力による改善活動の実施状況について、基本検査で引き続き監視していくこととしている。山中委員長は同日の定例記者会見で、「あくまでもスタートライン」との認識を示したほか、今後の課題として、企業文化の改善や全社的なコミュニケーションについても言及した。原子力規制検査に係る結果および対応区分の変更を受け、東京電力は12月27日、「原点である福島第一原子力発電所事故の反省と教訓にもう一度立ち返り、自律的な全員参加型の改善活動を継続し、原子力事業者として地元の皆様、社会の皆様から信頼してもらえるよう取り組んでいく」とのコメントを発表。28日には、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案の原因分析再検証・改善措置実施報告書を取りまとめ発表した。
- 09 Jan 2024
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規制委と東京電力 柏崎刈羽の核物質防護問題で意見交換
原子力規制委員会は12月20日の定例会合で、東京電力の小早川智明社長ら、経営幹部を招き、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護問題に関する取組について意見交換を行った。規制委は同社に対し2021年4月、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令を発出。これを踏まえた追加検査の結果が2023年12月6日の同委会合で報告された。総検査時間は4,000人・時間を超えた。13日には山中伸介委員長らによる現地調査が行われている。また、同委は、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可(2017年12月)と合わせ、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、東京電力に対し実施した適格性判断について、核物質防護問題に鑑み再確認を行うことを今夏決定。これを受け、東京電力は2023年11月1日に柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更の認可を規制委に申請。保安活動における7項目の基本姿勢に一連の不祥事から得た教訓などを反映している。同申請は12月13日に認可された。20日の会合における意見交換で、小早川社長は、経営トップの立場から、核物質防護の不適切事案が発生した際の社長としての受止め核物質防護の改善に際しての社長としての取組保安規定「原子力事業者としての基本姿勢」への対応と、安全性向上の取組への拡張・展開一過性にせず改善を継続していくための、目指す姿の共有・取組・意志の継続――について説明。小早川社長は「福島第一原子力発電所の事故を起こした東京電力が、地域や社会に信頼してもらうのは、簡単な道ではない。今後も全員参加型の改善活動を継続していく」との決意を表明した。これを受け、山中委員長は、原子力の安全・セキュリティ確保は一義的に事業者に責任があることを強調し、今後の規制委による最終判断の如何にかかわらず、「規制委が決してお墨付きを与えるものではない」と述べた。その上で、柏崎刈羽原子力発電所に関する追加検査については「一定程度の改善が見られた」、東京電力に対する適格性判断については「先の判断(原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない)を変える必要はない」と述べ、いずれも各委員の意見も一致した。27日に開催が予定される規制委員会会合で、総合的判断がなされる見通し。柏崎刈羽原子力発電所に係る特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令については、検査区分が通常の第1区分に改善変更されるものとみられ、この時点で、法令運用上、解除となる。
- 22 Dec 2023
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規制委 柏崎刈羽の保安規定変更を認可
原子力規制委員会は12月13日、東京電力より申請された柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更を認可した。柏崎刈羽原子力発電所では、2021年1月以降に相次いで発生した核物質防護に係る不適切事案に鑑み、今夏以降、規制委による適格性判断の確認が行われてきた。規制委は、東京電力経営幹部との公開会合などを経て、2023年11月1日、東京電力より、保安活動における7項目の基本姿勢に一連の不祥事から得た教訓などを反映した保安規定変更の申請を受けた。変更された保安規定では、社長自身が従業員や協力会社の安全に関する意識と行動をモニタリングすることや、日常的に課題の共有や対策の議論を行うことで、自主的な安全性の向上を実現するとしている。11月29日の会合における議論で、変更内容は妥当とされており、本日、正式な認可に至った。東京電力では、今回の保安規定変更認可を受け、「引き続き、規制委員会による審査に真摯に対応するとともに、福島第一原子力発電所の事故から得た教訓を踏まえ、さらなる安全性、信頼性の向上に努めていく」とコメントしている。柏崎刈羽6・7号機について、同委は2017年12月に新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を発出した上で、福島第一原子力発電所事故の当事者としての、適格性判断を実施。「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論づけており、今回の適格性判断は2度目となる。なお、柏崎刈羽原子力発電所について、規制委は、東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令を2021年4月に発出しており、これを踏まえた追加検査の結果が12月6日の同委会合で報告された。続く13日の会合では、11日に山中伸介委員長と伴信彦委員が行った現地調査の結果が報告され、山中委員長は、会合終了後の記者会見で、「適格性については一定程度確認ができた」と評価。その上で、翌週に予定される小早川社長との面談に向け、「事案発生から3年間の取組の総括、今後の意気込みを聴きたい」と述べた。最終的判断についてはその後、改めて委員間で議論するとしている。
- 13 Dec 2023
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規制委 柏崎刈羽の核物質防護事案で判断方針示す
原子力規制委員会は12月6日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所で2021年1月以降に発覚した核物質防護事案に対する追加検査の結果、および同社の「原子炉設置者としての適格性」に係る再確認について、原子力規制庁より報告を受け、それぞれ、今後、現地視察、社長との意見交換を行った上で、最終的に判断することを了承した。〈規制委発表資料は こちら〉柏崎刈羽原子力発電所については、核物質防護に係る不適切事案を受け、東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令が2021年4月に発出されている。これを踏まえた追加検査の結果について、同日の定例会で原子力規制庁が報告。追加検査は延べ4,268時間に及び、2023年5月以降に実施された追加検査のフェーズⅢで改善が見られず継続検査となっていた4項目すべてについて是正が図られていると判断された。また、2017年12月、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせ東京電力に対し福島第一原子力発電所事故を踏まえ実施したいわゆる「平成29年の適格性判断」の再確認については、同社が保安規定に定める原子力事業者として基本姿勢7項目に基づき、「基本姿勢に則った取組を行っていることが確認され、同時にこれに反した姿勢・行動をとっている状況は確認されなかった」と結論付けた。これにより、原子炉等規制法に基づく禁止命令の解除に必要な条件はほぼ揃ったこととなる。山中伸介委員長は、委員による現地視察や東京電力社長との意見交換を実施した上で、解除に係る判断を行う方針を表明した。
- 06 Dec 2023
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IAEA/IRRSミッション受入 25年度下期に
原子力規制委員会は11月8日、IAEAによる総合規制評価サービス(IRRS)ミッションの2025年度下期頃の受入れに向け準備を進めることを決定した。〈規制委発表資料は こちら〉IRRSは、IAEAが加盟国の要請に基づき原子力利用の安全確保に向け実施しているレビューサービスの一つ。専門家で構成されるレビューチームにより、対象国の原子力規制に関し、その許認可・検査に係る法制度、関係組織も含む幅広い課題について、規制当局や被規制者へのインタビュー、原子力施設への訪問などを通じた総合的レビューを実施し助言・勧告を行う。IRRSミッションは、欧州諸国を中心に、毎年、数か国で受け入れられてきたが、近年では新興国での活動も顕著で、2022年には原子力発電所の建設が進むトルコ、バングラデシュでも受け入れている。日本におけるIRRSミッションは、2007年に旧原子力安全・保安院および旧原子力安全委員会が受け入れており、両者の役割の明確化などが助言・勧告された。福島第一原子力発電所事故後は、規制委員会が2016年に受け入れ。IRRSミッションによる勧告・提言に関し、同委は「IRRSにおいて明らかになった課題への対応方針」のもと、プロジェクトチームを設置し検討を行い、検査制度や放射線源規制の改善に向けた法整備などにつなげている。規制委員会による今回のIRRSミッション受入れは、山中伸介委員長が就任して1月後の2022年10月、今後の重点的活動方針の一つとして示された「国際機関による外部評価」を具体化するもの。同委では、今秋11月中を目途にIAEAに対する正式要請文書を発出。関係省庁とも調整しながら、2024年度冬以降、IAEAとの公式準備会合を行いスケジュールの詳細を詰めていく。なお、2023年に、IRRSミッションの受入れは、チェコ、オランダ、ベルギー、ポーランド、サウジアラビアで実施されたほか、ルーマニア、モロッコでも予定されている。
- 08 Nov 2023
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東京電力 柏崎刈羽の保安規定変更を規制委に申請
東京電力は11月1日、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更認可を原子力規制委員会に申請した。保安活動における7項目の基本姿勢に、核物質防護に係る不適切事案への取組から得た教訓を反映している。〈東京電力発表資料は こちら〉2017年12月、規制委員会は、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせて、福島第一原子力発電所事故の当事者たる東京電力に対し、特に実施したいわゆる「平成29年の適格性判断」で、「運転主体としての適格性の観点から、原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論。一方、2020年以降、柏崎刈羽原子力発電所では、核物質防護に係る不適切事案が発生。同委は2023年6月、東京電力経営層より、核物質防護に関する改善措置活動の進捗状況について報告を受け、「平成29年の適格性判断」の再確認を行うこととなり、それに向け、8~9月に公開会合、現地検査が実施され、今回、同社からの保安規定変更の認可申請となったもの。「自律的かつ持続的に原子力発電所の安全性向上に努める」との決意をあらためて示した上で、変更申請された保安規定では、現行の基本姿勢7項目を、廃炉をやりきる覚悟必要な経営資源の投入トップとしての責任安全最優先の発電所運営リスクの低減現地現物の観点による情報共有自主的な改善――に項目立てし再整理。その中で、社長のトップとしての責任については、「当社および協力企業の従業員の意識と行動について、モニタリングを実施し、劣化兆候を把握した場合には、迅速かつ適切に対応し、継続的な安全性向上を実現する」と明記。自主的な改善については、核物質防護に関する改善措置活動から得た教訓を反映し、CAP(小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組)の活用なども盛り込んでいる。なお、柏崎刈羽原子力発電所については、核物質防護に係る不適切事案を受け、規制委員会から東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令が発出され、同委による追加検査が継続中。また、地元の動きとしては、9月に新潟県が県独自による福島第一原子力発電所事故の検証結果を総括しており、花角英世知事は、今後、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する議論を行う考えを表明している。
- 06 Nov 2023
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規制委 川内1・2号機の運転期間延長を認可
原子力規制委員会は11月1日、九州電力川内原子力発電所1・2号機について、運転開始から60年までの運転期間延長を認可した。〈規制委発表資料は こちら〉川内1・2号機は、それぞれ2024年7月、25年11月に原子炉等規制法で定められる原則40年の運転期間を満了する。これに伴い、九州電力は、2021年10月より特別点検を行い両機の原子炉容器などの健全性を確認した上で、2022年10月に20年間の運転期間延長認可を規制委員会に申請した。11月1日の規制委定例会合で、原子力規制庁が審査結果を説明。主要な6つの物理的な経年劣化事象(低サイクル疲労、中性子照射脆化、照射誘起型応力腐食割れ、2相ステンレス鋼の熱時効、電気・計装設備の絶縁低下、コンクリート構造物の強度低下)について、特別点検の結果を踏まえた劣化状況評価が行われており運転を延長する期間において「審査基準の要求事項に適合している」ことが確認されたとした。〈高経年化規制の概要は こちら〉川内1・2号機は、2013年7月の新規制基準施行後、先陣を切って2015年に再稼働。熱出力一定運転に伴い、冬季には設備利用率が107%にも達しており稼働状況は好調だ。40年超運転が認可された国内の原子力発電プラントは、既に再稼働した関西電力美浜3号機、同高浜1・2号機、まだ再稼働していない日本原子力発電東海第二を合わせ計6基となった。なお、2023年5月に成立した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(GX脱炭素電源法)の本格施行(2025年6月)後は、運転開始から30年以降、10年以内ごとに、新制度(長期施設管理計画)での認可が必要となる。
- 01 Nov 2023
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